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2023(令和5)年度入試 神奈川県進路希望調査(2022年10月時点)

入試情報

2023.01.06

2023.01.06

神奈川県の公立高校受験の仕組みや選抜方法

11月25日、神奈川県教育委員会から2023(令和5)年度入試に向けた10月20日現在の進路希望調査の結果が発表されました。

その概要をまとめましたのでご参照ください。なお、詳細は以下のページをご覧ください。

令和4年度 公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況 – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)

過去5年間の進路希望調査状況(概要)

まず、全体的な特徴を見ていきましょう。

各年度の中学卒業予定者数とその内で進学を希望する生徒の割合は以下のようになっています。

・卒業予定者数と進学希望者数の推移

年度卒業予定者数進学希望者
2018年10月68,70264,889(94.4%)
2019年10月67,08163,428(94.6%)
2020年10月65,12661,721(94.8%)
2021年10月67,08163,652(94.9%)
2022年10月67,98464,601 (95.0%)
※()内は卒業予定者数に占める割合

2022年度の進学希望者数は卒業予定者全体に占める割合が前年比で0.1ポイントの微増、実数としては+949人となりました。

続いて進学希望者の希望する進路の傾向について見ていきましょう。

・進学希望者の希望進学先(概要

年度全日制志望定時制志望通信制志望
201862,412(90.8%)876(1.3%)1,601(2.3%)
201961,109(91.1%)759(1.1%)1,560(2.3%)
202059,150(90.8%)728(1.1%)1,843(2.8%)
202160,424(90.1%)771(1.1%)2,457(3.7%)
202260,975(89.7%800(1.2%)2,826(4.2%)
※()内は卒業予定者数に占める割合

全日制希望率は年々低下しており、今年もその傾向が継続しています。

また、全日制志望者に限定して細かく見ていくと以下の表のようになります。

全日制高校進学希望者の希望進学先内訳

年度県内公立県内私立県外公立県外私立
201854,302
(79.0%)
5,020
(7.3%)
431
(0.6%)
2,659
(3.9%)
201953,311(79.5%)4,825
(7.2%)
384
(0.6%)
2,589
(3.9%)
202050,974(78.3%)5,037
(7.7%)
370
(0.6%)
2,769
(4.3%)
202151,934(77.4%)5,246
(7.8%)
349
(0.5%)
2,895
(4.3%)
202251,899(76.3%)5,595
8.2%
391
(0.6%)
3,090
(4.5%)
※()内は卒業予定者数に占める割合

ここまでの表から、次の特徴を挙げることができます。

  1. 全日制高校への希望率が90%を割った。
  2. 県内公立高への希望率は減少傾向が続く。
  3. 県内私立高への希望率は増加傾向で、今回8%台にアップした。また県外私立も上がった。
  4. 通信制高校への希望率は過去最高を年々更新、今回は4%台に乗った。

全日制希望率が下がり90%を割ったのは、現在県教委のホームページで確認できる1998(平成3)年度以降では初めてのことです。これは4の通信制高校への希望率が年々増えていることが影響しています。

次の公立高希望率が減少しているのは、通信制への流れ、私立高の授業料補助金制度の充実、さらにコロナ禍によって早く確実に進学先を決めたいという気持ちにより私立高の推薦入試に向かう傾向が生じたことなどが理由として考えられます。

3の私立志向の高まりは、私立高の授業料補助金制度が浸透してきた2015(H27)年度に6.1%から6.8%にアップしましたが、次いでコロナ禍の中での調査になった2020(R2)年にも表にあるように7.2%から7.7%にアップしました。そして今回の調査でも県内、県外ともに私立高希望率が上がり私立志向の高まりが現れました。

これらの結果から来春の公立高入試は倍率ダウンが予想されるところですが、2019年10月の調査で公立希望率がアップしても実際の入試では1.19倍から1.17倍にダウンし、2020年10月では公立希望率がダウンしたのにも関わらず、入試倍率は1.17倍から1.18倍に上がったので、必ずしも公立高入試の倍率が下がるとは限りませんが、この段階では公立希望者減が続く結果になりました。

神奈川県内公立高校の学科別希望状況

次に公立高校の学科別希望倍率を見てみましょう。

・公立高校の学科別希望倍率

年度普通科専門学科総合学科
201845,169(83.2%)6,162(11.3%)2,971(5.5%)
201945,105(84.6%)5,415(10.2%)2,791(5.2%)
202042,940(84.2%)5,379(10.6%)2,655(5.2%)
202143,935(84.6%)5,339(10.3%)2,660(5.1%)
202244,049(84.9%)5,187(10.0%)2,663(5.1%)
※()内は公立希望者計に占める割合

近年の公立高入試は普通科志向の入試になっており、専門学科との倍率格差が拡大しています。

今回の結果を見ても、普通科の希望率が若干アップ、一方の専門学科はダウンしており普通科志向がより進行しているようです。前年度の2021年10月調査でも普通科がアップし専門学科がダウンしましたが、実際の入試でも普通科は1.22倍から1.23倍にわずかですが上がり、専門学科は1.01倍から0.93倍に下がっており、来春の入試でも普通科志向の入試状況が予想されます。

では、各校の希望状況はどのような結果になったのでしょうか。

神奈川県内公立高校・各校の希望状況

前年度と比較すると、進学を希望する受検生の数に激しい増減が見られる学校もあります。普通科高校の中で、前年度の進路希望調査時と比べて100人以上希望者が増加したのは次の学校です。

