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2023(令和5)年度 都内国立大附属・私立高入試概況①

入試情報

2023.05.12

2023.05.12

東京都立高校受験の仕組みや選抜方法

2023(令和5)年度の都内国立大学附属・私立高の入試がどのように行われたのか見ていきましょう。

都立高校の概況はこちらから

【高校受験エクスプレス】2023(令和5)年度 東京都立高校入試概況

国立大学附属校の状況

国立大学附属校では応募者が増えたところ、減ったところさまざまでした。

お茶の水女子大学附属は前年度の応募増、実質倍率アップ(3.06→3.57倍)によって敬遠されましたが倍率は3.26倍で留まっています。3倍前後がお茶の水女子大附の標準的な実質倍率なので今年度も厳しい入試であったといえるでしょう。筑波大学附属駒場も応募減。一般生のみの実質倍率は3.16倍から2.93倍にダウンし、筑駒の標準的な入試で落ち着きました。筑波大学附属の男子の応募者は増えたり減ったりしています。これに合わせて実質倍率も2020年度より4.03→3.33→4.29→3.78倍と上がったり下がったりします。前年度の入試状況をみて受験戦略を立てる受験生が多いことを示しています。一方、女子の実質倍率をみると2.69→3.00→3.10→2.94倍と推移しており、比較的落ち着いた入試状況になっています。東京学芸大学附属は男女とも応募増、特に男子は600人を超え最近の10年間で最多の応募数になりました。しかし受検者は534人で113人が受験を棄権しており棄権率は17.5%に上ります。2020年度からの棄権率は9.4→9.7→11.4%で、今年度は突出して高くなりました。また、合格者も多く出した(124→153人)ため実質倍率は前年度の3.82倍から3.49倍へと下がってしまいました。女子も応募増で4年ぶりに400人台に上りましたが、受検棄権率は9.6%で前年度(8.6%)とほとんど変わらず、合格者も前年度並み(116→113人)だったため実質倍率は3.03倍から3.43倍にアップしました。

【国立大学附属受検者数の推移(男子)】

男子2020
応募者
2021
応募者
2022
応募者
2023
応募者
お茶の水女子大学附属
筑波大学附属駒場143176165150
筑波大学附属405341418390
東京学芸大学附属479411535647
1,0279281,1181,187

【国立大学附属受検者数の推移(女子)】

女子2020
応募者
2021
応募者
2022
応募者
2023
応募者
お茶の水女子大学附属298381440392
筑波大学附属駒場
筑波大学附属191213222217
東京学芸大学附属379351384429
8689451,0461,038

東京工業大学附属科学技術は男女別の応募者が不明のため、別枠での表記になります。応募者は16%増加して400人を超えました。しかし合格者も増やした(228→250人)ため実質倍率は1.36倍から1.41倍へと若干のアップで留まっています。2026年4月より東工大の大岡山キャンパスに移転予定なので、来春(2024年度)の入学生は高3から通学する場所が変わることになります。

男女2020
応募者
2021
応募者
2022
応募者
2023
応募者
東京工業大学附属科学技術455251355411
※一般入試の応募者数

男子難関進学校の状況

以下の男子難関進学校では桐朋を除き応募増、4校合わせた人数も増加傾向になっています。開成は前年度に応募増になり、実質倍率も2.62倍から2.97倍に上がりましたが、今年度はその反動もなく実質倍率は2.94倍で厳しい入試が続きました。この夏に第2期工事が終了し学生ホールや小体育館などが使用できるようになるようです。巣鴨は一般入試に5科型を導入してから応募増が続きます。今年度は400人近くまで増え近年にない多くの応募者が集まりました。また、前年度に高校からの入学生が大幅に増加したためか、合格者を絞った(190→146人)ため、実質倍率が1.48倍から2.52倍に上がり厳しい入試になりました。今年度より5科型での合格者の割合を70%から80%に拡大しており、今後も5科型受験者が増加しそうです。城北の一般入試の応募者数は大きな変動がなく、実質倍率もこの3年間は1.90→1.83→1.87倍と安定しています。桐朋の応募者数は増えたり減ったりしており、今年度は応募減の年でした。しかし、前年度の高校からの入学生が募集数を上回ったためか、合格者を絞った(163→144人)ので実質倍率は1.44倍から1.49倍とほとんど動きませんでした。

男子2020
応募者
2021
応募者
2022
応募者
2023
応募者
開成522498566565
巣鴨149245298386
城北327360333340
桐朋246215240217
1,2441,3181,4371,508

難関大学附属校の状況

次の11校は系列大学への進学率が高く、しかも一般入試で併願優遇制度を導入していないため大量の不合格者が出ている学校です。

11校合わせた応募者数をみると、推薦、一般入試ともに2021年度に減少していますが、これはコロナ禍によって受験生が安全志向になったことや併願校数を絞った結果と考えられます。しかし翌年から一般入試の応募者は増え始め、今年度は推薦入試も含めて増加し、コロナ前の2020年度入試に近づいてきて附属校人気が復活しました。

