1月11日に千葉県私立高等学校の入学者選抜試験志願状況(前期選抜)が発表されました。概要は以下の通りです。
詳細は県教委の「令和5年度千葉県私立高等学校に係る志願状況等」をご覧ください。
https://www.pref.chiba.lg.jp/gakuji/press/2022/r5nyuushi-zenki.html
※志願者数と倍率については1月10日時点のものです。また、2021年度と2022年度の集計はそれぞれ県教委のホームページで発表された時点のものを掲載しています(2021年1月12日と2022年1月11日)。今回発表された志願状況の中の前年度の数字とは異なりますのでご注意ください。
全体の状況 (全日制の課程)
2023 | 2022 | 2021 | |
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集計日 | 1月10日 | 1月11日 | 1月12日 |
学校数 | 53校 | 53校 | 53校 |
募集人員 | 12,516人 | 12,655人 | 12,642人 |
志願者数 | 50,711人 | 53,415人 | 50,863人 |
志願倍率 | 4.05倍 | 4.22倍 | 4.02倍 |
2023年度の募集校は53校で変わらず、募集人員は昨年度に比べ139人減、志願者数は2,704人減、倍率は0.17ポイントダウンしました。
2021年度入試より公立高校の入試制度が変わり私立への志願者が増加していました。集計日が異なるため一概には言えませんが、今年度はその流れにやや歯止めがかかったようです。
学科別の状況
2023倍率 | 2022倍率 | 2021倍率 | |
---|---|---|---|
○普通科 | 4.19倍 | 4.36倍 | 4.12倍 |
○専門学科 | 2.09倍 | 2.25倍 | 2.55倍 |
商業科関連学科 | 2.60倍 | 2.62倍 | 3.38倍 |
家庭科関連学科 | 1.11倍 | 1.05倍 | 1.11倍 |
農業科関連学科 | 1.83倍 | 1.88倍 | 1.93倍 |
その他の学科 | 1.76倍 | 2.10倍 | 1.99倍 |
例年通り普通科の倍率が最も高くなっています。前年度は2021年度の公立入試制度の変更を受けて私立志向が強まり普通科の倍率が急上昇しました。その反動で今年度は下がり2021年度並みに戻りました。
専門学科は2021年度に比べて倍率が下降傾向で、普通科に志願者が偏っていることがわかります。
商業科の倍率は2021年度まで3.00倍以上で推移していましたが、前年度の2022年度に大幅にダウンしました。これは東京学館船橋の情報ビジネス科が出願のハードルを上げ志願者数が2021年度の半分以上減少したためです。また今年度の倍率はほぼ2022年度並みで安定しているように見えますが、東京学館船橋の志願者が増加した一方で、千葉商科大学付属の商業は出願基準を上げたため大幅に減少しており、実態としては大きな変動がありました。
高倍率の高校ベスト10
順位 | 2023 | 2022 |
---|---|---|
第1位 | 昭和学院秀英【普通】 (15.63倍) | 昭和学院秀英【普通】 (15.49倍) |
第2位 | 渋谷教育学園幕張【普通】 (13.24倍) | 渋谷教育学園幕張【普通】 (14.45倍) |
第3位 | 専修大学松戸【普通】 (11.91倍) | 専修大学松戸【普通】 (12.66倍) |
第4位 | 芝浦工業大学柏【普通】 (10.80倍) | 芝浦工業大学柏【普通】 (10.53倍) |
第5位 | 市川【普通】 (10.56倍) | 市川【普通】 (10.25倍) |
第6位 | 日出学園【普通】 (7.68倍) | 志学館高等部【普通】 (8.25倍) |
第7位 | 秀明八千代【普通】 (6.92倍) | 千葉英和【普通】 (7.45倍) |
第8位 | 志学館高等部【普通】 (6.68倍) | 我孫子二階堂【普通】 (6.63倍) |
第9位 | 昭和学院【普通】 (5.88倍) | 秀明八千代【普通】 (6.59倍) |
第10位 | 我孫子二階堂【普通】 (5.73倍) | 二松学舎大学附属柏【普通】 (6.11倍) |
