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2024(R6)年度 千葉県私立高入試の概況

入試情報

2024.10.18

2024.10.18

千葉県の公立高校受験の仕組みや選抜方法

千葉県の私立高入試は、1月17日からはじまる前期選抜と、2月15日からの後期選抜の2期制です。後期選抜を実施する学校は、2025(R7)年度入試では全日制53校中13校で募集数は193人、全体(12,673人)の1.5%に過ぎません。

従って、実質的には前期選抜で入試が終わるといっていいでしょう。

そんな千葉県の私立高入試は、今春どのように行われたのか振り返ってみましょう。

難関3校の応募状況

最初に、渋谷教育学園幕張、市川、昭和学院秀英の難関3校の応募状況から見ていきましょう。

渋谷教育学園幕張高等学校

実質倍率は受験者÷合格者です。以下同じ。

渋谷教育学園幕張(学力)の応募者数はほぼ前年度並みでしたが、その中身の選抜状況には変動がありました。

男子の応募者が増加し、女子が減少したものの、合格者数では男子が減、女子増となり、実質倍率の男女の差が縮まったのです。

募集人員は男女合わせた人数ですが、例年男子の応募者が圧倒的に多く、そのため合格者も男子が多くなっています。学力検査では数学と理科が特に難度が高く、例年平均点が低いことや、男女の実質倍率の差が大きいのも女子が挑戦しづらい要因になっているのかもしれません。

しかし今年度はその傾向が崩れ、女子の実質倍率が下がったため、2025年度入試では女子の応募者が増加する可能性があります。

渋谷教育学園幕張高等学校HP

市川高等学校

市川の推薦と一般入試を合わせた応募者数は前年度よりやや減ったものの、依然として1,200人に近い多くの人数を集めています。

渋谷教育学園幕張同様、男子の応募者が多くなっていますが、実質倍率は女子がやや高いものの男女で大きな差はありません。それだけに女子にとっても応募しやすい入試状況といえるでしょう。学力検査の平均点を見ても特に難易度が高い教科があるわけではないようです。

同日程で単願推薦入試も行われ、スポーツ・文化活動等で実績などが出願条件になっています。一般入試と同じ学力検査問題が課せられますが、実質倍率をみると女子は変動が激しく、しかも男女とも一般入試より高めなので、単願だからといって特に入りやすいということはないようです。

市川高等学校HP

昭和学院秀英高等学校

昭和学院秀英の応募者は、男女合わせて1,200人台前半で推移し、安定した人気を維持しています。

応募者は渋谷教育学園幕張や市川と同様男子が多く、実質倍率は女子が高いというのも同じです。しかし本校の場合、女子の実質倍率が下降傾向で、今年度わずかですがついに男女逆転しました。

男子も女子も毎年合格者を増やしており、今年度は男子34人8.6%増に対し、女子は26人9.5%増としたためです。

難関3校とも男女の実質倍率の差が縮小しているのは、偶然なのか意図的なものなのかは判然としません。

昭和学院秀英高等学校HP

上位校の応募状況①

芝浦工業大学柏高等学校

芝浦工業大学柏の前期①(1/18)の応募者数は微減でしたが、前期②(1/19)は10%の減となり、久しぶりに700人を割りました。

本校は実質倍率が高く、GSは例年13倍前後、GLも3~4倍と激戦が続いています。近隣の二松学舎大学附属柏のS特進の募集人員が増え、加点制度も復活したことから、基準を満たせば安心して受験できる学校に移動したのかもしれません。

ただ、進学実績は好調で、今春も国公立大学の現役合格者数は過去最高を記録したということですから、2025年度は応募増が予想されます。

芝浦工業大学柏高等学校HP

専修大学松戸高等学校

E類の合格者数に特待合格含む

近年、募集要項の変更がなく、応募状況は比較的安定しています。E類の応募者が2023、2024年度と減少しましたが、実質倍率はほぼ一定の水準を維持しています。A類の応募者は2023年度に微減となりましたが、おおむね右肩上がりで増加傾向になっています。それとともに実質倍率も上昇しており、E類との差が拡大しつつあります。2024年度は日本大学習志野が1/18にも入試日を設定したことから、本校のA類の志願者の一部が1/17にシフトしたようです。

専修大学に推薦で進学する生徒は1割程度で、ほとんどが他大学進学に向けて学習に取り組んでいます。

2025年度も募集人員、入試日、検査科目に変更はありません。

専修大学松戸高等学校HP

日本大学習志野高等学校

日本大学習志野は、2024年度に一般入試日を1/17のみから1/18を加え、2日間設けました。その新設の1/18に1,098人の応募者が集まり、一般入試応募者数は前年度より45%増の2,436人になりました。

