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2024(令和6)年度 都内私立高入試概況②

入試情報

2024.07.05

  • #私立高校受験

2024.07.05

東京都立高校受験の仕組みや選抜方法

前回に続いて2024(R6)年度の都内私立高入試の概況をみていきましょう。

上位大学附属校の状況①

上位の大学附属校の状況をみていきましょう。

【推薦】

20202021202220232024
国際基督教大学
明治学院388354307393334
成蹊2039223522
国学院久我山4565426861
国学院143128285136129
日本大学第二10413310898111
芝浦工業大学附属3458648361
東京都市大学等々力
帝京大学
淑徳425303237295292

【一般】

20202021202220232024
国際基督教大学286252299309300
明治学院1,1209561,0841,3161,286
成蹊142195173213173
国学院久我山293296271301241
国学院2,4461,8322,4142,6072,712
日本大学第二387376360330448
芝浦工業大学附属104123112138136
東京都市大学等々力360216218263269
帝京大学475382427321275
淑徳907851857766745

国際基督教大学高等学校

国際基督教大学は、2021年度にコロナ禍によって落ち込んだ応募者数が翌2022年度以降復活。以降300人前後で安定しているようですが、実質倍率は2022年度をピークに下降傾向です。合格者を増やしていることに加え、2024年度は受検棄権者が増加(24→36人)したことが原因です。都立推薦合格者が本校への受検を取りやめたのかもしれません。

なお、2025年度入試も一般入試は募集人員80人(国際生含む)、検査日2/10で実施される予定です。

明治学院高等学校

20202021202220232024
男子【応募】448345433453582
男子【合格】128136137132132
女子【応募】672611651863704
女子【合格】121124137126132

明治学院の女子は、2022年7月に完成した新校舎の影響か、2023年度入試で応募者が大幅に増加。実質倍率6倍を超える激戦でした。今年度はそれが敬遠され、約3割の応募減。実質倍率は4.62倍に下がり、例年の入試に戻りました。一方で男子の応募者は増加傾向で、実質倍率も上昇しています。

2023年度まで実質倍率は常に女子が高く、男女の差が大きく開いていましたが、今年度は珍しくその差が縮まりました。 推薦入試の応募者数は、2022年度より増えたり減ったりする隔年現象の動きになっています。

成蹊高等学校

20202021202220232024
男子【応募】7310999115103
男子【合格】5248584040
女子【応募】6986749870
女子【合格】5647453254

成蹊の応募者は、男女とも増えたり減ったりする隔年現象の動きがあり、今年度は応募減の年に当たっていました。男子の応募者数が女子より多くなっていますが、男女それぞれの応募者数に見合う合格者がでており、2023年度までの実質倍率は差はそれほどありませんでした。しかし今年度は女子の合格者を多く出したことから、女子の実質倍率が大幅に下がって男女の差が生じました。

推薦入試は2023年度に不合格者がでたことから、今年度は応募減(男女合わせて35→22人)になり全員合格しています。なお、2025年度は推薦入試の募集人員を約20人から約25人に増やすようです。これによって応募者も増加すると見込まれます。

国学院久我山高等学校

20202021202220232024
男子【応募】231129200223180
男子【合格】1251041119792
女子【応募】6267717861
女子【合格】4849535241

国学院高等学校

20202021202220232024
1回1,2459941,2431,3061,365
2回836658821953961
3回365180350348386

国学院は2021年度にコロナ禍で応募者が大幅に減少した後、翌2022年度から増加に転じ、以降増え続けています。

2024年度は1回(2/10)の募集人員を減らし、2回(2/12)を増やしましたが、応募状況に変化はありませんでした。また、3回(2/17)に5科型を導入し、3科または5科の選択制に変更しました。しかし5科の応募者は3科の3分の1と少なく、あまり浸透しなかったようです。

実質倍率は、1回目が2倍前後と他と比べて低いので、志望の順位が高い場合は1回目を受けるべきでしょう。3回目は変動が激しいので要注意です。

日本大学第二高等学校

20202021202220232024
A志願【応募】283278260242363
A志願【合格】98108150142124
B志願【応募】104981008885
B志願【合格】3938494525

日本大学第二は、A志願(入学手続き期間が短い)の応募者が100人以上増加。1.6倍台の低めで推移していた実質倍率も、2020年度とほぼ同じ2.7倍台に回復しました。ただ、繰り上げ合格者を例年より多い35人出しているため、他私立に向かった受験生が多かったようです。

