
2月7日、神奈川県公立高入試の志願確定状況が発表されました。どんな特徴があったのか見ていきましょう。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
令和7年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等の志願者数(志願変更締切時)について – 神奈川県ホームページ
依然として高い志願変更率
全日制の共通選抜の募集人員39,395人に対し、1月30日までの志願者数は46,104人で、志願倍率は1.17倍、前年度(1.19倍)より0.02ポイントダウンしました。
この時点で志願者数が募集人員に達していない定員割れの学校は48校で、欠員の数は1,801人でした。前年度が45校1,802人だったので、学校数はやや増えたものの欠員数は変わりませんでした。
志願変更した人は前年度(3,698人)より約260人少ない3,434人で、変更率は7.4%と前年度(7.8%)よりややダウンしたものの依然7%台の高い変更率になっています。
年度 | 2025(R7) | 2024(R6) | 2023(R5) | 2022(R4) | 2021(R3) | 2020(R2) |
変更率 | 7.4 | 7.8 | 8.2 | 6.7 | 7.8 | 6.8 |
しかし、志願変更が多くても定員割れの学校は志願確定後も36校で欠員は1,438人残り、前年度(31校1,435人)と比べると学校数が5校増えました。
志願変更状況をみると、普通科の定員割れ校と欠員数は変更前の22校679人から13校465人に減り、人数においては志願変更の効果があったものの、定員割れ校は前年度(7校)の倍近くになりました。また単位制普通科は6校246人から5校185人で欠員数は25%減と、やはり志願変更の効果が現れました。クリエイティブスクールは3校125人から3校119人、専門学科は16校29学科584人から14校26学科499人、単位制専門学科4校7学科70人から4校6学科65人とそれほど変わらず、総合学科は1校97人から2校105人と逆に増加してしまいました。
全日制全体では志願者数が計46,104人、倍率は1.17倍

※専門学科計、全日制計には表示されている学科以外も含まれています。
普通科は1.22倍で前年度より0.02ポイントダウン。単位制普通科は1.13倍で、近年にない低い倍率になりました。二俣川看護福祉は、看護科を普通科に改編し学校名を二俣川に変更しますが、普通科は定員割れ(0.93倍)でのスタートになりました。
専門学科では、農業科は相原がダウン。中央農業はアップし、学科全体でやや上がり、工業科は神奈川工業、商工、市立川崎総合科学といった人気校の倍率が上がったことで、学科全体もアップしました。
逆に商業科は、商工と市立幸で倍率アップしたものの、他の5校は下がり、学科全体でも0.05ポイントダウンしています。
このほか福祉科、体育系学科、美術科などで倍率アップし、専門学科全体でも0.03ポイント上がりました。
総合学科では、各校ともおおむね前年度並みの倍率を維持しましたが、みなと総合が1.50→1.22倍に下がったことが学科全体の倍率に影響を及ぼしています。
高倍率ベスト10
普通科とクリエイティブスクール、単位制普通科で最も高い倍率になったのは、今年も横浜翠嵐で2.04倍、次いで新城、神奈川総合「個性化」と続きます。
高倍率ベスト10は次の通りです。例年のように学力上位校が多くを占め、中堅校では川崎市立橘が7位、岸根が9位、住吉が10位に入りました。
川崎市立橘が2013年度以降で初めて志願者が300人を超え、倍率も11年ぶりに1.5倍台に達しました。志願倍率は上がったり下がったりする隔年現象があり、今年度は倍率アップの年でしたが、生田が前年度の倍率アップの反動で志願者減になったことも影響したと考えられます。岸根も志願者が約50人増加し、2013年度以降でもっとも多い人数になりました。志願倍率が1.5倍を超えたのも初めてのことです。鶴見からの移動があったと思われます。住吉も前年度の倍率ダウンの反動で志願者増。特に市立高津が前年度の高倍率の反動で90人以上の志願者減になっているので、本校に集まったと考えられます。
神奈川総合「個性化」も隔年現象があり、今年度は倍率アップの年でした。募集人員が少ないため、多少の志願者の増減でも倍率は大きく動く要注意校です。新城も前年度に志願者減となっておりその反動が現れた形ですが、志願者は100人以上増加し、2013年度以降でもっとも高い1.8倍台を記録しました。地元中原区の生徒数が増加しており、その影響も受けたのかもしれません。
順位 | 学校名 | 倍率 |
---|---|---|
1 | 横浜翠嵐 | 2.04 |
2 | 新城 | 1.84 |
3 | 神奈川総合「個性化」 | 1.69 |
4 | 多摩 | 1.67 |
5 | 湘南 | 1.61 |
6 | 大和 | 1.56 |
7 | 川崎市立橘 | 1.55 |
8 | 柏陽 | 1.54 |
9 | 岸根 | 1.51 |
10 | 住吉 | 1.45 |
このほかのトップ10は次の「学力向上進学重点校とエントリー校」のところで見ていきます。
学力向上進学重点校とエントリー校の志願状況
次に学力向上進学重点校とエントリー校の志願状況を見てみましょう。
これら18校19学科・コース全体の志願者数は前年度より73人減り、1.43倍とややダウンしました。このように、これらの学校に挑戦する受検生は増えたり減ったりすることを繰り返しています。
この18校19学科・コースの中でも横浜翠嵐、横浜緑ケ丘、横浜国際「国際バカロレア」、横須賀、鎌倉、小田原、厚木にはそのような動きが見られ、今年度は志願者減の年に当たっていました。一方で多摩と大和は逆の動きで増加しています。川和、希望ケ丘、柏陽の3校も隔年現象とはいえないまでも前年度の志願者減の反動により増えました。
光陵は2年連続志願者減、横浜平沼と湘南は前年度並みを維持、横浜国際「国際」は3年連続で増加し、今年度は7年ぶりに200人を超えました。茅ケ崎北陵は3年連続で志願者減となり、2013年度以降でもっとも少ない志願者数でした。反対に平塚江南は2年連続で増加し、2013年度以降最多の志願者数を集めています。相模原は2022~2024年度まで1.2倍台の低めの倍率が続きましたが、今年度は4年ぶりに1.3倍台に上りました。
このように各校の動きはさまざまですが、隔年現象による志願者減が多かったため全体の倍率はやや抑え目になっています。

このような学力上位層の志願者減を受けて、その次にランクする学校では倍率アップするところが目立ちました。
高倍率ベスト10でふれた新城や市立橘をはじめ、市ケ尾は志願者が約70人増加し、3年ぶりに1.2倍台から1.4倍台(1.40倍)に回復。相模原弥栄は約40人の増で、5年ぶりに志願者数が250人台に達し、倍率も1.38倍に上がりました。大船は約30人の増で8年ぶりに1.3倍台(1.32倍)にアップ。市立東と追浜は隔年現象による志願者増で倍率アップ。港北も同じ動きで志願者増になりましたが、学級増に吸収されて倍率は上がりませんでした。
今春の入試でのもう一つの特徴が学力的に比較的入りやすい学校の倍率が大幅に下がったことです。
足柄、相模田名、保土ケ谷、厚木清南、二宮、菅、愛川、大井は2013年度以降でもっとも少ない志願者数になりました。また旭、横浜緑園、逗子葉山、新栄、綾瀬、生田東、茅ケ崎西浜、相模原城山、上鶴間、綾瀬西は前年度より30人以上の志願者減になっています。
この学力層は通信制高校と競合していると考えられることから、近年の通信制志向の影響を受けた結果といえるでしょう。