埼玉県の公立高校の選抜には、他県と異なるポイントがあります。公立高校の合格を目指すためには、埼玉県の高校入試の特徴を知っておくことが何よりも大切です。
今回は、埼玉県の公立高校受験の仕組みについて詳しく解説していきます。埼玉県ならではの特色を知り、入試対策をしていきましょう!
目次
埼玉県の公立高校入試の特徴
まずは、埼玉県の公立高校入試の特徴について見ていきましょう。
1.調査書を点数化している
後ほど詳しく解説しますが、埼玉県の公立高校入試は学力検査と調査書の両方を判断基準にして合否を判定します。ここまでは他県と違いはありませんが、埼玉県は「調査書の内容を点数化し、その点数の計算式を学校が公開している」ところが大きな特徴です。
例えば、埼玉県立大宮高校の選抜基準を見てみると、以下のような記載があります。[注1]
- 学力検査の扱い…500点
- 調査書の扱い…360点
学習の記録の得点→1年:2年:3年=1:1:2 180点
特別活動等の記録の得点→90点
その他の項目の得点→90点
内申点は「5点×9教科=45点」が満点です。この記載によれば大宮高校では、1・2年生は45点、3年生は45点を2倍した点数を学力検査の得点に加算していくことになります。
このように、埼玉県では、入試のときにどれほど調査書の内容を加味するかについてはっきりと公表しているのです。多くの高校では、3年生の成績を重視する評価基準に設定しています。
公立高校の受験を考えている学生は、学力検査対策だけではなく内申点を上げられるように中学校生活を送ることを意識しましょう。
2.合否の判定が2回に分けられて行われる
合否の判定が2段階に分けて行われるのも、埼玉県の公立高校受験の大きな特徴です。当然試験は一度きりですが、学力検査点と調査書点の比率を変えて、2回に分けて選考が進められていきます。
詳しい比率は学校によって異なりますが、第一次選抜は学力検査と調査書を同じくらい重視し、第二次選抜はより学力検査を重視した選考を行っていく傾向にあります。
公立高校を目指す学生のなかには、実技教科が苦手で調査書の点数を思うように伸ばせなかったということもあるかもしれません。しかし、調査書点よりも学力検査点のほうが比重の高い学校もありますので、第二次選抜も含めあきらめずに調べてみましょう。
埼玉県の公立高校受験の仕組み
埼玉県の公立高校入試の特徴がわかったら、詳しい試験の内容や日程について見ていきましょう。
1.選考は学力検査+調査書の得点
先述しましたが、埼玉県の公立高校を受験する際は「学力検査+調査書の得点」で合否を判定していきます。
学力検査は「100点満点×5科目=500点満点」で判定されます。調査書の得点は、高校によって「1年:2年:3年=1:1:2」もしくは「1年:2年:3年=1:1:3」など、3年生の成績を重視して点数化されることが多いです。
たとえば、先述した県立大宮高校の判定基準「1:1:2」を例にとってみましょう。
- オール3の場合…27+27+54=108点
- オール4の場合…36+36+72=144点
このように内申点が異なると、学力検査を受ける前から36点もの差が生まれてしまうことになります。1点足りないだけで不合格になってしまうシビアな高校入試の世界では、この点数の差は合否に大きな影響を及ぼします。
調査書の内容に自信がない学生は、この差を埋めるためにより学力検査対策に力を入れていきましょう。まだ高校受験までに時間的余裕がある学生は、今からでも学校での活動に力を入れて調査書の評価を上げる努力をしてください。
2.学力検査の内容
埼玉県の公立高校受験で実施される学力検査の科目は、国語・数学・英語・理科・社会の5教科です。各教科の試験時間は50分で、難易度は基礎~標準程度です。簡単というわけではありませんが、教科書の内容を理解できていれば難しく感じることは少ないかもしれません。
一部トップ校の英語・数学試験では、応用問題を含む難易度の高い「学校選択問題」が出題されることもあります。上位校を目指す場合は、応用的な内容についてもしっかりと対策をしておきましょう。
芸術系やスポーツ系、英語科を受験する場合、学力検査に加えて実技試験を行うこともあります。また、なかには面接試験がある高校も一部存在しています。志望校に合わせ、必要な対策を取るようにしましょう。
3.試験の流れ
埼玉県の公立高校を受験する際は、どのような流れでスケジュールが進んでいくのでしょうか。ここでは、令和3年度(2021年)のスケジュールを例に、試験日程についてまとめました。
2月15日・16日 | 入学願書提出期間 |
2月18日・19日 | 志望先変更期間 |
2月26日 | 学力検査(追検査は3月3日) |
3月1日 | 各学科に必要な実技・面接試験 |
3月8日 | 合格発表 |
試験の流れや日程は、年度によって異なります。上記の日程を目安として、ご自分が受験する年度のスケジュールをしっかりと確認しておきましょう。
埼玉の公立高校の選抜方法
2段階の選抜が行われる点が特徴的な、埼玉県の高校入試。ここからは、それぞれの選抜方法について更に詳しく解説します。
1.第一次選抜
最初に行われる一次選抜では、定員の60~80%の学生が選ばれます。学力検査と調査書の比率は各高校によって異なりますが、以下のように設定されていることが一般的です。
【学力検査のみの場合】
学力検査60~40%+調査書40~60%=100%
【実技・面接試験がある場合】
学力検査・調査書50%以上+実技・面接50%以下=100%
いわゆる難関校と呼ばれる埼玉の公立高校のほとんどは、「学力検査:調査書=6:4」と設定して、学力検査に比重を置く傾向があります。
2.第二次選抜
第二次選抜とは、第一次選抜から漏れてしまった学生を対象に実施される選抜です。ここで、定員の20~40%の学生を選びます。
より学力検査を重視して合否を判定する第二次選抜では、以下の比率で得点を計算していきます。
【学力検査のみの場合】
学力検査70~30%+調査書30~70%=100%
【実技・面接試験がある場合】
学力検査・調査書50%以上+実技・面接50%以下=100%
一部では、第二次選抜でより調査書を重視して合否判定する高校もありますが、難関校を含む多くの高校では「学力検査:調査書=7:3」の比率で選考します。第二次選抜ではより学力検査が重要視される傾向にあるため、内申点に自信がない学生も評価してもらえるメリットがあります。
3.第三次選抜
高校の中には、第二次選抜に加えて第三次選抜を行うところもあります。対象となる学生は、第一次選抜もしくは第二次選抜で一定の基準点を満たしている場合のみです。特別活動やその他の項目、実技や面接などの得点を組み合わせて選抜していきます。
埼玉県の公立高校受験の仕組みを知って入試をマスターしよう!
埼玉県の入試は、調査書が点数化されて第二次選抜まで行われる点が非常に特徴的です。学力検査だけではなく、調査書の内容も合否を大きく左右するため、早い段階からしっかりと対策を行っておくことが大切です。
公立高校のなかには、実技試験や面接試験を実施するところもあります。志望校の試験内容や入試スケジュールをよく確認し、今から行うべき対策を見極めていきましょう。