一方でB志願(入学手続きが公立発表後)は前年度並みの少ない応募者数でしたが、合格者を絞ったため実質倍率は急騰し厳しい入試になりました。

芝浦工業大学附属高等学校

20202021202220232024
男子【応募】8110595111118
男子【合格】2526202435
女子【応募】2318172718
女子【合格】145573

芝浦工業大学附属は男子の応募者が圧倒的に多く、男子中心の入試になっています。実質倍率も高く、女子より狭き門になっていました。それが2024年度になると、男子の合格者が増加した一方で女子の応募者が減少し、合格者も3人のみとなったことから男女逆転して女子が厳しくなりました。

東京都市大学等々力高等学校

東京都市大学等々力は、2023年度に引き続き260人台と多くの応募者が集まりました。実質倍率もほぼ前年度並みで安定した入試が続いています。ただ、入試日が2/13であることから受験しない生徒も多く、毎年40人程度が棄権しています。

進学実績が好調で、今春も早慶上理ICUの合格者数が過去最多を更新したとのことです。

帝京大学高等学校

帝京大学の応募者数は2020年度から増えたり減ったりしていましたが、2024年度は増える年にもかかわらず逆にさらに減少してしまいました。2023年度は八王子学園八王子に新設された特選コースの影響、2024年度は麻布大学附属のS特進の影響と考えられます。

併願優遇制度がありますが、加点制度(30点加点)のため、毎年数人の不合格者がでています。

なおグラフの実質倍率で1倍を超えているのは、そのほかに一般入試(フリー)の分が含まれているためです。

淑徳高等学校

淑徳はコロナ禍の2021年度に併願推薦と一般2/14の応募者が大幅減になりました。これは遠方への進学を避けた埼玉県からの受験生が減ったことや、私立併願者が少なくなったことが要因として挙げられます。その後、併願推薦も一般2/14の応募者数は減少傾向が続いています。

一般2/11は2021・2022年度と増加したものの、2023年度は出願基準を男女統一基準に設定したことが影響したのか、26%の減となり、2024年度はまた増加するなど安定していません。

大学附属校ですが系列大学への進学者はほとんどおらず、性格は進学校といっていいでしょう。

みな受験勉強に励み、他大学に挑戦します。その結果、国公立や難関私立大学への進学者が増加しています。

上位大学附属校の状況②

【推薦】

20202021202220232024
拓殖大学第一169166239210164
明治学院東村山104166239210164
淑徳巣鴨16571898867
桜美林
東洋大学京北1651128313283
成城学園4155353650
日本大学第三8682828067
駒澤大学357318309311320
東京電機大学4952333235
文教大学付属3164735963
日本大学櫻丘252379273237228
日本大学鶴ケ丘261279208191160
目黒日本大学218223171240140
専修大学附属332239226237276

【一般】

20202021202220232024
拓殖大学第一1,6782,0681,9271,6141,346
明治学院東村山226169202165144
淑徳巣鴨9381,1411,2991,049974
桜美林1,5421,544825888802
東洋大学京北646374450991538
成城学園147148122208182
日本大学第三13076110104101
駒澤大学887711765721762
東京電機大学238249199244243
文教大学付属259280393317358
日本大学櫻丘1,021931764819873
日本大学鶴ケ丘525490372314389
目黒日本大学478456240645453
専修大学附属568372415485596

拓殖大学第一高等学校

拓殖大学第一は、2021年度に出願基準を緩和して応募増になった翌年から、減少傾向になっています。2023年度に出願基準をやや厳しくしたことで錦城に流れ、2024年度はその錦城のほか、コース改編した西武学園文理の影響も受けたのかもしれません。

大学附属校ですが、系列の大学に進学する生徒は数%で、ほとんどが他大学に挑戦します。

そのため進学校並みに受験勉強に取り組み、その結果卒業生の多くがGMARCH以上の難関大学に進学しています。

明治学院東村山高等学校

20202021202220232024
男子【応募】10279908192
男子【合格】5555505459
女子【応募】124901128452
女子【合格】4660464144

