2月17日(金)、埼玉県公立高入試の志願確定状況が発表されました。
どのような状況になったのか見ていきましょう。
詳細は以下のページからご覧いただけます。
令和5年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における入学志願確定者数について – 埼玉県 (saitama.lg.jp)
全日制高校全体の志願確定状況
全日制の募集人員36,002人(転勤枠除く)に対し、志願変更後の志願確定者数は39,921人で倍率は1.11倍、0.01ポイントずつですが2年連続でアップしました。
2021(令和3)年度はコロナ禍の中での入試で、私学や通信制への移動があったため過去最も低い倍率になりましたが、以降徐々に回復しているような形です。
2023 | 2022 | 2021 | |
---|---|---|---|
募集人員 | 36,002 | 36,721 | 36,040 |
志願者数 | 40,070 | 40,453 | 39,475 |
志願倍率 | 1.11 | 1.10 | 1.10 |
志願確定数 | 39,921 | 40,265 | 39,305 |
志願確定倍率 | 1.11 | 1.10 | 1.09 |
学科別の志願確定状況
学科別でみると普通科は上昇傾向で1.16倍に上がりましたが、農業科、工業科、商業科では倍率ダウンし普通科との倍率格差が拡大しました。
今年度はより普通科に集中した志願状況になったといえます。
<学科別志願確定状況>
2023倍率 | 2022倍率 | 2021倍率 | |
---|---|---|---|
普通科 | 1.16 (30,879/26,562) | 1.14 | 1.13 |
農業科 | 0.91 (725/795) | 0.93 | 0.94 |
工業科 | 0.87 (2,253/2,580) | 0.93 | 0.92 |
商業科 | 0.91 (2,191/2,404) | 0.96 | 0.92 |
家庭科 | 1.01 (321/319) | 0.91 | 0.97 |
外国語科 | 1.20 (383/319) | 1.25 | 1.21 |
理数科 | 1.83 (512/280) | 1.83 | 1.86 |
総合学科 | 0.95 (1,657/1,745) | 0.93 | 0.95 |
上位難関校の志願確定状況
以下の地域を代表する学校の志願状況を見ると上がった学校下がった学校さまざまで共通した特徴があるとはいえません。むしろ前年度の倍率に影響を受けた志願状況になっている学校が目立っています。
2023倍率 | 2022倍率 | 2021倍率 | |
---|---|---|---|
県立浦和 | 1.55 (555/358) | 1.30 | 1.34 |
浦和第一女子 | 1.35 (482/358) | 1.47 | 1.38 |
大宮(普) | 1.44 (458/318) | 1.47 | 1.51 |
春日部 | 1.31 (468/358) | 1.26 | 1.28 |
県立川越 | 1.40 (502/358) | 1.45 | 1.36 |
川越女子 | 1.36 (487/358) | 1.35 | 1.29 |
熊谷 | 1.13 (358/318) | 1.10 | 1.03 |
熊谷女子 | 1.13 (358/318) | 1.08 | 1.13 |
越谷北(普) | 1.17 (372/318) | 1.45 | 1.36 |
不動岡 | 1.30 (467/358) | 1.23 | 1.32 |
松山(普) | 0.96 (268/278) | 1.01 | 0.90 |
蕨(普) | 1.34 (425/318) | 1.48 | 1.36 |
市立浦和 | 2.20 (528/240) | 2.13 | 1.90 |
県立浦和は志願者が約90人増加し、近年でもっとも高い1.5倍台に上がりました。受検棄権率を5%としても合格率は7割を切り厳しい入試になりそうです。
浦和第一女子は前年度の高倍率の反動で前々年度並みの倍率に戻りました。
大宮(普)は少しずつですが志願者が減少しており倍率も徐々に下がっています。ただ、高い倍率を維持しているため、受検棄権率を2%程度としても合格率は7割程度で厳しい入試は変わらないと予想されます。
春日部は微増で3年ぶりの1.3倍台に回復しました。従来、受検棄権者はほとんどいませんでしたが、前年度は7人を数えました。今年度も同じとすると受検倍率は1.29倍になります。従って前年度よりは若干高いものの例年通りの入試といえそうです。
県立川越は2020(令和2)年度より1.45→1.36→1.45→1.40倍と倍率が上がったり下がったりする隔年現象が見られます。今年度は倍率ダウンの年でしたが1.4倍台を維持しました。
川越女子は安定した入試を行っており、今年度も前年度とほぼ同じ志願者数を集めました。
熊谷は2020(令和2)年度以降、低めの倍率が続いていますが、前年度、今年度と志願者は増加しており、徐々に本来の志願状況に戻りつつあるようです。
熊谷女子は前年度に1.0倍台の低い倍率になり、今年度はその反動が表れ前々年度の倍率まで回復しました。
越谷北(普)は前年度に合格率7割の激戦になり、今年度はその反動で3年ぶりに1.1倍台に下がりました。
不動岡は2020(令和2)年度から1.22→1.32→1.23→1.30倍と隔年現象が続いています。
