高校受験において、内申書(調査書)は非常に大切な役割を担うものです。本記事では内申書(調査書)の意味と高校受験の関係を紹介します。
目次
内申書とは
内申書は調査書とも呼ばれ、中学校の成績や日常態度などが記載された書類のことで、高校受験においては合否を決める判定資料の一つになっています。
内申書の記載内容の基準は、都道府県によって異なりますが、中学3年生時だけの成績を内申書に記載する場合もあれば、3年間の成績を記載することもあるため、「3年生になってから頑張ればいい…」と思っていると内申書に記載される成績に影響が出てしまうので注意してください。
また、9教科の成績以外に、部活動などの課外活動を含め、どのような学校生活を送っていたのか、といった学校生活全般について記載されます。
「生徒会に所属していた」「行事でクラスを積極的に引っ張っていった」など小さなことであっても、内申書で評価されるのです。
通知表と内申書(調査書)の違い
内申書は、中学校の成績や学校生活を個人別にまとめたもので、中学校の先生が作成し、受験する高校に提出します。
一方で、通知表は、学期ごとの成績や学校生活の内容が記載されています。教科別の評定や観点別評価、担任の先生が文章を記載する所見欄などもあるのが特徴です。
内申書で重要なのは評定
内申書には、各学年5段階の評定×9教科の45点満点の数値である内申点が成績として記載されます。
教科ごとの成績を評定と呼び、年度末の3月に受け取る成績表がその学年の成績として、内申書に書き込まれることになっているのです。
しかし、受験学年である中学3年生は、学年末の成績では受験に間に合わないため、間に合うところまでの成績、つまり3学期制なら2学期の、2期制なら後期の中間テストまでで内申点がつきます。
また冒頭でご紹介した通り、住んでいる都道府県によって内申に反映される学年が異なるため、注意しましょう。
内申書(調査書)に記載される内容をチェック
内申書の役割が理解できたところで、より詳しく記載される内容をチェックしておきましょう。
基本情報
名前や性別、といった基本情報です。
各教科の学習記録
教科別の5段階評価(評定)が記載されます。
東京都と神奈川県では、各教科について「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4つの項目を達成度にわけてA・B・Cの3段階で評価する観点別評価も併せて記載されているので注意してください。
学習時間の記録
欠席日数・欠席理由が記載されます。
極端に欠席日数が多かったり、欠席理由の内容によっては、マイナス評価につながる恐れがあるので、やむを得ない理由がない欠席・遅刻は避けましょう。
特に、私立高校の推薦入試では、欠席日数が多いと出願できないケースもあります。
学校行事、部活動など
どのような部活動に所属していたか、学校行事ではどんな役割を担っていたか、生徒会を経験したか、などを記載される項目です。
組織にどれだけ貢献していたかということが評価ポイントになるため、学校行事には積極的に参加しましょう。
行動記録
行動記録は、担任の先生によって中学校生活の様子が短い文章で書きこまれます。
どのような行動を取ってきたのか、日々の生活態度が行動記録によって評価されるのです。
総合所見
内申書の締めくくりとして最後に、中学校生活全体を先生の言葉で評価する欄である総合所見があります。
内申点の計算方法
内申点は、高校入試の出願書類の一つであり、重要な合否判定資料です。
内申書に記載されている5段階9教科の評定合計、各45点満点を素点と呼び、都道府県それぞれで素点を合否判定用に換算して「換算内申点」を出してから利用しています。
自治体によっては各高校が換算方法を決定する場合もありますが、ここでは東京都の内申点の計算方法をチェックしましょう。
東京都における調査書点の計算方法
学力検査を実施する主要5教科の点数はそのままにして、実技4教科は2倍という考え方で評価します。
計算方法は以下の通りです。
英語+数学+国語+理科+社会+(音楽+技術/家庭科+体育+美術)×2=65点満点の調査書点素点
調査書点の満点である300点×評定の合計点÷評定の満点(65点)=調査書点
この2つの計算式で調査書点を導くことができます。
内申点が合否判定に影響を及ぼす場合もある
内申点は一般入試にも影響を及ぼす場合があります。たとえば、東京都では当日の学力検査や面接と内申点を一定の比率で合否判定に用いています。ただし比率は高校別で異なる場合もあるので、内申点がどれくらいの比率を占めているのかを調べておきましょう。
どんな比率であったとしても、合否に内申点が大きく関係してくることは間違いないでしょう。
また特別活動やボランティア活動で目立つ成果があった場合は、参考とされて合否に影響する可能性もあります。
内申点を上げるための3つのポイント
内申点は受験前に追い込んでもいきなり評価を上げられるものではありません。学年ごと、そして学期ごとの積み重ねが1枚の書類にまとめられています。
学期ごとの成績をアップさせることが、内申点のアップにもつながるでしょう。
内申点を上げるためには、
- 定期テストの点数を上げる
- 課題を期日までに提出する
- 授業に一生懸命取り組む
という3つを意識しましょう。
内申点アップには、定期テストの成績向上はもちろんのこと、課題提出や授業に取り組む姿勢など、日頃の取り組みも大きく関係してきます。
内申書(調査書)を良くするには規則正しい学校生活を送る
内申書は自分でチェックすることができないので、どんな風に記載されているのか、どんなことが書かれているのかと気になるものです。中学校の先生が作成して直接高校側に渡すだけなので、本人が見ることはできません。
しかし、しっかりと勉強に取り組んで良い成績を収め、さらに普段からの学習態度もまじめであれば悪い評価をされることはないはずです。日々コツコツと学び、そして学校生活を楽しく、規則正しくに送ることが良い内申書をゲットするためには重要になるでしょう。
高校受験は中学校の頑張りが評価される場であるため、せっかく当日の学力検査で良い成績でも、内申書次第では不合格となることもあるので、その時だけ頑張れば合格できる、というわけではないのです。
内申書について理解し、日ごろからしっかりと努力して内申点アップを目指しましょう。