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2022(令和4)年度 都立高校入試の特徴

入試情報

2022.04.05

2022.04.05

東京都立高校受験の仕組みや選抜方法

前年度に引き続き、コロナ禍の中で行われた都立高入試はいったいどのような特徴があったのでしょうか。

推薦入試の特徴

1.過去最低倍率を記録

推薦入試の募集人員9,156人に応募者は23,242人、応募倍率は2.54倍となり普通科に推薦制度が導入された1995年度以降で最も低い倍率を記録しました。志望予定調査(毎年12月に実施)の時点で都立高校を第一志望とした人のうち、推薦入試に応募した割合は48.1%(前年度52.2%)と5割を切って2020年度までの推薦離れの傾向に戻りました。

2.普通科と専門学科の倍率格差が大きい

普通科男子は2.69倍で前年度より0.18ポイントダウン、女子は0.33ポイント下がって3.25倍になりました。単位制普通科は3.11倍で前年度(3.15倍)並みでしたが、普通科全体で0.22ポイント低い2.96倍でした。一方で専門学科は商業科が1.38倍(前年度1.60倍)、工業科1.35倍(同1.44倍)、農業科1.99倍(同2.26倍),産業科1.99倍(同2.26倍)など多くの学科で1倍台になっており普通科との倍率格差が大きく、普通科志向の応募状況になっています。

学科2021年2022年
普通科男子2.872.69
普通科女子3.583.25
単位制普通科3.153.11
商業科1.601.38
工業科(単位制除く)1.441.35
農業科2.261.99
産業科2.261.99
総合学科2.292.08
全日制計2.782.54

3.コロナ禍?欠席者が200人に迫る

1月26日の受検者数は23,053人、応募したものの検査を受けなかった欠席者数は延べ189人(文化・スポーツ等特別推薦と一般推薦に応募している生徒は2人とカウントしているので実数ではありません)になりました。欠席者は例年30~60人程度でしたから、今年度はコロナ禍の影響を受けたものと思われます。

合格者数は9,033人,受検者に対する合格率は39.2%で前年度(35.6%)よりやや上がりましたが、それでも6割の生徒が不合格になる狭き門です。

普通科男子は37.4%、女子31.1%、単位制普通科は32.6%でいずれも30%台でしたが、商業科73.5%、工業科67.4%、農業科49.6%、産業科50.4%と普通科と専門学科の差が大きく開いています

一般入試(第一次募集・分割前期募集)の特徴

1.応募倍率は過去2番目に低い

海外帰国生徒募集除く全日制一般入試の募集人員30,204人に対し、出願締め切り時の応募者数は41,387人、応募倍率は前年度(1.35倍)より0.02ポイントアップし1.37倍になりました。

志願変更では、願書を取り下げた人が1,964人、応募者の4.7%,前年度の6.5%より2.2ポイントダウンしました。出願は前年度より郵送する方法で行われていますが、志願変更は志願した高校に行って願書を取り下げ,再提出も高校に行く必要があるため、入試前の大事な時期に移動による感染のリスクを避けたこと、それに取り下げ日が2月10日で私立高入試日に重なったことが志願変更率低下の理由と考えられます。

最終的な応募者数は41,366人で倍率は変更前と同じ1.37倍、この倍率は前年度の過去最低倍率(1.35倍)に次ぐ2番目に低い倍率です。

都立高入試は、私立高校の授業料補助金制度の拡大により生徒数に対する応募率は年々下がってきています。しかし、今年度は男子の応募率は上がり都立回帰が見られました。しかし女子の応募率の低下に歯止めはかかりませんでした

男子の応募者数は全日制全体で約1,240人増えたのに対し女子は約450人増でとどまったほか、商業科、家庭科、産業科など女子の応募者が多い学科で応募減となっています。

2.大量の欠員が生じた一方で、1万人を超える不合格者がでる偏りの大きい入試になった

受検者数は38,905人、受検倍率は1.29倍(前年度1.28倍)、受験を棄権した人は2,461人で棄権率は5.9%でした。棄権率は前年度(5.5%)よりやや上がっていますが、追検査への申請者が142人に上ったことを考えると、棄権者の中にも相当数の感染者や濃厚接触者がいたのではないでしょうか。