合格者も35%増やして1,161人としたものの、実質倍率は2倍を超え厳しい入試になりました。

2025年度も募集人員、入試日、検査に変更はないようです。

日本大学習志野高等学校HP

上位校の応募状況②

成田高等学校

成田は2022年度より選抜状況の発表形態を変更しており、2021年度以前との比較が難しいため、合格者数と実質倍率は2022年度からの掲載になります。

応募者数は2023、2024年度と減少していますが、2024年度はそれ以上に合格者を絞ったため、実質倍率が上がりました。

2025年度は募集人員、入試日、検査に変更はありませんが、合格発表時に各教科、総合成績の得点が開示されるとのことです。

成田高等学校HP

千葉日本大学第一高等学校

千葉日本大学第一の応募者数は増えたり減ったりしており、安定していません。募集要項を毎年のように変更しているからです。

2021年度は後期選抜を廃止したほか、入試日の変更もあり応募減。2022年度は特進に併願推薦を、進学には第一志望入試を導入し応募増、2023年度は出願基準を上げて応募減。そして2024年度は進学に推薦入試(専併)を復活させ応募増、というように推移しています。

2025年度は珍しく大きな変更はないので受験しやすく、応募者増が期待されます。

千葉日本大学第一高等学校HP

日出学園高等学校

日出学園の応募者数は減少傾向になっています。2022年度は推薦基準を上げたため、2023年度は薦入試の募集人員を50人から20人に減らしたためですが、2024年度は募集要項に変更はありませんでした。

この応募減は、周辺地域の千葉商科大学附属や昭和学院が伸びてきており、本校と競合するようになって応募者が分散したためでないかと考えられます。

特進と進学の2コース制ですが、応募者が多いのが特進コースです。2コースともに同基準であることやスライド合格があることなどから、特進コースを選ぶケースが多いようです。

しかし、グラフを見てもわかるように、実質倍率は2倍前後で厳しい入試が続いています。

2025年度も募集要項に変更はありませんが、応募増となるのか注目されます。

日出学園高等学校HP

流通経済大学付属柏高等学校

流通経済大学付属柏の応募者数は増えたり減ったりしています。これは下の表にあるように、2023年度まで特進コースの応募者が増減していたからで、総合進学とスポーツ進学コースの応募者数は安定していました。

しかし、2024年度入試では総進が約70人減り、特進は約20人増とそれまでとは異なる動きになりました。これは総進の基準が上がったためで、一部が特進に移動したと考えられます。

2025年度は募集要項に大きな変更点はないため、総進に応募者が戻ってくる可能性があります。

流通経済大学付属柏高等学校HP

八千代松陰高等学校

八千代松陰は、2021年度に海外大学への進学を目指したAEM(英語特進)コースを新設し、応募者が大幅に増加しましたが、翌2022年度は進学とIGSの基準をアップ。2023年度は進学をアップ、と連続してハードルを上げたため、応募者は減少傾向になりました。しかし2024年度は、基準を元に戻したことから増加に転じるという、やや変動のある応募状況になっています。

IGSは募集人員が少ない(進学の340人に対して70人)のですが、応募者数は下の表にあるように進学に近い数を集めています。入試日が1/18と1/20という併願しやすい設定になっており、1/20の応募者が18日より多くなっています。日本大学習志野や専修大学松戸などとの私立併願者が多く受験していると考えられます。合格者も多く出しており、実質倍率は1.6~2倍程度で推移しています。

八千代松陰高等学校HP

麗澤高等学校

麗澤は応募者数が増加傾向でしたが、2024年度は一転して減少となりました。二松学舎大学柏で応募者が大幅に増加しており、その影響を受けたのかもしれません。

次の表のコース別応募者数と実質倍率のグラフをみると、S特進の応募数は16人。7.2%の減で留まっており、60人12.7%の減となった特選が影響を受けたことがわかります。

特選は実質倍率も変動があり、影響を受けやすいようです。

2025年度は英検加点の幅が広がるので応募者はさらに増加するかもしれません。

麗澤高等学校HP

中堅~上位校の志願状況

後期選抜を実施している場合は、その応募者数も含みます。

東海大学付属浦安高等学校

東海大学付属浦安の応募者数は、増えたり減ったりする隔年現象的な動きがあります。2023年度の応募減の主な要因は、一般併願入試の応募者が減少したからです。下のグラフを見てもわかるように、2022年度に一般併願入試の実質倍率が急騰したため、敬遠されたと考えられます。グラフにはありませんが、2024年度は推薦B(併願)の応募者が大幅に増加し、全体の応募者数も増加しました。

