
1月15日に千葉県私立高等学校の入学者選抜試験志願状況(前期選抜)が発表されました。概要は以下の通りです。
※志願者数と倍率については1月13日時点のものです。また,2024年度と2025年度の集計はそれぞれ県教委のホームページで発表された時点(2024年は1月11日,2025年度は1月14日)となります。今回発表されたページの数字とは異なりますのでご了承ください。
令和8年度千葉県私立高等学校に係る志願状況等の詳細については下記ページをご確認ください。
令和8年度千葉県私立高等学校に係る志願状況等について(前期選抜試験分)/千葉県
全体の状況(全日制の課程)

2026(R8)年度の募集校は53校で変わらず,募集人員は前年度に比べ112人減,志願者数は781人減で倍率は0.03ポイント下がり3.93倍になりました。この倍率は過去10年間の最低倍率です。
学科別でみると,普通科(4.08→4.06倍)と商業科や英語科などの専門学科(2.13→2.03倍)ともに低下,特に専門学科の減少が顕著です。志願者の減少率は普通科-1.5%に対して専門学科は-4.9%と大きく,今回の倍率ダウンに影響を与えたと考えられます。
トップ校の動向

トップ校の全体の倍率は12.80倍となり前年度より1.19ポイントアップ,志願者数が多かった2024(R6)年度(3,201人,12.55倍)をも上回りました。しかしこれは渋谷教育学園幕張で募集数が減少したからで,3校合わせた志願者数は前年度より48人1.6%の増でとどまっています。前年度の志願者減の反動はみられず,志願者数は依然として回復しなかったといえるでしょう。
渋谷教育学園幕張
渋谷教育学園幕張は,募集定員が20人減少しての入試になります。この定員減を敬遠し,志願者数は前年度より132人減の529人となりましたが,倍率は前年度より3.09ポイント上昇。15.11倍まで高騰しています。前年度入試で女子の合格者が絞り込まれ倍率が上昇したことや,例年,実質倍率が男子よりも女子の方が高くなる傾向にあることから,今回は女子の受験生から敬遠されたとも考えられます。
昭和学院秀英
昭和学院秀英の志願者数は,前年度より116人増加して1,274人になり,倍率は15.93倍で前年度より1.45ポイントアップしました。前年度に志願者が減少した反動のほか渋谷教育学園幕張からの流入が考えられます。また,2026(R8)年度入試より,第一志望者に対する加点制度が導入され,同校を第一志望とする受験生が例年以上に集まったようです。
市川
市川の志願者数は,前年度より64人増加して1,206人になりました。これに伴い倍率も0.53ポイント上昇し10倍台に達しています。近年,実質倍率は低下傾向にありましたが,今回は渋谷教育学園幕張を敬遠した層が市川に流れたようです。志願者の増加に加え上位層の流入も予測されるため,今春は例年以上に厳しい入試になる可能性があります。
上位大学附属校の動向

今回の志願状況で特徴的だったのがこれらの大学附属校の動向です。4校のうち千葉日本大学第一を除いた3校で志願者増,4校合わせて377人5.3%増えました。渋谷教育学園幕張や市川,昭和学園秀英のトップ3校を合わせた志願者数がそれほど増えなかったにもかかわらず,これらの学校が増えた背景には私立志向の高まりと難関校を敬遠する安全志向が働いたためと考えられます。
芝浦工業大学柏
芝浦工業大学柏の志願者数は,前年度より52人増加して1,161人となり,倍率も9.68倍へと上昇しました。かつて,倍率は10.0倍台で推移していましたが,前年度までは緩やかな下降傾向にありましたが,今回は上昇に転じています。倍率アップの理由として,難関校を敬遠した受験者層が流入している可能性が考えられます。
専修大学松戸
専修大学松戸の志願者数は前年度より157人増加して2,872人となり,倍率も上昇して11.22倍になりました。前年度はA類の実質倍率が上昇傾向にあったため,敬遠されて志願者数が減少していました。今回,志願者が増加した要因として,他の上位校と同様,難関校を敬遠した層の流入が考えられます。加えて同校は東京都に隣接する立地条件から,都内からの入学生も増加傾向にあるため,受験生の私立志向の影響を受け,東京方面から受験生が流れてきていることも志願者増の要因のひとつとして考えられます。
