6月9日、2024(R6)年度神奈川公立高入試の選考基準が発表されました。
2024(R6)年度は、面接が特色検査に移行するなど大きな改革が行われますが、その選考基準はどのような特徴があったのか見ていきましょう。
神奈川県教委からの資料はこちらからご覧になれます。
令和6年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要 – 神奈川県ホームページ
目次
面接実施校
面接が特色検査に含まれ、実施するかどうかは各校が定めることになりました。 来年度の入試では全日制は以下の高校が特色検査として面接を実施します。()内は比率です。
<普通科>
舞岡(3)、上矢部(2)、市立橘(2)、愛川(2)、横浜旭陵(1)
<専門学校>
中央農業(2)、商工「工業,商業」(3)、藤沢工科(3)、市立川崎「家庭,福祉」(5)、横須賀南「福祉」(2)、厚木北「体育」(1)、上矢部「美術」(1)、市立横浜商業「国際」(2)、市立橘「国際」(2)、吉田島「農業,家庭」(2)
<総合学科>
麻生総合(2)
※クリエイティブスクール除く(クリエイティブスクールは学力検査を行わず特色検査(面接)を実施することになっているため、ここでは省略しました)
※厚木北「体育」と上矢部「美術」は実技も実施します。特色検査の比率は両校とも「5」ですが、実技:面接は4:1なので、この表では面接の比率「1」を記載しています。
設定された第1次選考の比率の傾向
学力向上進学重点校とエントリー校の比率
調査書と学力検査の比率は8:2~2:8までの範囲で設定できるようになりましたが、この上限の8:2、2:8を設定した高校はありませんでした。
注目された横浜翠嵐も3:7:3でとどめ、特色検査の比率を2から3に引き上げました。
また湘南は4:6:2とし、従来の面接の比率(2)を調査書と学力検査両方に振り分けた形になりました。学力向上進学重点校とエントリー校の比率は次の通りです。4:6とするところがもっとも多く6割を占めました。
学力向上進学重点校とエントリー校の比率一覧
()は特色検査の比率です。
<3:7の学校>
横浜翠嵐(3)、柏陽(2)、横須賀(1)、平塚江南(1)
<4:6の学校>
川和(1)、希望ケ丘(1)、横浜緑ケ丘(2)、多摩(2)、鎌倉(1)、湘南(2)、茅ケ崎北陵(1)、厚木(2)、大和(1)、小田原(1)、横浜国際「国際」(1)、同「バカロレア」(2)
<5:5の学校>
横浜平沼(1)、光陵(1)、相模原(1)
その他の普通科高校の比率
次にその他の普通科高校の状況を見てみましょう。
普通科(クリエイティブスクール除く)と単位制普通科延べ113校(神奈川総合の個性化と国際文化コースは比率が異なるため2校とカウント、市立戸塚も一般コースと音楽コースで2校とカウント)で最も多い比率となったのは、調査書と学力検査を同等にみる5:5で54校、普通科全体の48%、次いで学力をやや重視する4:6の30校27%、次いで6:4の15校13%、3:7の9校8%、7:3の5校4%になりました。
地区別でまとめると次のようになります。(上記の学力向上進学重点校、エントリー校も掲載しています)
横浜北部の普通科高校の比率一覧
比率は「調査書:学力検査」
<7:3の学校>
白山
<6:4の学校>
新羽、荏田
<5:5の学校>
鶴見、城郷、港北、岸根、霧が丘、市ケ尾、元石川、新栄
<4:6の学校>
川和、神奈川総合(国際文化)、市立東
<3:7の学校>
横浜翠嵐、神奈川総合(個性化)
横浜中部の普通科高校の比率一覧
<7:3の学校>
保土ケ谷、横浜旭陵
<6:4の学校>
なし
<5:5の学校>
旭、松陽、横浜瀬谷、横浜平沼、光陵、舞岡、上矢部、金井、横浜緑園、横浜桜陽、市立戸塚(普、音楽)
<4:6の学校>
希望ケ丘
<3:7の学校>
市立桜丘
横浜南部の普通科高校の比率一覧
<7:3の学校>
なし
<6:4の学校>
永谷
<5:5の学校>
横浜南陵、横浜立野
<4:6の学校>
横浜緑ケ丘、横浜氷取沢、市立南、横浜清陵、横浜栄
<3:7の学校>
柏陽、市立金沢
川崎の普通科高校の比率一覧
<7:3の学校>
なし
<6:4の学校>
なし
<5:5の学校>
新城、川崎北、生田、百合丘、菅、麻生、市立高津、市立幸、川崎、大師
<4:6の学校>
住吉、多摩、生田東、市立橘
<3:7の学校>
なし
横須賀三浦の普通科高校の比率一覧
<7:3の学校>
なし
<6:4の学校>
三浦初声
<5:5の学校>
津久井浜、逗子葉山
<4:6の学校>
横須賀大津、追浜