明治学院東村山の男子は応募者数が増えたり減ったりしながらも、実質倍率は比較的安定しています。一方女子は、男子より応募者が多くなる傾向がありますが、実質倍率は大きく変動しています。しかし、2024年度は女子の応募者が大幅に減少し、男子よりも少なくなったうえ、実質倍率も1.0倍台まで下がりました。併願優遇制度が公立のみと制限されており、しかも入試日が2/12とやや遅いため受験しづらい面があるのかもしれません。

しかし2025年度入試では、大幅な募集要項の変更があるので入試傾向が変わりそうです。

まず、男女別に設定していた併願優遇の出願基準を男女同じ9科38に設定します。男子にとっては今年度に続きハードルが上がることになります。また、公立のみとしていた併願優遇の対象校を公立私立ともに可とし、入試日を2/12から2/11に変更します。これによって、錦城や拓殖大学第一との併願が可能になるため、出願基準が変わらない女子にとっては選択肢が広がることになり、応募増の可能性があります。

淑徳巣鴨高等学校

淑徳巣鴨は、2023年度にもっとも利用しやすかった特進私文クラスの募集を停止してから、2年連続で応募減になっています。特に2024年度は各クラスの合格者を増やしたため、実質倍率も下がり、近年にない緩やかな入試になりました。ただ、合格者数は最上位クラスのアルティメットが最も多く、上位層が厚くなっていることを窺わせています。

なお、グラフの合格者数にはスライド合格の人数が含まれていないので、その分を考慮するとさらに実質倍率は下がります。

桜美林高等学校

桜美林の応募者数が2022年度に激減したのは、もっとも利用しやすい進学コースの募集人員を減らし(85→50人)、さらに出願基準を上げたからです。進学コースの募集人員は翌2023年度に90人、2024年度に100人と増やしているものの、応募者数は800人台と桜美林としては少ない人数で推移しています。 併願優遇は書類選考ですが、2/10か2/17に「特待・コースアップ選考」を受験する必要があるので、書類選考受験者は合格はゆるぎないものの、実質的に3科の学力検査を受けることになります。

東洋大学京北高等学校

東洋大学京北は応募者数の変動が大きくなっています。毎年のように募集要項を変更するからです。

2021年度は募集人員を減らした上に、推薦・一般入試を内申重視型と適性(学力)検査重視型に分け、推薦基準をアップするなどで大幅減。2022年度は、一般①の募集人員を70人から100人に増やして応募増、2023年度は適性(学力)検査重視型の基準を緩和して倍増、2024年度は内申重視型に英数の条件を追加して45%の大幅減というように推移してきています。

従って志望する際には募集要項に気を付けるようにしましょう。

成城学園高等学校

20202021202220232024
男子【応募】4859397874
男子【合格】1213101112
女子【応募】998983130108
女子【合格】3226333533

成城学園は女子の応募者が男子より多く、合格者もそれに見合うだけだしているため、実質倍率は3倍前後で安定しています。一方男子は、応募者数の変動が激しい上に、合格者は十数人のみになることから、実質倍率が大きく上下し厳しい入試になっています。

一般入試日は2/12と私立併願しやすい日程ですが、併願優遇がないため、第一志望者の受験が多いようです。

日本大学第三高等学校

20202021202220232024
A志願【応募】10064877474
A志願【合格】5258696164
B志願【応募】3012233027
B志願【合格】1610172721

日本大学第三は、2020年度にA志願、B志願とも合格者を絞ったため実質倍率が上がりました。ですが、翌2021年度はその反動や日本女子大学附属で専願入試を導入したこと、桜美林への移動などで応募減になりました。しかし、2022年度にB優遇(併願優遇)を導入したことでB志願の合格者が増加し、以降実質倍率は1.0倍台で推移しています。

ただ、入試の規模としては強い志望を持った生徒が受験するA志願の応募者が圧倒的に多く、推薦入試も含めて第一志望者中心の入試になっているといえるでしょう。

駒澤大学高等学校

20202021202220232024
併願【応募】562478472414416
併願【合格】503429428370374
一般【応募】325233293307346
一般【合格】9799123120143

駒澤大学は、2021年度に出願基準のハードルを上げたことで併願応募者が減。一般(フリー)は、2020年度の実質倍率アップの反動でそれぞれ応募減になり、以降併願応募者は減少傾向、一般(フリー)は増加傾向となっています。