日本大学習志野
日本大学習志野は,前年度より216人増加して2,978人となり,倍率は8.05倍と過去5年間で最高を記録しました。志願増の要因として芝浦工業大学柏などと同様に,難関校を敬遠した受験層が流れてきていると考えられます。志願者数の増加を考えると,今回は実質倍率も上昇する恐れがあるので注意しましょう。
千葉日本第一
千葉日本第一の志願者数は505人で,前年度から48人減少しました。倍率も0.4ポイント低下し,これで2年連続の倍率ダウンとなります。2024(R6)年度入試で進学コースの推薦入試を復活させて以降,入試要項に大きな変更はありません。しかし一般入試の実質倍率は高水準が続いていることから日本大学習志野へ受験生が流れたと考えられます。
注目校の志望状況

入試制度の変更や募集定員の変更は,志願者数の増減や倍率の変化に大きく影響します。
今年は,合格基準の変更だけでなく,併願入試の廃止・復活,試験日程の見直しなど,受験生にとって影響の大きい変更点が目立ちました。これらの変化が志願状況にどう影響したのか,詳しく見ていきましょう。
日出学園
日出学園の2026(R8)年度入試は,募集定員が30人増加し,2022(R4)年度と同規模での募集となりました。志願者数は前年度より11人減の218人と微減でしたが,定員増の影響で倍率は3.11倍と,前年度のから大幅にダウンしています。近年の傾向として志願者数は減少傾向にあり,特に特進コースの減少が目立ちます。背景には,志願者数を伸ばしている日本大学習志野や,千葉日本大学第一といった大学附属校へ受験生が流れている可能性が考えられます。
東葉
東葉の志願者数は883人で,前年度から428人の大幅な減少となりました。志願者が減少した主な理由は『特進クラス』の併願推薦を廃止し,あわせて同クラスの合格基準をアップしたことが挙げられます。東葉では2025(R7)年度入試から,出願し易かった進学クラスを募集停止して,レベルが高い『S特進クラス』を新設することで,学校全体のレベルアップを図っています。さらに今年度からは,後期日程を廃止して前期日程を増やすなど,入試制度に多くの変更があり,受験生にとっては出願しづらい入試になったようです。
流通経済大学柏
流通経済大学柏の志願者数は295人と,前年度より900人以上の大幅な減少となりました。志願者減少の大きな要因は,併願推薦を廃止したことにあります。さらに,総合進学・特別進学の両コースで単願の基準を引き上げたことも影響していると考えられます。加点制度の拡大も行われましたが,それ以上に入試制度の大きな変更による敬遠の動きが強く出た形です。志願者の動向としては,近隣の西武台千葉(137人増)に移動したほか,立地上,東京都内の私立高校へ流れたと考えられます。
八千代松陰
八千代松陰の志願者数は,前年度より334人減の2,298人になりました。この志願者減少の主な要因は,志願者の多い『進学コース』と『IGSコース』の両方で基準が上がったことにあります。また,今年度から併願入試を復活させた千葉英和に受験生が流れたことも,志願者減に影響していると考えられます。
二松学舎大学附属柏
二松学舎大学附属柏の志願者数は,前年度より148人増加して947人になりました。今年度の入試では,加点制度や欠席日数の条件を厳しくするなどの変更がありましたが,志願者数は増加しています。また,進学コースの募集が停止されましたが,入試区分が単願推薦と一般入試のみであったためか,志願者数に大きな影響はありませんでした。志願者増の要因として,入試日程が見直された近隣の中央学院から受験生が移動してきた可能性が考えられます。
千葉英和
千葉英和の志願者数は,前年度より823人という大幅な増加を記録し,1,703人となりました。この急増の要因は,前年度に一度廃止した併願入試を復活させたことにあります。さらに,合格基準を引き上げたことで志願者減となった八千代松陰から,多くの受験生が移動してきたと考えられます。
