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2023(令和5)年度入試 埼玉県進路希望調査(2022年10月時点)

入試情報

2022.12.26

2022.12.26

2022(令和4)年度 埼玉県公立高校入試の特徴

埼玉県教育委員会から2023(令和5)年度入試に向けた、10月1日時点での進路希望調査の結果が発表されました。

詳細は以下のページをご覧ください。

令和5年3月中学校等卒業予定者の進路希望状況調査(令和4年10月1日現在) – 埼玉県 (saitama.lg.jp)

まだ10月の希望状況なので今後変わることもありますが、この時点での特徴を見ていきましょう。

ここでは過去5年分の希望状況を掲載して推移がわかるようにしました。

過去5年間の進路希望調査状況(概要)

まず各年度の中学卒業予定者数と、その内で進学を希望する生徒の割合を見てみましょう。

・卒業予定者数と進学希望者数の推移

年度卒業予定者数進学希望者
201864,01062,093 (97.0%)
201963,09361,144 (96.9%)
202061,74059,798 (96.9%)
202163,35961,382 (96.9%)
202263,42961,243 (96.6%)

2022年度の進学希望者数は卒業予定者全体に占める割合が前年比で-0.3ポイントの減、実数としては-139人となりました。

続いて進学希望者の希望する進路の傾向について見ていきましょう。

・進学希望者の希望進学先(概要

年度全日制志望定時制志望通信制志望
201859,177 (92.4%)563 (0.9%)1,114 (1.7%)
201957,895 (91.8%)679 (1.1%)1,307 (2.1%)
202056,229 (91.1%)665 (1.1%)1,612 (2.6%)
202157,325 (90.5%)709 (1.1%)2,054 (3.2%)
202256,732 (89.4%)750 (1.2%)2,449 (3.9%)
※()内は卒業予定者数に占める割合

この表から読み取れる特徴としては、全日制高校への希望率が年々下がってきており、今回90%を切って80%台に下がったこと、そしてその一方で通信制高校への希望率が上昇傾向で、今回の希望率は2018年度と比べると2倍以上まで上がったことが挙げられます。

つまり全日制から通信制への流れが生じており、今回の調査でもその流れが変わることはありませんでした。

・全日制高校進学希望者の希望進学先内訳

また、全日制志望者に限定して細かく見ていくと以下の表のようになります。

年度県内国立県内公立県内私立県外
2018163 (0.3%)46,961 (73.4%) 8,485 (13.3%)3,568 (5.6%)
2019195 (0.3%)44,945 (71.2%) 8,971 (14.2%)3,784 (6.0%)
2020141 (0.2%)42,953 (69.6%) 9,384 (15.2%)3,751 (6.1%)
2021208 (0.3%)43,433 (68.6%) 9,831 (15.5%)3,853 (6.1%)
2022274 (0.4%)42,476 (67.0%)10,158 (16.0%)3,824 (6.0%)
※()内は卒業予定者数に占める割合

この表から読み取れる特徴としては、公立高校への希望率が下降している一方で県内私立高校が増えてきていることです。私立高校に対する授業料の補助制度が充実していることが背景にあります。

そして今回もその傾向は変わりませんでした。

従って、この時点では公立高入試の倍率が上がる要素はあまりないようです。

公立高校の学科別希望倍率

次に公立高校の学科別希望倍率を見てみましょう。

・公立高校の学科別希望倍率

2022年10月
(2023入試)
2021年10月
(2022入試)
2020年10月
(2021入試)
2019年10月
(2020入試)
2018年10月
(2019入試)
普通科1.281.28 <1.14>1.29 <1.13>1.31 <1.15>1.34 <1.19>
農業科0.880.91 <0.93>0.86 <0.94>0.96 <0.99>0.99 <1.06>
工業科0.830.92 <0.93>0.87 <0.92>0.96 <1.02>0.97 <1.02>
商業科0.690.72 <0.96>0.70 <0.92>0.74 <1.01>0.73 <0.97>
家庭1.181.06 <0.91>1.16 <0.97>1.13 <0.88>1.38 <1.07>
外国語1.001.02 <1.25>1.07 <1.21>1.13 <1.27>1.36 <1.52>
理数1.561.62 <1.83>1.66 <1.86>1.43 <1.60>1.53 <1.82>
総合0.910.95 <0.93>1.04 <0.95>1.00 <1.05>1.03 <1.03>
1.181.18 <1.10>1.19 <1.09>1.21 <1.12>1.24 <1.16>
※<>は実際の入試の志願確定倍率

これをみると、進路希望調査時で倍率が高かった学科は実際の入試でも高く、低い学科は低いままの倍率で入試を迎えることが多いようです。

また、普通科は進路希望時より実際の入試倍率は下がり、専門学科は家庭科を除き上がる傾向もあります。普通科から専門学科に希望を変更するケースがあるからです。

全体の倍率が下がるのは公立志望者が私立高などに移動するためと考えられます。

従って現段階の調査結果からは、普通科はほぼ前年度並みの1.13~1.14倍で落ち着く見通しです。

一方で農業科、工業科、商業科、総合学科は前年度の調査時点より下がっており、しかも農業科を除いてこの5年間で最も低く、専門学科離れが進行している様子が窺えます。このままで推移するとこれらの学科は例年より低い倍率になる可能性があります。

