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2023(令和5)年10月20日現在の神奈川県進路希望調査

入試情報

2023.12.28

2023.12.28

神奈川県の公立高校受験の仕組みや選抜方法

11月27日、神奈川県教育委員会から2024(R6)年度入試に向けた10月20日現在の進路希望調査の結果が発表されました。

その概要をまとめましたのでご参照ください。なお、詳細は以下のページをご覧ください。

令和5年度 公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/t8d/edu_stat/jr_high_course_hope/r05_page.html

1.全体的な特徴

※上段は希望者数、下段は卒業予定者数に対する割合。

※上の表は、県内・県外の全日制希望者の合計で作成したもの、下の表はその内訳を表にしたものです。

全日制・定時制・通信制、公立高・私立高への希望状況をまとめた上記の表を見ると、次の特徴を挙げることができます。

  1. 全日制高校への希望率が前年度に引き続き過去最低。
  2. 県内公立高への希望率は減少傾向が続く。
  3. 県内・県外私立高への希望率は前年度並みだが、いずれも高い水準を維持。
  4. 通信制高校への希望率は過去最高を更新。

全日制への希望率は前年に引き続き過去最低を記録しています。これに対して通信制は毎年過去最高割合を更新し、通信制への流れが見て取れます。さらに、定時制もこの5年で最も高い割合になり、これも全日制の希望率は低下に影響したようです。

公立高への希望率は減少傾向が続いています。原因として、前述の通信制や定時制への流れに加え、今年度は入試制度が一部変更されるため、慣れない入試制度への不安から敬遠されたと考えられます。 県内私立高への希望率は動いていませんが、2014(H26)年以降8.0%以上の希望率は前年度以外になく、引き続き高い水準と言えるでしょう。また、県外私立高への希望率は4.3%と、前年度より0.2%下がりましたが、4.0%台は例年からすれば高い割合です。私立志向の高まりは2015(H27)年の私立高授業料補助金制度に始まり、2020(R2)年のコロナ禍でさらに上昇し、年々増加傾向にありました。今年度は上昇こそしませんでしたが、高い水準を維持したのはこれらの流れに加え、公立の入試制度変更が影響していると考えられます。

このように現時点では公立希望率は下がりましたが、実際の入試でも公立高入試の倍率が下がるとは限りません。前年2022(R4)年の進路希望調査では、2021(R3)年に比べ77.4%→76.3%と1.1%減少しましたが、実際の入試での志願倍率は1.17倍から1.18倍へとアップしているからです。

2.県内公立校希望者の学科別希望状況

※上段は希望者数、下段は公立希望者計に対する割合

近年の公立高入試は普通科志向の入試になっており、専門学科との倍率格差が拡大しています。

今回の調査では普通科、専門学科ともに割合はダウンしていますが、専門学科の希望率は下降傾向で倍率格差は続いています。

また、総合学科は5.1%→5.4%にアップ。普通科と専門学科から流れたようです。総合学科の希望率を県立と市立に分けてみると県立は3.3%→3.1%と0.2%ダウンし、市立は1.8%→2.3%と0.5%アップしました。これは市立みなと総合市立横須賀総合によるもので、総合学科全体の希望者が増えているわけではないようです。

進路希望調査で普通科の割合が下がっても実際の入試では、志願倍率が上がることがあります。2020(R2)年の普通科の希望率は0.4ポイント下がりましたが、倍率は1.19倍から1.20倍に上がりました。今回普通科の割合が下がったからといって実際の入試の倍率も下がるとは限りません。

3.前年度入試で倍率が高かった学校の希望状況

では、各校の希望状況はどのような結果になったのでしょうか。前年度入試で倍率が高かった学校の希望状況を見てみましょう。

2023(R5)年度入試で過去最高の倍率を記録した学校

学校名2023年10月
希望者数
2022年10月
希望者数
増減2023年度
入試の倍率
城郷391365+261.43
岸根596319-821.49
霧が丘386356+301.33
荏田465431+341.33
市立東395482-871.53
舞岡379319+391.37
金井400319-81.37
横浜氷取沢299373-741.36
横浜栄480454+261.47
住吉622691-691.54
多摩640635+51.87
百合丘335395-601.26
県立川崎391332+591.35
上溝南432410+221.25
※希望者数は特別募集の希望者数を含みます。倍率は志願確定時のものです。

2023(R5)年度入試では、過去最高の倍率を記録した学校が普通科だけで14校ありました。

前年度の高倍率を受けて希望者が大きく減少した学校もあれば、前年度と変わらないか増加している学校もあります。

岸根は希望者が前年に比べ82人減です。2年連続で希望者数が増加し,実際の入試では3年連続で倍率が上がっていました。高倍率続きで受検生から敬遠されたと考えられます。

市立東は希望者が前年に比べ87人減少しています。希望者数の増減と実際の入試での倍率は2020(R2)年から-152(1.15)→+57(1.47)→+72(1.53)と、希望者数の増減に合わせて倍率も上下していることから、今年度は倍率が下がる可能性があります。