<3:7の学校>
横須賀
鎌倉藤沢茅ケ崎の普通科高校の比率一覧
<7:3の学校>
寒川
<6:4の学校>
茅ヶ崎西浜
<5:5の学校>
深沢、湘南台、茅ケ崎
<4:6の学校>
鎌倉、七里ガ浜、湘南、藤沢西、茅ケ崎北陵、鶴嶺、藤沢清流
<3:7の学校>
大船
平塚秦野伊勢原の普通科高校の比率一覧
<7:3の学校>
なし
<6:4の学校>
二宮、秦野曽屋、平塚湘風
<5:5の学校>
高浜、伊勢原、伊志田
<4:6の学校>
大磯、秦野
<3:7の学校>
平塚江南
県西の普通科高校の比率一覧
<7:3の学校>
なし
<6:4の学校>
なし
<5:5の学校>
小田原東、西湘、山北
<4:6の学校>
足柄、小田原
<3:7の学校>
なし
県央の普通科高校の比率一覧
<7:3の学校>
なし
<6:4の学校>
厚木北、愛川、綾瀬、綾瀬西、厚木清南
<5:5の学校>
厚木王子(*)、厚木西、有馬、大和南
<4:6の学校>
厚木、大和、大和西、座間
<3:7の学校>
海老名
*厚木王子は厚木東と厚木商業の統合校の新校名です。
相模原の普通科高校の比率一覧
<7:3の学校>
相模田名
<6:4の学校>
津久井、相模原城山
<5:5の学校>
麻溝台、上鶴間、上溝、相模原、上溝南、橋本、相模原弥栄
<4:6の学校>
なし
<3:7の学校>
なし
しかし専門学科・総合学科になるとやや傾向が異なります。調査書と学力検査を同等に扱う5:5が48%で最も多いのは変わりませんが、次に多かったのが6:4で35%に及んでいます。4:6は14%でした。
第2次選考で選考に加わる「主体的に学習に取り組む態度」の活用
第2次選考では新たに調査書に記載されている観点別学習状況の評価の内「主体的に学習に取り組む態度」が選考に加わることになりました。
しかし、各校の比率をみると、普通科高校では学力検査:主体的に学習に取り組む態度の比率を8:2とした高校が圧倒的に多く約8割(77%)を占めました。次いで7:3の12%、6:4の7%、同等にみる5:5が4%で、学力検査より重視する4:6や3:7に設定した学校は1校もありませんでした。改革初年度ということもあり、新しい要素が選考に与える影響を最小限に抑えて様子見をするような形になりました。
「主体的に学習に取り組む態度」各校の比率
比率は「学力検査:主体的に学習に取り組む態度」
<8:2の学校>
校数が多いため省略
<7:3の学校>
川和、保土ケ谷、舞岡、永谷、鶴嶺、高浜、小田原東、山北、厚木、厚木西、綾瀬西、横浜清陵、平塚湘風、相模原城山
<6:4の学校>
荏田、市立高津、藤沢西、二宮、津久井、横浜旭陵、横浜桜陽、三浦初声
<5:5の学校>
白山、市立幸、寒川、愛川
<4:6の学校>
なし
専門学科でも8:2が多いのは変わりませんが、52%と半数をやや超えた数で留まり、7:3が17%、5:5が15%、6:4が8%と続きます。普通科では見られなかった4:6(市立川崎「福祉」、麻生総合)と3:7(市立横浜商業「スポーツマネジメント」、上矢部「美術」)もありました。
普通科と異なり、学習に対する意欲を高く評価しようという学校が多いことがわかります。
その他の変更点
その他の変更点は以下の通りです。
<横浜翠嵐>
特色検査の1次の比率を2から3へ(2次は2で変わらず)
<荏田>
重点化実施:1次、2次とも「調査書の音美保体技家の内高い1教科(×2)」
<横浜平沼>
特色検査の1次の比率を2から1へ(2次は2で変わらず)
<市立金沢>
重点化追加:2次で「調査書の英(×1.5)、数(×1.2)」
<川崎北>
重点化廃止
<追浜>
重点化廃止
<逗子葉山>
重点化の掛け率の変更:1次で「調査書の英国数(×1.5)→(×2)」
<大船>
重点化実施:1次で「学力検査の英(×1.5)、国数の内高い1教科(×1.5)」
<湘南>
特色検査の1次の比率を1から2へ(2次は2で変わらず)
<山北>
重点化実施:2次で「調査書の音美保体技家の内高い2教科(×2)」
<大和>
特色検査の2次の比率を1から2へ(1次は1で変わらず)
<橋本>
重点化廃止
<津久井「普」 「福祉」>
学力検査を5教科から英国数の3教科へ、特色検査(自己表現)実施
<神奈川工業「デザイン」>
特色検査の比率を1次、2次ともに3から5へ
<商工「総合技術」 「総合ビジネス」>
学力検査を5教科から英国数の3教科へ
<川崎工科>
重点化廃止
<平塚工科>
重点化追加:2次で「調査書の数理技家(×2)」
<藤沢工科>
重点化実施:1次で「調査書の美技家の内高い1教科(×2)」
<市立川崎総合科学「建設工学」>