一般併願入試の応募者は2022年度まで200人近く、推薦Bの応募者数を上回っていましたが、実質倍率の高騰のためか2023年度と2024年度は150人程度で推移しています。それに伴い合格者数も減り、実質倍率は2倍台の高倍率を保っています。

単願者は推薦Cを多く利用しています。国数英の学力検査があるものの、出願基準が推薦Aより利用しやすい設定になっているからと思われます。

東海大学付属浦安高等学校HP

西武台千葉高等学校

西武台千葉は2024年度に単願、併願ともに合格ラインのハードルを上げたことで応募者が減少しました。併願推薦は1/17と1/18に行われますが、受験生は1/17に集中し、1/18を受験する生徒は少な目です。

2025年度は募集人員、入試日、検査科目に変更はありません。合格ラインについては確認しておきましょう。

西武台千葉高等学校HP

二松学舎大学附属柏高等学校

二松学舎大学附属柏は募集要項の変更が多い学校です。2022年度は加点項目を変更した影響なのか、応募者は微減。翌2023年度は進学コースの募集人員を減らし(85→50人)、B推薦(併願)を廃止。さらに併願入試の加点ポイントをなくしたことから、応募者はほぼ半減しました。2024年度はB推薦(併願)に加点ポイントを復活し、応募増と変動を繰り返しています。

2025年度はまたB推薦(併願)から加点ポイントを廃止するので、応募者は減りそうです。

二松学舎大学附属柏高等学校HP

千葉経済大学附属高等学校

千葉経済大学附属は、2023年度まで応募者数が安定していましたが、2024年度は急増しました。これは近隣の敬愛学園のハードルが上がったことが原因と考えられます。2025年度は、敬愛学園は変わらないものの、本校のハードルが上がるため、応募減になるでしょう。

千葉経済大学附属高等学校HP

千葉商科大学付属高等学校

千葉商科大学付属は募集要項の変動の激しい学校で、しかも年々合格のハードルが上がっています。今の募集形態(普通科特選と総進、商業科)になったのは2022年度で、翌2023年度はハードルを上げ、商業科のB推薦を廃止し応募者は激減。2024年度も一部コースを上げたものの応募増となりました。来春、2025年度は2023年度から復活していた後期選抜を廃止。入試日を前倒しし、さらに各科コースのハードルも上がるので応募状況の変動が予想されます。

千葉商科大学付属高等学校HP

中央学院高等学校

中央学院が2024年度に応募増になったのは、日本体育大学柏のハードルがやや上がり、受験生が本校に移動したためと考えられます。

2025年度も本校の募集要項に変更はありませんが、日本体育大学柏のハードルがさらに上がるため、来春も応募者数に影響を及ぼす可能性があります。

中央学院高等学校HP

光英VERITAS高等学校

光英VERITASは、2021年度に男女共学、校名変更をしてから応募者は増加傾向が続いています。

特待選抜入試で受験すると、特待合格しなくても推薦・一般で合格する可能性があるため、その受験を推奨しており、全受験者の約半数が特待選抜入試を受験しています。ただ特待生合格になるのは難しく、2024年度の実質倍率は1/17が9.18倍、1/18は5.62倍と狭き門になっています。

2025年度は中学校からの進学者が増加するせいか、高校の募集人員が140人から130人に減りますが、大きな影響はないと見込まれます。

光英VERITAS高等学校HP

東海大学付属市原望洋高等学校

東海大学付属市原望洋の2024年度の応募者数はほぼ前年度並みでしたが、S特進は大幅に減少しました(66→18人)。これは入試日を一日前倒しして1/17と1/18に移動したことで、進学Sの併願基準をアップした千葉明徳と競合したためと考えられます。

2025年度は募集要項に変更はないので、S特進に応募者が戻ってくると思われます。

東海大学付属市原望洋高等学校HP

敬愛学園高等学校

敬愛学園は大幅な応募減です。進学のB推薦を廃止したためです。この影響が千葉経済大学附属に現れたのは前述したとおりです。

2025年度は募集要項に大きな変更はなく、逆に千葉経済大学附属のハードルが上がるので、本校に受験生が戻ってくる可能性があります。

敬愛学園高等学校HP

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