光英VERITAS
光英VERITASの志願者数は,前年度より62人増加して446人になりました。今年度は基準をアップしましたが,同時に加点制度を緩和したことで志願者増になったようです。また,併願基準を引き上げたことで80人の志願者減となった昭和学院から受験生が流れてきた可能性もあります。
敬愛学園
敬愛学園の志願者数は,前年度より542人増の1,317人に達しました。この大幅な増加の要因として,2024(R6)年度にとりやめた併願入試(B推薦)を復活させたことや,第一志望対象のA推薦の基準を緩和したことが挙げられます。さらに,一般入試において得点への加点制度を新たに設定したため,一般入試の志願者も増加している可能性があります。
千葉商科大学付属
千葉商科大学付属の志願者数は,前年度より59人増加して657人になりました。今年度は,入試日程の変更や欠席条件の緩和,さらに一般入試(単願)への加点制度の追加など,出願しやすくなる変更が行われました。一方で,総合進学コースと商業コースの基準は厳しくなっています。志願者が増加した要因としては,基準に変化がなかった特進選抜コースの受験生が増加した可能性が高く,基準を上げた昭和学院などから受験生が移動していると考えられます。
中央学院
中央学院の志願者数は,前年度より416人減少し1,037人になりました。この大幅な志願者減の要因として,併願入試の日程を2日間から1日へと減らしたことが挙げられます。また,入試日を他校と競合しやすい17日に変更したことで,受験生が分散し,志願減につながったと考えられます。先述にもある通り,二松学舎大学附属柏や,コース改編を行った日本体育大学柏などへ移動した可能性が高いです。
東京学館
東京学館の志願者数は,前年度より491人減少し1,556人になりました。大幅な志願者減の要因としては,これまで出願しやすく,最も志願者が集まっていた総合進学コースの基準を引き上げたことが大きく影響したと考えられます。この基準アップを見て敬遠した受験生が,逆に緩和された千葉黎明(123人増)などへ流れたものと考えられます。
東京学館船橋
東京学館船橋(普)の志願者数は193人減少し,632人になりました。大幅な志願者減の要因としては,単願・併願ともに合格基準を上げたことが考えられます。敬遠した受験生は,秀明八千代(337人増)の文理進学コースや総合進学コースへ移動したものと見られます。また,同校は専門学科でも基準をアップしています。その影響で美術工芸(37人減)と食物調理(9人減)も志願者を減らしており,全体の専門学科における志願者減少の要因になりました。
千葉学芸
千葉学芸の志願者数は248人で,前年度より122人減少しました。今年度の県内私立入試では,出願しやすい学校の志願者が全体的に減少しています。木更津総合(244人減)や東京学館船橋など,基準を上げたことで志願者が減少した学校も目立ちますが,それらの流出先として増加した学校は限定的です。このことから,減少した受験者層は競合する通信制高校へ流れた可能性が考えられます。あるいは,基準を緩和した千葉黎明や,前年度に基準を上げ今年度は変更なかった秀明八千代など,ワンランク上の学校へ挑戦した可能性も推測されます。
千葉経済大附属
千葉経済大附属の志願者数は789人で,前年度から245人減少しました。前年度に引き上げた併願基準を維持しての入試ですが,併願入試(B推薦)を復活させた敬愛学園へと受験生が流れた形です。普通科の減少に合わせ,情報処理科でも志願者が減少しており専門学科全体としての倍率ダウンを牽引する要因になりました。
植草学園大学附属
植草学園大学附属(普)の志願者は前年度より23人増加し795人になりました。今年度の入試では,新たに加点項目を追加したことで出願のハードルが下がり,志願者増につながったと考えられます。一方で,英語科は志願者が17人減少しました。これは,併願入試の復活や基準緩和を行った敬愛学園などへ受験生が流れたことが要因と考えられます。