合格者数は28,640人で実質競争率(受検者÷合格者)は1.36倍、前年度(1.32倍)より0.04ポイントアップしました。受検時は前年度との差が0.01ポイントで留まっていたのに,合格発表時になると0.04ポイントに開くのは、合格者の数が少なかったためです。

合格者数は募集人員(30,204人)より1,564人不足しており、前年度(1,033人)より約500人増えました。また入学手続き後の最終的な欠員数は1,708人に及びました。これだけ多くの欠員が生じたのは過去に例がありません。

一方で、不合格者数は10,265人、前年度(9,126人)より約1,100人増えました。

過去最多の欠員が生じた一方で1万人を超える不合格者がでるという、非常に偏った入試になったといえるでしょう

合格率は73.6%で前年度(75.7%)よりやや下がっています。普通科男子は71.3%、女子71.7%で受検生の約3割が不合格になる厳しい入試といえるでしょう。一方で商業科は99.8%で7校中6校が全入、不合格者は第五商業の1人だけでした。工業科は91.4%で15校中9校が全入でした。農業科は86.9%、家庭科92.2%、産業科94.0%などで普通科と専門学科の差が15~20%以上離れています。

3.男女別定員制の緩和が入試状況を変えた!?

今年度より男女別募集の普通科高校全校で「男女別定員制の緩和」の制度が適用されることになりました。この制度は、募集人員の9割までを男女別、残りの1割を男女合同で選考する制度です。

男女間の合格ラインをそろえる目的があります。

前年度は約40校でこの制度が導入され、多くの学校で残りの1割部分の合格者が女子で占められ、男子の合格者は9割程度でとどまるという現象がみられました。

そのため、全校で実施されるようになると女子の合格者が増えることが予想されることから、女子の都立高回帰が期待されましたが,逆に応募者が減ってしまったのは先にみたとおりです。

そんな中で、この制度は普通科高校にどのような影響を与えたのでしょうか。

島しょの普通科高校を除く103校のうち、男子の合格者を定員より少なくし,その分女子を増やした学校は46校4割強を占めました。一方女子の合格者を絞った学校は16校、1割強でとどまっています。

残りは定員割れでこの制度が適用できなかった学校と男女両方で水増し合格を出した学校になります。

次の学校は、男子の合格者を9割程度にとどめ、その分女子の合格者を増やした学校の一部です。

ここで注目したいのは,受検倍率の時点では女子の倍率が高かったのに,実質倍率になると男子の方が上がり男女逆転しているところです。女子の方が厳しい入試になると思っていたら、結果的には男子が厳しかったということです。

■男子の合格者を減らした学校例

学校名募集人員受検者受験倍率合格者実質倍率
西(男子)1321941.471261.54
西(女子)1221991.631361.46
竹早(男子)1091801.65991.82
竹早(女子)1011831.811141.61
上野(男子)1322411.831202.01
上野(女子)1222401.971371.75
東(男子)991951.97902.17
東(女子)921932.101031.87
昭和(男子)1322171.641191.82
昭和(女子)1222472.021391.78

次の学校は、反対に女子の合格者を9割程度に絞って男子の合格者を増やした学校です。

こんどは男子の受検倍率が高いのに、実質倍率は女子が上がり男女逆転しています。

■女子の合格者を減らした学校例

学校名募集人員受検者受験倍率合格者実質倍率
白鷗(男子)31511.65371.38
白鷗(女子)31411.32291.41
江北(男子)1322011.521441.40
江北(女子)1221631.341131.44
日野(男子)1321721.301451.19
日野(女子)1221401.151101.27
成瀬(男子)1161461.261251.17
成瀬(女子)1071231.151001.23
国立(男子)1322051.551441.42
国立(女子)1221801.481141.58

この制度が導入されていなければ男女とも募集人員の数までは合格できるのに、男女別定員制の緩和によって総合成績が募集人員以内の順位であったとしても不合格になる可能性がでてきたのです。

従って、合格ラインぎりぎりで挑戦する場合は、私立併願校の選択が重要になります。

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