ベスト5は昨年と同じで学力上位校が占めています。
志学館は定員を増やした上に志願者も160人減少し倍率が下がりました。秀明八千代の志願者数は増加傾向で今年度は2つ順位を上げています。我孫子二階堂はこの4年間連続でベスト10入りしました。
このほか後述にもある通り、入試制度や定員の変更により倍率が急激に上がりランクインしている学校もあります。
注目校の志望状況
入試制度の変更や募集定員の増減による影響は、上記の高倍率の高校ベスト10にも表れています。昭和学院は5.64→5.88倍と倍率を上げ、ベスト10に入りました。今年度はアスリート・アカデミー(Ath)コースを廃止し、サイエンス・アカデミー(SA)コースを新設しており受験生を集めているのかもしれません。
東葉は志願者が約250人増加し倍率は4.05→4.97倍にアップ、前年度は出願基準のハードルを上げて志願者減になりましたが、今年度はその揺り戻しとともに2023年度から制服が変わることも追い風になっているようです。
千葉英和は約570人減で倍率は7.45→5.66倍にダウン、2022年度より「コース併願制度」を導入し、受験料の追加なしで他コースも出願できるようになり志願者数が倍増しましたが、今年度はやや落ち着きました。
千葉商科大学付属は普通科総合進学コースの定員を増加(170→200人)し、商業科の定員を減少(70→40人)しました。また出願基準を上げ商業科ではB推薦を廃止しています。これらにより普通科の志願者は280人減で倍率は4.81→3.01倍に、商業科は3分の1まで減少し4.00→1.95倍へと大幅に下がっています。
国府台女子学院(普)は自己推薦の単願B推薦を廃止し、推薦基準のハードルを上げました。その結果、志願者は85人減って倍率も3.43→2.58倍に下がりました。
敬愛学園の志願者は約160人減りましたが、募集人員を400→320人(進学コース240→160人)に減らしたため倍率は4.18→4.72倍にアップしています。志願者減は出願基準を上げたためです。
日本体育大学柏は2022年度に出願基準を緩和したことから志願者が大幅に増加(886→1,331人)しましたが、今年度はさらに約380人増え倍率も3.70→4.76倍にアップしました。これは次にでてくる二松学舎大学附属柏からの移動のためと考えられます。
二松学舎大学附属柏も進学コースで定員を減少(85→50人)しましたが、出願条件のハードルを上げ進学コースのB推薦も廃止しています。このため志願者数は1,374→745人と半減、倍率も大きく下がりました(6.11→3.92倍)。例年5.00~6.00倍台を推移していたため、入学者を絞っているようです。
千葉日本大学第一は進学コースの単願入試が廃止されました。前年度倍率が高かったため、志願者を絞っているようです(5.47→3.44倍)。
日出学園は志願者数が減りました(370→307人)がこれは推薦入試の定員を半分以下(50→20人)にしたためです。その結果倍率は上がりました(5.29→7.68倍)。
トップ校の動向
学校名 | 定員 | 2023 志願者数(倍率) | 2022 志願者数(倍率) |
---|---|---|---|
渋谷教育学園幕張 (普通) | 55人 | 728人(13.24倍) | 795人(14.45倍) |
昭和学院秀英 (普通) | 80人 | 1,250人(15.63倍) | 1,239人(15.49倍) |
市川 (普通) | 120人 | 1,267人(10.56倍) | 1,230人(10.25倍) |
県内最難関校の渋谷教育学園幕張は、前年度の倍率アップ(12.38→14.45倍)が敬遠されたのか、志願者が減りました。しかし変わらず高い倍率を維持しています。倍率は志願者67人減で微減(14.45→13.24倍)。定員や入試制度に変更はなく、今年度も厳しい入試になりそうです。
昭和学院秀英は倍率が微増しました。2022年度に募集定員を増やし倍率は緩和されましたが、志願者数は変わっておらず倍率は高いままです。
市川も倍率が微増しました。志願倍率は2021年度から8.37→10.25→10.56倍と推移しています。2020年度に後期募集を廃止し志願者数が激減しましたが、その時の状況に戻ってきているようです。