松山(普)も同様で、1.13→0.90→1.01→0.96倍と定員割れと1倍台を繰り返しています。
蕨(普)も隔年現象があり、同じく1.51→1.36→1.48→1.34倍と高い倍率を維持しつつ上下を繰り返しています。
市立浦和は県を代表する人気校で毎年激戦が続いています。志願倍率は2020(令和2)年度より1.58→1.90→2.13→2.20倍と上昇傾向です。今年度は近年にない高倍率で、前年度(合格率48.6%)以上の激戦になることは間違いありません。
その他人気校の志願確定状況
上記以外で毎年高倍率になることが多い人気校の状況を見ていきましょう。
2023倍率 | 2022倍率 | 2021倍率 | |
---|---|---|---|
伊奈学園総合 | 1.24 (887/717) | 1.19 | 1.24 |
浦和西 | 1.45 (520/358) | 1.56 | 1.38 |
川口北 | 1.28 (459/358) | 1.27 | 1.05 |
川越南 | 1.41 (505/358) | 1.41 | 1.67 |
所沢 | 1.34 (480/358) | 1.32 | 1.23 |
所沢北(普) | 1.31 (417/318) | 1.43 | 1.43 |
和光国際(普) | 1.44 (342/238) | 1.43 | 1.14 |
川口市立(普) | 1.94 (542/280) | 1.83 | 1.73 |
伊奈学園総合の人気が上昇傾向です。倍率だけ見ると2020(令和2)年度より1.12→1.24→1.19→1.24倍と上がったり下がったりしていますが、募集人員が増減しているためで志願者数は799→834→852→887人と年々増加しています。例年、受検棄権者は数人なので合格率は8割程度のやや厳しい入試になりそうです。
浦和西も倍率は1.55→1.38→1.56→1.45倍と上がったり下がったりしています。志願者数も554→495→558→520人と増えたり減ったりしており典型的な隔年現象の動きです。ただ、今年度は2021(令和3)年度の1.3倍台までは下がっていないので、合格率は7割程度にとどまる見込みです。
川口北にも隔年現象の動きがあり、今年度は倍率ダウンの年でしたが下がりませんでした。浦和西からの移動があったのかもしれません。前年度とほぼ同じ倍率なので、合格率も前年度と同じ8割程度になるでしょう。
川越南は逆に今年度が倍率アップの年に当たっていましたが上がりませんでした。2021(令和3)年度が合格率6割の激戦だったため敬遠されたのかもしれません。しかしそれでも1.4倍台の高倍率を維持しており、今年度も合格率は前年度と同じ7割程度になる見込みです。
所沢は進路希望調査の段階では多くの希望者がありました(1.44→1.56倍)が、実際の入試ではそれが敬遠されたのか倍率はほぼ前年度並みで落ち着きました。
所沢北(普)は2021(令和3)年度、2022(令和4)年度と2年連続で1.4倍台の高倍率が続いたためやや敬遠された形です。1.3倍台は近年では2020(令和2)年度の1.1倍台に次ぐ低い倍率です。
和光国際(普)は前年度の倍率アップの反動は現れず高倍率を維持しました。今年度も合格率7割程度の激戦が続きそうです。
川口市立(普)は倍率が上昇傾向で、今年度は1.9倍台の近年にない高倍率になりました。受検棄権率を1%とすると合格率は52%程度の激戦になります。
今年度学級減になった高校の志願確定状況
次に学級減になった学校の状況を見ていきましょう。
2023倍率 | 2022倍率 | 2021倍率 | |
---|---|---|---|
上尾鷹の台 | 1.05 (207/198) | 1.05 | 1.14 |
朝霞 | 1.09 (348/318) | 0.98 | 1.20 |
浦和北 | 1.41 (448/318) | 1.11 | 1.05 |
大宮東(普) | 1.08 (257/238) | 0.88 | 0.94 |
桶川 | 1.04 (290/278) | 1.00 | 0.90 |
春日部女子(普) | 1.13 (269/238) | 1.01 | 1.20 |
川口 | 1.18 (374/318) | 1.16 | 1.14 |
川越西 | 1.10 (349/318) | 0.97 | 1.01 |
越ケ谷 | 1.43 (456/318) | 1.37 | 1.36 |
志木 | 1.03 (245/238) | 1.08 | 1.22 |
庄和 | 1.12 (178/159) | 0.90 | 0.96 |
草加南(普) | 1.04 (248/238) | 1.09 | 1.02 |
富士見 | 0.99 (197/198) | 0.96 | 1.00 |
上尾鷹の台は学級減とほぼ同じ44人の志願者減で倍率は前年度と同じ、桶川や川口、志木、草加南(普)、富士見も志願者が減って倍率に大きな変動はありませんでした。
朝霞の志願者数は前年度とほとんど変わらなかったので学級減の分倍率アップ、川越西、庄和も同様です。
春日部女子(普)と越ケ谷は志願者が減りましたが募集減よりは少なく、倍率は上がっています。
そんな中で浦和北は50人の志願者増で倍率は4年ぶりに1.4倍台までアップ、合格率は7割程度まで下がり厳しい入試になりそうです。与野からの移動があったのかもしれません。
また大宮東(普)も志願者が増え、2年連続定員割れから抜け出しました。2023(令和5)年度より女子の制服が変わるのでそれが志願者増につながったのでしょうか。