今春の都立高入試はどのような入試であったのか、まずは推薦入試を振り返ってみましょう。
目次
入試制度の変更
今春の2024(R6)年度入試より、推薦入試も含めて、それまで男女別に選考していた普通科高校の選考方法を男女合同で行うことになりました。
また、推薦入試において、コロナ禍で中止されていた集団討論が一部で復活。実技検査では体の接触のある検査も可能になりました。
一般入試では学力検査の時間割が変わり、教科間の休憩時間が30分から20分に戻っています。
推薦入試
応募倍率は過去最低水準続く
全日制の推薦募集人員9,445人に対し、応募者は23,421人。応募倍率は2.48倍で、前年度(2.47倍)に記録した過去最低倍率よりわずか0.01ポイント上回ったものの、低い水準での倍率が続きました。 都立高校を第一志望としていても推薦入試に応募しない人が増えており、推薦離れが進行しているといえるでしょう。
男女合同募集の影響はなかった?
男女別募集から男女合同募集に変更になった普通科は2.87倍。前年度の男女別の応募状況を男女合わせて計算すると2.89倍になり、やや下がったものの男女合同募集の影響は少なかったといえるでしょう。
専門学科と総合学科で倍率アップし普通科との差がやや縮まる
コース制、単位制普通科を合わせた普通科全体の倍率は2.87倍で前年度と同じ。一方、専門学科では商業科が1.44倍にアップ。前年度は江東商業が定員割れでしたが、今年度は1倍を超え(1.20倍)、商業科で定員割れはなくなりました。工業科(単位制除く)は、15校中11校で学校全体の倍率があがりましたが、定員割れ校は6校で変わりませんでした。農業科は商業科や工業科に比べ高倍率になる傾向があるものの、園芸以外の4校がダウン。家庭科(単制除く)も赤羽北桜と瑞穂農芸が前年度の倍率アップの反動でダウンし、家庭科全体の倍率も下がりました。産業科は橘が推薦枠を拡大した上に応募減になり、大幅なダウン。一方で八王子桑志は前年度の反動でアップしたことで学科全体も上がりました。このように学科・学校によって動きはさまざまですが、専門学科全体の応募者数は3,882人となり、前年度(3,809人)より若干ですが増加しました。
総合学科は10校中半数の5校が倍率アップ。そのうち杉並総合が50人増、晴海総合と青梅総合がそれぞれ38人増と大幅に増え、学科全体の倍率を押し上げました。
これらの結果、普通科と専門学科、総合学科との学科間格差がわずかですが縮まっています。
【主な学科の応募倍率】
学科 | 2023 | 2024 |
---|---|---|
普通科男子 | 2.60 | 2.87 (男女合同) |
普通科女子 | 3.20 | 2.87 (男女合同) |
単位制普通科 | 2.83 | 2.97 |
普通科計 | 2.87 | 2.87 |
商業科 | 1.39 | 1.44 |
工業科 (単位制除く) | 1.21 | 1.25 |
農業科 | 1.99 | 1.84 |
家庭科 (単位制除く) | 2.30 | 2.11 |
産業科 | 1.60 | 1.67 |
専門学科計 | 1.55 | 1.56 |
総合学科 | 2.21 | 2.29 |
全日制計 | 2.47 | 2.48 |
高倍率は文化・スポーツ等特別推薦実施校が多い
普通科と単位制普通科でもっとも高い倍率になったのは新宿で7.66倍、次いで三田の5.31倍、本所5.21倍となっています。高倍率校は表にあるように文化・スポーツ等特別推薦が上位に入ることが多いようです。
文化・スポーツ等特別推薦の応募者は一般推薦にも同時に応募できることから、約7割の生徒は両方に応募しています。その場合、応募数は一般推薦と特別推薦とにダブルカウントされるため、倍率は未実施校より高くなりやすくなるのです。
しかし、トップの新宿と2位の三田は未実施校。本所、城東、豊島、広尾などは人気の高い学校なので、特別推薦実施校だからといって高倍率になっているともいえないようです。
【普通科 高倍率ベスト10】※は文化・スポーツ等特別推薦実施校
順位 | 学校名 | 倍率 |
---|---|---|
1 | 新宿 | 7.66 |
2 | 三田 | 5.31 |
3 | ※本所 | 5.21 |
4 | ※板橋 | 5.00 |
5 | ※城東 | 4.97 |
6 | ※豊島 | 4.66 |
7 | ※小岩 | 4.53 |
8 | ※日野 | 4.33 |
9 | ※広尾 | 4.20 |
10 | ※葛飾野 | 4.06 |
集団討論実施校はやや敬遠されたか
集団討論が一部の学校で久しぶりに復活しました。 実施校は応募減になったところが多く、集団討論実施だけが応募減の理由ではないにしろ、やや敬遠された面があったのかもしれません。
【集団討論実施校の応募者数の比較(一部抜粋)】
学校名 | 2023 | 2024 |
---|---|---|
深沢 | 62 | 48 |
西 | 275 | 189 |
竹早 | 153 | 163 |
北園 | 210 | 148 |
鷺宮 | 303 | 183 |
篠崎 | 183 | 174 |
東大和南 | 184 | 185 |
調布南 | 124 | 105 |
永山 | 120 | 160 |