推薦2020
応募者
2021
応募者
2022
応募者
2023
応募者
慶應義塾女子113122143113
早稲田大学
高等学院
236236247207
早稲田実業132100118113
明治大学付属
明治
11710687100
明治大学付属
中野八王子
425371343365
明治大学付属
中野
202429126
中央大学附属304263307363
中央大学杉並408356344346
中央大学246188197204
青山学院224278248223
立教池袋
2,2252,0442,0632,136
一般2020
応募者
2021
応募者
2022
応募者
2023
応募者
慶應義塾女子471454455471
早稲田大学
高等学院
1,8501,5071,8481,800
早稲田実業1,101910818812
明治大学付属
明治
581557581781
明治大学付属
中野八王子
553445430437
明治大学付属中野1,158935988961
中央大学附属646556785908
中央大学杉並1,115948951965
中央大学872681812658
青山学院1,0209881,048950
立教池袋39271357
9,4068,0088,7298,800

慶應義塾女子は推薦入試の応募者が2022年度に増加しましたが、これは豊島岡女子学園の高校募集停止の影響と考えられます。この年の実質倍率は5.96倍にアップしたため、今年度は応募減になり2020年度並みに戻りました。一方、一般入試は安定しており応募者は450~470人、実質倍率は3.3~3.4倍で推移しています。女子の難関校が少ないため、この慶應義塾女子かお茶の水女子大附に集まらざるを得ない状況です。

早稲田高等学院は推薦入試の応募者が減少し、実質倍率が2.32倍から1.98倍へと珍しく1倍台に下がりました。一方、一般入試は2021年度に応募減、実質倍率ダウン(2.65→2.30倍)したものの、翌2022年度からは例年の入試状況に戻っています。

早稲田実業は一般入試の応募者数が減少傾向ですが、これは2022年度に募集人員を減らしたからです。2022年度入試では実質倍率がアップ、特に女子は5倍近い4.95倍に上がったため今年度の応募者は約60人の減、一方男子は早稲田高等学院からの移動があったのか約50人増えました。この結果、男女の実質倍率の差が縮まっています。

明治大学付属明治は一般入試の応募者が200人、34%の大幅増となり4年前の2019年度入試並みに回復しました。前年度に男子の実質倍率が下がった(2.82→1.79倍)ことや、今春、青山学院が入試日を2月12日から11日に変更し、12日入試日の明大明治の競合校が減ったことが影響したのかもしれません。その結果、男女とも実質倍率が上がり厳しい入試になりました。

明治大学付属中野八王子の推薦入試は2021、2022年度と応募者が減少し、実質倍率も2倍台に下がり同校としては低めの倍率になりましたが、今年度は応募者が増加し3倍台に上がりました。一般入試は2020年度までは実質倍率5倍台と高騰していましたが、2021年度から下がりだしています。今年度の応募者数は前年度並みでしたが、合格者を多く出した(95→114人)ため実質倍率は4.32倍から3.66倍にダウンしました。来年度から学校名を「明治大学付属八王子」に変更する予定です。

明治大学付属中野の推薦応募者が4倍にも膨れ上がったのは、従来のスポーツ推薦のほかに一般推薦(推薦Ⅰ型(総合)入試)を導入したからです。推薦Ⅰ型の募集人員は30人で合格者は35人、実質倍率は2.91倍でした。一般入試は推薦Ⅰ型の合格者の分応募減になった形ですが、実質倍率は3.18→3.13倍と変動ありませんでした。

中央大学附属は2021年度に推薦、一般ともに応募減になりましたが、翌2022年度から増加に転じ、今年度もさらに増えました。しかし推薦入試の実質倍率は3.07倍から3.66倍に上がったものの、一般入試は合格者を増やした(181→216人)ため、4.18倍から4.04倍へとやや下がっています。

中央大学杉並は2020年度に推薦、一般入試ともに応募増になり実質倍率が推薦2.31→2.81倍、一般2.64→4.00倍にアップしましたが、2021年度からは例年の推薦2.3~2.6倍、一般2.6~2.9倍で安定した入試が続いています。

中央大学も2020年度に応募者が増加し、実質倍率は推薦3.42→4.22倍、一般3.10→4.05倍に上がりましたが、以降推薦は3.1~3.4倍、一般入試は隔年現象があるものの3倍台で推薦入試同様の倍率で推移しています。なお、中央大学へ約9割が進学していますが、同大学への推薦者数については制度改革のため調整中とのことです。

青山学院の推薦入試は2020年度からの実質倍率が男子2.14→2.69→2.27→2.63倍、女子3.40→4.37→4.47→3.53倍と推移しています。男子は上がったり下がったりしており、今年度は前々年度並みの高い厳しい入試でした。女子は2021、2022年度と倍率アップし、今年度は高倍率が敬遠された形です。この結果、女子の応募者が減少し、男子は増えたものの男女計では1割の減になりました。一般入試の応募者は増減を繰り返しており、入試日を2月12日から11日に変更しましたが、その動きに変化はありませんでした。実質倍率をみると男子は今年度応募減になったのにもかかわらず合格者を絞った(101→76人)ため4倍台に上昇、女子は前年度の2022年度に5倍台に上がり敬遠された形です。しかしそれでも激戦の状態が続いています。

立教池袋も入試日程を変更し、2月10日から13日にしました。その影響と前年度の応募減の反動もあり今年度は多くの受験生が集まりました。合格者は例年通り10人ほど(12人)としたことから実質倍率は4倍(4.42倍)に急騰しています。

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