PAGE TOP

ついに全国へ!高校授業料の所得制限撤廃で「私立進学」がもっと身近になる?

入試情報

NEW!

2026.01.21

2026.01.21

併願高校はどう決める?選び方と決め方のポイントを解説

現在,文部科学省では「高等学校等就学支援金制度」を通じて,家庭の経済状況にかかわらず教育の機会均等を確保するため,2026(R8)年度から所得制限を撤廃し,私立高校等への支援金の加算額を引き上げが見込まれます。
全国的にこの制度が施行されることで,高校入試にどのような影響があると考えられるでしょうか。

制度の仕組みと改正内容

制度の仕組み

まず「高等学校等就学支援金制度」の内容を確認してみましょう。
支援金は生徒の「保護者の所得」を基準に支給額が決まる仕組みです。
以下の表は,これまでの支援額です。これまでは,年収約590万円未満の世帯が私立高校に通う場合,基準額に加算分を合わせた最大39万6,000円が支給されてきました。一方で,年収約910万円未満となる世帯については,基準額11万8,800円の支給となり,それ以上の年収の世帯は対象外になっていました。
2025(R7)年度については,『高校生等臨時支援金』として年収約910万円以上の世帯にも基準額が支給されました。

ここで注意が必要なのは,この制度で軽減されるのは「授業料」部分のみということです。入学金や教材費,施設費,制服代,通学費などは,支援の対象外になります。
これらの費用は依然として家庭の自己負担となるため,授業料が実質無料になっても,入学時にかかる費用はゼロではないことに注意しましょう。

改正内容

では,2026(R8)年度からの制度はどのように変わるのでしょうか。
大きく変わるのは以下の2点です。
1つ目は,所得制限が撤廃され,年収にかかわらずすべての高校生が授業料支援の対象となる点です。
そして2つ目が,私立高校への加算額の大幅引き上げです。全国平均の私立高校授業料平均(45万7,200円(案))を上限として支給する方向です。

これまでの支援金制度は「所得制限つき・部分的な支援」でしたが,新制度では「すべての世帯が対象・実質無償化」に近づく点が最大の改正ポイントです。
※ただし,高校生が通う私立高校の授業料が支給上限額を超えた場合,その差額を保護者が負担することは変わりません。

新制度は国の制度として全国に導入される予定ですが,これに加えて各都道府県が独自に助成を行う場合もあります。
東京都や大阪府などでは,すでに都道府県独自の制度により全世帯対象の支援や授業料全額補助を実施しています。

東京都の事例から見る「入試動向」と私立高校の影響

東京都では,2024年度より都の制度である「授業料軽減助成金」の所得制限が撤廃され,国公私立かかわらずすべての世帯で授業料の助成を受けることができるようになりました。これにより,入試の動向にも変化が出ています。

東京都と同様の助成を受けられるようになったとき,各県の入試動向はどうなるのでしょうか。
東京都を事例に,どのような影響が出る可能性があるか考えてみましょう。

制度の状況(東京都)

東京都の2025(R7)年度の授業料軽減制度は以下の通りです。

東京都では国の支援金制度に加え,都独自で「私立高等学校等授業料軽減助成金制度」を設け,都内在住の私立高校生に対して,授業料の実質的な軽減を図っています。 所得制限を撤廃しており,授業料の負担軽減は49万円を上限に支援されています。
これにより,東京都では私立高校の授業料が『実質無償化』されています。

入試・志望動向の変化

では,実際にはどのような入試が行われたのでしょうか。2025(R7)年度の入試を見てみましょう。
参考:https://jyuken-ex.jp/column/post-3683/
   https://jyuken-ex.jp/column/post-3642/

2025(R7)年度入試の都立高校全日制の推薦応募者数は21,467人でした。応募倍率2.28倍で,普通科に推薦制が導入された1995(H7)年度以降でもっとも低い倍率になりました。卒業生に対する応募者数の割合が27.6%で前年度より2.4%ダウン。コロナ禍対応で起こった変動(2020→2021年度で2.8%アップ,2021→2022年度で2.9%ダウン)次ぐ大きな動きになりました。
応募者数が減少したのは一般入試も同様で最終応募者数は38,591人,倍率は1.29倍と今の入試制度になった1994(H6)年度以降でもっとも低い倍率を記録しました。また,卒業予定者数における最終応募者数の割合は49.6%で,前年度を大きく下回り50%を切っています。

このように,都立高入試が推薦・一般ともに大幅な倍率ダウンになったのは「私立高等学校等授業料軽減助成金制度」によって授業料が『実質無償化』されたことが大きく影響したと考えられます。

一方,私立高校はどのような入試になったのでしょうか。
以下は2月に発表された都内私立高校の中間応募状況結果です。

中間応募状況の推移で,就学支援金が関係するポイントは2つあります。
まず,2020(R2)年度を見てください。この年では,国の就学支援金の上限が拡大され,東京都も授業料軽減助成金の対象を年収約910万円未満の世帯まで広げたほか,多子世帯への助成も導入しました。
しかしこの時期は,卒業予定者数の減少やコロナ禍の影響もあり,続く2021(R3)年度の応募者数は約2,500人減少しています。
次に,2024(R6)年度を見てみましょう。この年では東京都の制度で年収制限が撤廃されました。私立高校の応募数は大きく増加し,60,967人(延べ数)と過去5年間で最多になりました。

では,2025(R7)年度はどうだったでしょうか。中間応募状況では倍率が2.97倍と前年度より微増となりました。

しかし,実際に応募した人数は58,803人で,前年度から約2,000人も減少しています。それにもかかわらず倍率がアップしたのは,募集人員が前年度より約800人減少したためです。 就学支援金の拡大で,2024(R6)年度の応募増が続くかと思われましたが,実際は志願者の減少という結果になりました。

なぜこのような結果になったかというと,私立の併願数が減少したことが要因のひとつとして挙げられます。私立高校の支援金拡大により,都立志望から私立推薦・単願入試に受験生が移動したことで,私立併願を利用する受験生が減少する動きが見られました。実際に2025(R7)年度の私立入試では,以下のような学校で推薦・単願応募者数が増加し,併願応募者数が減少しています。

このように,就学支援金の年収制限が撤廃された東京都での入試では,都立入試→私立推薦・単願入試への顕著な動きが見られました。

このような都立から私立への動きは,進学率にも表れています。

こちらは公立中学校卒業者の進路割合です。
今春の公立中学校卒業者の進学率は,都立が1.9%減少,私立が1.5%増加し,進路先が都立から私立に移動していることがわかります。
とくに都立への進学割合は過去5年間で最も低く,公立離れの動きが見られます。

東京都の事例は,全国的な「高校授業料無償化拡大」を先取りする形となりました。その結果,実際の入試では,従来主流だった「第一志望の公立を受検し,併願で私立も受験する」という受検パターンのほかに私立の推薦入試や単願入試を受験する」という入試パターンも増えていることがうかがえます。

これにより,今後2026(R8)年度から全国に拡大される新制度でも,同様の動きが他地域で見られる可能性があるでしょう。

あなたの条件に合った

志望校検索サイトを
見てみよう!

あなたの条件に合った
志望校検索サイトを
見てみよう!

Research

1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)の志望校探しのお手伝いをいたします。
「単願入試」「併願入試」「都立高校入試」に特化したサイトをはこちらから。