入試での倍率はどうなる?【10月時点で高倍率の学校群】

続いて公立高校普通科の倍率について細かく見ていきましょう。

普通科で最も高い倍率になったのは川口市立で3.66倍、次いで市立浦和3.30倍、市立川越2.95倍、越谷南2.24倍、上尾2.16倍と続きます。かなり高い倍率ですが、実際の入試でもこのような高倍率になるのでしょうか。

下の表は、今回高倍率になった学校の前年度の進路希望調査と実際の入試状況を比較したものです。

・進路希望時点で高倍率の学校群

学校名2022年10月調査2021年10月調査
(前年度実績)
2022年度入試
(前年度実績)
川口市立1,025 (3.66)934 (3.34)513 (1.83)
市立浦和791 (3.30)847 (3.53)512 (2.13)
市立川越413 (2.95)553 (3.95)207 (1.48)
越谷南711 (2.24)611 (1.92)445 (1.40)
上尾515 (2.16)441 (1.85)252 (1.06)
大宮678 (2.13)633 (1.99)468 (1.47)
川越南758 (2.12)830 (2.32)503 (1.41)
浦和西752 (2.10)829 (2.32)558 (1.56)
越ケ谷639 (2.01)708 (1.98)490 (1.37)
鳩ケ谷305 (1.93)316 (2.00)199 (1.26)
市立浦和南595 (1.86)581 (1.82)470 (1.47)
※数値はそれぞれ進学希望者/志願確定者数、()内は倍率

これを見ると、進路希望調査で2倍、3倍を超える倍率になっても、実際の入試では志願者は大幅に減少し1倍台で落ち着く学校が多いことがわかります。ただそれでも高い倍率を維持していますが。

従って今回の調査でも高倍率校の志願者は実際の入試では大幅に減る可能性が高いと見込まれます。

入試での倍率はどうなる?【10月時点で平均的な倍率の学校群】

では、一方で普通科の平均希望倍率に近い1.3倍程度の学校についても見てみましょう。

これらの学校は前年度にどのような入試になったのでしょうか。

進路希望時点で平均的な倍率の学校群

学校名2022年10月調査2021年10月調査
(前年度実績)
2022年度入試
(前年度実績)
坂戸422 (1.33)385 (1.21)339 (1.07)
浦和第一女子468 (1.31)455 (1.27)528 (1.47)
八潮南103 (1.30)100 (1.27)78 (0.99)
鴻巣256 (1.29)268 (1.35)214 (1.08)
川越女子458 (1.28)519 (1.45)484 (1.35)
不動岡459 (1.28)442 (1.23)441 (1.23)
岩槻350 (1.26)256 (0.92)267 (0.96)
大宮光陵247 (1.25)279 (1.41)229 (1.16)
所沢中央396 (1.25)365 (1.15)363 (1.14)
草加南296 (1.24)300 (1.08)302 (1.09)
※数値はそれぞれ進学希望者/志願確定者数、()内は倍率

上の表に含まれる学校群は前年度の進路希望調査でも似たような倍率になった学校が多くみられますが、実際の入試では先の高倍率校同様、志願者が減少して倍率ダウンする学校が目立ちます

入試での倍率はどうなる?【10月時点で低倍率の学校群】

さらに進路希望調査で倍率が低かった学校はどのような入試状況になることが多いのでしょう。

次の10校は今回の進路希望調査で1倍前後の倍率になった学校です。

進路希望時点で低倍率の学校群

学校名2022年10月調査2021年10月調査
(前年度実績)
2022年度入試
(前年度実績)
春日部女子252 (1.06)260 (0.94)280 (1.01)
草加西251 (1.05)262 (1.10)247 (1.04)
大宮東248 (1.04)259 (0.93)244 (0.88)
上尾鷹の台198 (1.00)230 (0.97)251(1.05)
草加357 (1.00)468 (1.31)374 (1.04)
春日部354 (0.99)378 (1.06)451 (1.26)
熊谷315 (0.99)332 (1.04)350 (1.10)
熊谷女子315 (0.99)334 (1.05)342 (1.08)
三郷北235 (0.99)218 (0.92)246 (1.03)
川口東269 (0.97)245 (0.88)284 (1.02)
※数値はそれぞれ進学希望者/志願確定者数、()内は倍率

これらの学校は前年度の調査でも同じような倍率でした。そして実際の入試状況を見ると、志願者が増加し倍率アップした学校が多く、上記の学校とは逆の動きになりました。

「進路希望調査」の使い方

ここまでのデータから、次のようなことがいえるでしょう。

  • 進路希望調査では高倍率校低倍率校はおおむね固定している
  • 実際の入試では高倍率校は大幅に志願者が減少し倍率は下がるが、それでも倍率は高いままで推移する
  • 1.3倍前後の学校でも多くは倍率ダウンになる可能性が高い
  • 1倍前後の学校になると逆に志願者増になり倍率は上がる傾向がある

従って、今回の調査でだいたいの傾向がつかめるものの、実際の入試倍率は大きく変わると考えた方がいいでしょう。

倍率の変動があってもそれに負けない力をつけておくようにしましょう。

なお、進路希望調査は12月にも行われ、その結果が翌1月に公表されることになっています。

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