・100人以上希望者が増加した学校

学校名市立橘湘南大船金井西湘
2022年10月
希望数
511921477408447
2021年10月
希望数
357784362302341
増減+154+137+115+106+106

市立橘は人気の高い上、国際科とスポーツ科があるため普通科の募集枠が小さく、高倍率になりやすい学校です。しかし今春の入試では珍しく志願倍率が1.2倍台まで下がり(1.36→1.28倍)、市立橘としては緩やかな入試になりました。今回の希望者増はその揺り戻しと考えられます。

湘南には隔年現象があり倍率が上がったり下がったりしています。来春は倍率アップの年に当たっているので、この希望者増はそれを反映したものといえます。

大船は今春の志願締め切り時の倍率が1.11倍で2018(H30)年度の1.07倍に次ぐ低い倍率であったことや、競合する七里ガ浜の募集学級数が減ることもあり大幅な希望者増になったものと考えられます。

金井も今春、昨春と志願締め切り時の倍率が定員割れ(0.97→0.99倍)であったこと、それに制服が変更されることで人気を集めたようです。

西湘は今春、今の入試制度になった2013(H25)年度以降で初めて受検生全員が合格する緩やかな入試になったため、その反動が現れました。

逆に、100人以上希望者が減った学校を見ていきましょう。

・100人以上希望者が減少した学校

学校名湘南台城郷横浜翠嵐市立戸塚
2022年10月
希望数
384365945632
2021年10月
希望数
5514941,062747
増減-167-129-117-115

湘南台は今春の入試で受検生の約4割が不合格になる過去最大の激戦でした。そのため今回の希望調査では敬遠傾向が現れました。

城郷も今春の入試では倍率アップしており、その反動で希望者減になっているようですが、昨春の大学進学率が大幅にアップした岸根の希望者が92人増えたことも影響したのかもしれません。

横浜翠嵐も今春の入試は激戦で、受検生の半数以上が涙をのみました。今回の希望者減はそのためで、湘南に移動したと考えられます。

市立戸塚は今春の入試倍率がダウン(志願締め切り時1.61→1.39倍)したのにもかかわらず、希望者は115人の減になりました。市立戸塚が属する横浜中部地区は横浜南部地区(南区・港南区・栄区)の高校を希望する生徒が増えており、その中では市立戸塚と競合する横浜栄の希望者が72人増えていることから市立戸塚から横浜栄への移動が考えられます。

入試での倍率はどうなる?

上で見てきたような進路希望調査で希望者が増減した学校は、実際の入試でも同じような傾向が見られたのでしょうか。前年度の進路希望調査の結果と実際の入試とで確認してみましょう。

・2021年10月の調査で100人以上希望者が増えた学校の場合

学校名横浜翠嵐湘南台市立戸塚鶴見七里ガ浜横浜緑ケ丘住吉
2021年10月
希望数
1,062551747455690768764
2020年10月
希望数
799379596323565652658
増減+263+172+151+132+125+116+106
2022年度志願者数912(2.55)469(1.97)387(1.39)499(1.57)574(1.44)539(1.94)541(1.51)
2021年度志願者数808(2.26)325(1.37)448(1.61)328(1.03)567(1.58)614(2.21)536(1.50)
※()内は志願倍率

横浜翠嵐、湘南台、鶴見などは実際の入試でも志願者が増加して倍率は上がりましたが、市立戸塚、七里ガ浜、横浜緑ケ丘は逆に倍率ダウン、進路希望調査とは逆の結果になりました。

一方、希望者が減った学校はどのような志願状況になったのでしょうか。

2021年10月の調査で100人以上希望者が減った学校の場合

学校名神奈川総合上矢部横須賀南
2021年10月希望数43819695
2020年10月希望数566309201
増減-128-113-106
2022年度志願者数258(1.24)203(0.85)116(0.98)
2021年度志願者数415(2.00)243(1.02)138(1.17)
※()内は志願倍率、神奈川総合は個性化・国際文化を合わせた人数

希望者数が100人以上減った学校は上記の3校だけでしたが、3校とも実際の入試では倍率ダウンしました。

3校だけでは傾向がつかめないので、もう少し減少数が少ない学校も見てみましょう。

2021年10月の調査で60人以上希望者が減った学校の場合

学校名市立橘横浜
氷取沢
横浜
清陵
上溝津久井浜大船西湘
2021年10月
希望数
357288435511291362341
2020年10月
希望数
456373505573353423401
増減-99-85-70-62-62-61-60
2022年度志願者数254(1.28)355(0.99)307(1.29)307(1.29)281(1.18)441(1.11)326(0.94)
2021年度志願者数270(1.36)438(1.22)373(1.41)355(1.49)312(1.31)471(1.18)374(1.21)
※()内は志願倍率

希望者数が60人以上減った学校について見てみると、横浜清陵を除いて志願者は減って倍率が下がっており、やはり同じような結果になっています。

従って、希望者が大幅に減った学校については実際の入試でも志願者が減少する可能性が高いといえるのではないでしょうか。

とはいえ、横須賀南は実際の入試で22人の志願者減、市立橘が16人減で留まっており、必ずしも希望者減の分がそのまま反映されているとはいえません。

この記事のまとめ

いかがでしたでしょうか。

希望者数が増えた学校も減った学校も、これから変動する可能性があるといえます。

今回の調査結果に一喜一憂せず受験勉強にしっかりと取り組み、学力(得点力)をつけるように努めましょう。

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