高校受験を控える子どもは、学習面や進路についてなど、さまざまな不安や悩みを抱えています。進路について一緒に考えるのはもちろん、勉強に集中できる環境を整える、体調管理に気を配る、悩みを聞きいてあげるなど、まだまだ親のサポートが必要です。
今回は、高校受験を成功するために、親ができる4つのサポート方法と、取ってはいけない4つの行動について解説します。
目次
高校受験成功のために親ができる4つのサポート
生活面から学習面、志望校についてなど、親子が一丸となって挑む小学校受験や中学受験とは異なり、高校受験の学習面において、親が直接関わることはあまりありません。
高校受験で親ができることは、子どもの体調・精神面のサポートです。1つずつ詳しく見ていきましょう。
子どもが勉強に集中できる環境を整える
学校の授業が終わっても、部活動や習い事などによって放課後も忙しい中学生にとって、帰宅後に割ける勉強時間は限られています。
平日は、確保できた勉強時間をいかに効率的に使えるかということに加えて、どれだけ集中して勉強ができるかが重要です。
「これから勉強するぞ」と意気込んでも、リビングからテレビやゲームの音が聞こえてくるような環境では、やる気がそがれてしまうでしょう。
また、家の中が散らかっている場合も、子どもが集中して勉強に取り組める環境とはいえません。プリンストン大学の神経科学機関の研究によると、散らかった部屋では認知能力と集中力が低下することがわかっています。[注1]
高校受験を控えた子どもがいる家庭では、子どもが勉強に集中できる学習環境を親が率先して整えてあげることが大切です。
子どもの勉強時間はテレビを消し、家の中は整理整頓して綺麗な状態を保ちましょう。
2. 子どもの体調管理に気をつける
受験日が迫ってくると、子どもは多少体調が悪くても遅くまで勉強してしまうものです。また、受験シーズンは風邪やインフルエンザが流行る時期でもあるため、子どもの体調管理が重要になってきます。
子ども自身の体調管理に加え、同居する家族も普段からマスクの着用と手洗いを徹底して予防に努めることが大切です。
風邪予防のポイント
インフルエンザも風邪もウイルスが原因ですので、かからないようにご家庭で次のことに気をつけてください。
1.外出時にはマスクを着用する
風邪は、かかった人が咳やくしゃみをして飛び散ったウイルスを、のどや鼻から吸い込むことで感染します。マスクでウイルスが体の中に入ってくるのをブロックしましょう。
2.流行時期の人込みや繁華街への外出を控える
風邪やインフルエンザが流行してきたら、高齢者や慢性疾患を抱えている人、疲れ気味の人、睡眠不足の人は、人込みや繁華街への外出は控えた方がよいでしょう。免疫力が落ちていて、ウイルスに感染しやすくなっているかもしれません。
3.うがい、手洗いの励行
帰宅時のうがい、手洗いも一般的な感染症の予防のためにお勧めします。
ウイルスや細菌がついた手で、鼻や口を触ると感染してしまいます。ウイルスや細菌を洗い流すことが予防の第一歩です。
栄養バランスのとれた美味しい食事を用意する
食事は健康な体づくりの大切な要素です。受験シーズンの子どもには、毎日栄養バランスがしっかりとれた、美味しい料理を出してあげてください。
特に試験1週間前からは、受験勉強もラストスパートとなり、睡眠時間が短くなったり、塾通いによって食事が不規則になったりしまいがちです。特別なことはせずに、胃腸に負担をかけない食事を心がけましょう。
3. 進路について親子で考える
子どもの進路については、子どもの意見を尊重し、親はあくまでも助言役に徹しましょう。公立か私立か、子どもの現在の偏差値で無理のない高校はどこか、やりたい部活はあるか、通学時間はどれくらいかなど、広い視点で情報収集をすることが大切です。
また、子どもが高倍率の進学校・名門校を志望している場合は、併願高校の選択が非常に重要です。子どもとよく相談しながら、志望校を見つけられるようサポートしましょう。