併願入試のグラフをみると、合格者数が応募数より少なくなっていることから不合格者がでているように見えますが、受験を棄権する生徒が毎年1割程度いるためです。

この併願入試は公私可で、しかも他校受験の制限もなく、入試日が2/13にもあることから私立併願しやすいのですが、最近この2/13の応募者が2021年度より144→131→116→96人と減ってきており、私立併願者が少なくなっているような動きがみえます。一方で一般(フリー)の応募者と合格者が増加しており、これら私立高併願者が併願入試から一般(フリー)へシフトしているのかもしれません。

なお、2025年度は近隣の東京農業大学第一が高校募集を停止するので、その影響を受けると予想されます。

東京電機大学高等学校

東京電機大学は学校の特徴により、女子の応募者が少なくなっています。その中で女子の卒業後の進路を見ると工学系や理学系が多く、理系をめざす生徒が多く受験しているようです。

2022年度に男女とも応募減になったのは、近隣の聖徳学園がその年応募増になっているので、その影響と思われます。しかし翌2023年度には地域優遇制度を導入したためか、応募者は戻り、2024年度も変化はありませんでした。

文教大学付属高等学校

文教大学付属は、2021年度に一般③(2/23)の入試を追加し3回入試に変更。2022年度は加点項目を増やした上、一般②の入試日を2/12から2/11に移動し、青稜との同一日を避けました。また、特待入試を2/10から一般③の2/23に移動し、同日の応募者が大幅に増加しました。2023年度は加点制度のハードルを上げたことで応募減。そして2024年度はアルティメットの出願基準を上げましたが、一般③(2/23)の応募者は減りませんでした。

このように募集要項の変更が多いので、受験生は新しい情報を常に得るようにしましょう。

日本大学櫻丘高等学校

日本大学櫻丘は、2022年度に大幅な応募減になったあとは徐々に回復傾向にあります。ただ、この年から一般B(2/12)の応募者がA(2/10)をしのぐようになり、私立併願者が増えているような動きになっています。

2024年度も一般Aが9人増にとどまったのに対し、一般Bは45人約1割増えました。その内訳をみるとオープン入試の応募者がほとんどであることから、併願優遇の出願基準に達しない受験生が他の私立高を抑えにして本校に挑戦しにきているものと予想されます。

しかし、このオープン入試の実質競争率は2倍を超えており(2024年度は2.30倍、2023年度は2.01倍)、厳しい入試が続いています。

日本大学鶴ヶ丘高等学校

日本大学鶴ヶ丘も日本大学櫻丘同様、2022年度に大幅に応募者が減少しました。以降は比較的落ち着いた応募者数で推移していますが、2023年度より男子の応募者が女子をしのぐようになっています。

2024年度は特進コースの募集数を減らして総進コースを増やしていますが、応募状況に影響はありませんでした。

本校には第一志望者の推薦Ⅱという制度があります。面接に加えて適性検査を実施する入試でその成績によっては不合格になることもあります。また、推薦Ⅰの応募状況によっても合格ラインが変わようです。2024年度は全員合格しました。推薦Ⅱの不合格者の一般入試再受験は優遇措置がとられ、合格の可能性が高くなります。推薦Ⅰの利用は難しいが第一志望という場合はこの制度の利用を検討すべきでしょう。

目黒日本大学高等学校

目黒日本大学の一般入試の応募者数は大きく変動し安定していません。

2022年度に併願優遇を2/10のみとしたことから、大幅な応募減になりましたが、翌2023年度は一般(フリー)応募者が激増し、高い人気ぶりを示しました。ただ、この一般(フリー)の実質倍率が20倍程度に急上昇したことから、2024年度はスポーツ・芸能コースの募集停止も影響して3割以上の応募減になりました。

専修大学附属高等学校

20202021202220232024
男子【応募】286170221224294
男子【合格】123103146156144
女子【応募】282202194261302
女子【合格】153139146175180

専修大学附属は女子の人気が高まってきているようです。推薦入試は、2022年度に応募者120人まで落ち込みましたが、以降2年連続で増加し、2024年度は2020年度とほぼ同じ水準まで戻っています。一般推薦も同様の動きで、2024年度の応募者数は2020年度の300人に迫りました。

一方で、男子は推薦入試の応募者が減少傾向ですが、一般入試は女子同様増加傾向というように、推薦入試から一般入試へシフトしているような動きがみえます。

2023年度より公立併願から公私併願に切り替えたことが影響したのかもしれません。

ただ、一般入試の実質倍率は2倍近くまで上がっており、フリー受験者には厳しい入試になりました。

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