学力検査を5教科から英国数の3教科へ、特色検査(自己表現)実施
<市立川崎総合科学「デザイン」>
特色検査の比率を1次、2次ともに3から4へ
<市立横浜商業「スポーツマネジメント」>
●重点化:1次で「調査書の保体(×1.5)→(×2)」、2次で「調査書の保体(×2)」を実施
●提出書類「実技検査選択種目提出用紙」がなくなる
<海洋科学「全科」>
特色検査(自己表現)実施
<市立川崎「生活科学」>
重点化:1次で「調査書の技家(×2)→調査書の国(×1.5)、技家(×2)、学力検査の国(×2)」に変更、2次で「調査書の技家(×2)、学力検査の国(×2)」を実施
<市立川崎「福祉」>
重点化廃止
<厚木北「スポーツ科学」>
●特色検査の比率を1次、2次ともに4から5へ(面接実施。実技:面接は4:1)
●提出書類「実技選択種目様式」がなくなる
<白山「美術」>
●特色検査の1次の比率を3から4へ(2次は5で変わらず)
●重点化実施:2次で「調査書の美(×2)」
<上矢部「美術」>
特色検査の1次の比率を3から5へ(2次は5で変わらず。面接実施。実技:面接は4:1)
<市立横浜商業「国際学」>
重点化追加:2次で「調査書の英(×2)」
<市立橘「国際」>
重点化追加:2次で「調査書の英(×2)」
<神奈川総合「国際文化」>
学力検査を5科から「英国数と理社から1教科選択」に戻し、特色検査(自己表現)も復活
<横浜清陵>
重点化廃止
<川崎>
重点化廃止
<厚木清南>
重点化廃止
<市立戸塚「音楽」>
●特色検査の1次の比率を3から4へ(2次は5で変わらず)
●実技検査で受検可能な楽器から「ピッコロ」「E♭クラリネット」「アルトクラリネット」がなくなる
●提出書類「実技検査学期提出用紙」がなくなる
<麻生総合>
重点化廃止
<座間総合>
重点化:1次で「調査書の高い1教科(×2)→英(×2)、英以外の高い1教科(×2)」に変更、2次で「調査書の英(×2)、英以外の高い1教科(×2)」を実施
<古田島(生活科学)>
重点化実施:2次で「調査書の技家(×2)」
<市立横浜サイエンス>
重点化追加:2次で「調査書の英数理(×2)」
<相模原弥栄「スポーツ科学」>
●特色検査の1次の比率を4から5に変更(2次は5で変わらず)
●重点化実施:2次で「調査書の保体(×2)」
●提出書類「実技検査選択種目提出用紙」がなくなる
<相模原弥栄「音楽」>
●特色検査の1次の比率を4から5に変更(2次は5で変わらず)
●重点化実施:2次で「調査書の音(×2)」
<相模原弥栄「美術」>
●特色検査の1次の比率を3から5に変更(2次は5で変わらず)
●重点化実施:2次で「調査書の美(×2)」
<神奈川総合「舞台芸術」>
●特色検査の1次の比率を3から4に変更(2次は5で変わらず)
●自己表現検査の検査の変更:グループ討論後に1人45秒以内の意見発表を追加。
●実技検査の身体表現の動作が当日指定から出願時に
<田奈>
●特色検査(自己表現検査)の内容変更:スピーチとグループによる話し合いから、事前に与えられた本校の特色やグラウンドデザインなどのテーマで自分の考えをまとめる50分の記述に変更
●観点の評価の変更:2、3学年の「主体的に学習に取り組む態度」の評価をA=4、B=2点→A=5、B=3、C=1点とし50点満点で評価することに。また実技4教科の「主体的に学習に取り組む態度」以外の観点の点数化を廃止。この結果、観点の満点が88点から50点に変更
●面接の評価の観点から「これまでの活動に対する意欲」がなくなる
●自己表現検査の観点が「事前準備」「協調性」「自己理解力」「意欲、取組姿勢」→「事前準備」「本校の特色等の理解」「高校生活に対する意欲と積極性」に変更
<横須賀南「普」>
●グループによる話し合いのテーマが検査当日から志願時に変更、また検査時間が40分程度から30分程度に変更
●面接の評価の観点の「高校での学習活動、学校生活に対する積極性」が「高校での学習活動、学校生活に対する意欲」に変更
●自己表現検査の観点から「思考力、判断力」がなくなり「事前準備」を追加
<大和東>
●観点の評価の変更:2学年の「主体的に学習に取り組む態度」をA=4、B=2、3学年をA=8、B=4点→2、3学年ともA=3、B=2、C=1点に。この結果、観点の満点が108点から54点に変更
●面接の観点の「面接の態度」を「面接にのぞむ姿勢」に変更
<市立橘「スポーツ」>
●実技検査から共通種目(反復横跳び)を廃止し、選択種目のみに
●提出書類「実技検査選択種目提出用紙」なくなる