最終的な進路の決定は子どもにまかせる
子どもの進路決定で親がすべきことは、子どもと一緒に考えること、相談を受けることです。親が志望校を決定したり、希望の進路を押し付けたりするようなことは避けましょう。
実際に高校に通うのは親ではなく子どもです。子どもが希望しない高校、あまり気が乗らない高校を無理に受験させ、合格したとしても、子どもの高校生活が充実したものになるとは限りません。
親の目から見て難しい挑戦、または、もう少し上を狙えるのでは…と思う選択だったとしても、親は子どもの選択を否定せず、最終的な決定を見守ってあげることが大切です。
また、「自分自身で進路を決定した」ことで、受験勉強に対する意識を高く持つことができるでしょう。
4. 勉強・成績などの悩みや不安を聞いてあげる
高校受験を控える子どもは、進路のこと、勉強のこと、さまざまな悩みを抱えています。高校に合格する日まで、不安と戦いながら受験勉強に励まなければなりません。そんな子どもに対し、親ができる最大のサポートは、子どもの悩みを聞いてあげることです。
たとえば、模試の成績が悪くて子どもが自信を失っているときは、成績が悪かったことを叱咤したり、一緒に気落ちするのではなく、前向きな態度で接してあげましょう。
高校受験生の親がやってはいけない4つのこと
親がよかれと思ってすることでも、受験をする子どもが鬱陶しいと感じてしまったり、ストレスになってしまうような行動は、勉強へのモチベーションを低下させていまします。子どもにできるだけストレスを与えないよう、次のような行動は控えましょう。
1. 子どもが決めた進路に「無理」と言わない
進路の最終決定は子どもに任せるということを先述しましたが、決定した進路について「落ちる確率が高いからやめたほうがいい」「あなたには無理」といった否定的な意見を伝えることは避けましょう。
高い意識を持って決めた進路を否定することは、子どもの勉強へのモチベーションを低下させてしまいます。子どもの決断を見守り、受験勉強に集中して取り組めるような環境作りや相談役としてサポートすることも、高校受験において大切な親の役割です。
2. 自分の受験経験をもとにアドバイスをする
「お父さんが受験したときはもっと勉強した」「お母さんが受験生のときはこうやって勉強した」など、自分が受験をしたときの経験を元に子どもにアドバイスしてしまうのは、親がついやってしまいがちなことです。
しかし、親が受験した時代と現代では、受験システムも、試験問題の内容も変わっていることでしょう。受験勉強で疲れやイライラが溜まっている子どもにしてみれば、「今のことなんてわかってないくせに」「昔の話をされても」と、余計に気が立ってしまうかもしれかせん。
3. 兄弟や親戚と比較する
子どものやる気を焚きつけるために、「お兄ちゃんは〇〇高校に行った」「お姉ちゃんはもっと勉強頑張ってたよ」など、ほかの兄弟や親戚と比較するのは逆効果です。「自分は頑張っていないと思われている」「認められていない」と感じてしまい、やる気を失ってしまう可能性があります。
4. 「自主性に任せる」といって放任する
「子どもの将来のことだから、全て子どもに任せる」と、子どもの進路に無関心な態度を取るのは、過干渉と同じくらい問題です。受験で不安を抱える子どもに対し、親は進路を一緒に考えてあげること、精神面・体調面をしっかりサポートしてあげることが大切です。
子どもが受験に前向きになるようサポートすることが重要
高校受験では、精神面・体調面を中心に親のサポートが必要です。進路についても親子で一緒に考え、志望校を絞っていきましょう。最終的な進路は子ども自身が決めることです。親は子どもが前向きな姿勢で受験に望めるよう、子どもの決定を見守る、学習環境を整えるなど、最大限サポートしてあげましょう。
子どもが決めた進路が難しいものであっても、むやみに否定してはいけません。親ができる最大限のサポートをしたうえで、最終的には子どもの決定を見守る心構えが必要です。