舞岡は39人の希望者増です。10月26日発表の募集定員は1学級減の予定です。2021(R3)年より希望者数の増減と実際の入試での倍率は+39(1.21)→+47(1.37)と増加傾向にありました。今年の進路希望調査でも希望者数は増加していますが、定員減により志願者数に影響が出る可能性があります。

横浜氷取沢は希望者74人減です。前年度は過去10年にない高倍率でした。それにより希望者が減少し、現時点で定員割れを起こしています。しかし、例年進路希望調査で定員割れになっても、実際の入試で1.00~1.20倍台まで志願者が増えることが多いので注意しましょう。

住吉は希望者69人減です。2021(R3)年に希望者数が106人増加していますが、実際の入試での倍率は0.02ポイントの微増にとどまり、73人減になった2022(R4)年は0.13ポイントアップしているため、希望者が減ったことで倍率が下がるとは限りません。例年希望者は600~700人集まりますが、実際の入試では400~500人に減少しています。

多摩は5人増加です。希望者数は前年とほぼ同数で、2021(R3)年度入試から倍率は上がり続けています。2024(R6)年度より、学力向上進学重点校の指定される予定です。これにより志願倍率に影響が出る可能性があります。

百合丘は60人減です。例年進路希望調査の時点で定員割れになる年が続いていますが、実際の入試では2019(H31)年度以外は1.00倍を超えています。今年度は舞岡と同様に募集定員が1学級減になります。

4.前年度入試で倍率が低かった学校の希望状況

前年度入試で倍率が低かった学校の希望状況を見てみましょう。

2023(R5)年度入試で例年に比べて倍率が低かった学校

学校名2023年10月
希望者数
2022年10月
希望者数
増減2023年度
入試の倍率
白山263233+300.89
松陽300332-321.05
横浜平沼449449±01.26
横浜緑ヶ丘726674+521.41
鎌倉716688+281.25
湘南台399384+151.21
※希望者数は特別募集の希望者数を含みます。倍率は志願確定時のものです。

白山は30人の増加です。前年度が0.89倍と定員割れだったため受検生が集まったようです。2024(R6)年度入試より募集定員が1学級減になります。さらにインクルーシブ教育実践推進校の指定を受け、一般募集定員のうち21人が特別募集定員となり、実質2学級減になります。これらの変更が実際の入試に影響する可能性がありますので注意が必要です。

横浜緑ケ丘は2021(R3)年度からの高倍率が原因で、前年度は希望者・倍率ともに下がりました。今年の希望者数は52人増で、最近の10年で700人を超えた年は2021(R3)年のみのため、例年より多い進学希望者が集まっているといえます。2024(R6)年度より学力向上進学重点校に指定されるため、志願数に影響する可能性があります。

鎌倉は28人増加です。前年は希望者数が減少し、倍率も下がりました。横浜緑ケ丘同様、2年連続倍率が上がった反動で前年度は倍率が下がったようです。2024(R6)年度入試では1学級減となるため、志願者数に影響する可能性があります。

5.統廃合のある学校の希望状況

統廃合のある学校の希望状況を見てみましょう。

学校名2023年10月
希望者数
2022年10月
希望者数
増減2023年度
入試の倍率
厚木王子(普)346384-381.21
厚木王子(総ビ)153189-361.16
横浜瀬谷354401-471.26
逗子葉山379406-271.31
相模原城山255268-131.02
※厚木王子はそれぞれ厚木東と厚木商業の希望数、増減、前年の倍率です。
※倍率は志願確定時のものです。

厚木王子は2024(R6)年度より厚木東の普通科と厚木商業の総合ビジネス科が統合され、新校として開校する予定です。進路希望調査時点の希望者数は普通科、総合ビジネス科ともに約40人減です。前年度は厚木東が56人増、厚木商業が19人減でしたが倍率はどちらもアップしました。新校への期待により倍率が上がった反動か、現時点では希望者は減少しています。

横浜瀬谷は2023(R5)年度より瀬谷と瀬谷西が統合され新校として開校しました。希望者数は47人減です。統合初年度の前年は希望者数も増加し、倍率も上がっています。前年度の1.26倍は瀬谷としても瀬谷西としても高い倍率でしたので、反動で希望者が減少しているようです。

逗子葉山は2023(R5)年度より逗子と逗葉が統合され新校として開校しました。希望者数は27人減です。前年度は横浜瀬谷同様、希望者数も増加し倍率も上がりました。1.31倍は逗葉としても逗子としても高い倍率でしたが、現段階では希望者数は抑えられています。

相模原城山は2023(R5)年度より城山の普通科と相模原総合の総合学科が統合され単位制普通科新校として開校しました。前年度は希望者増でしたが倍率は下がりました。統合初年度は緩やかな倍率での入試となり、今年度も希望者は13人減で倍率は大きく変わらない可能性があります。

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