1月9日、東京都中学校長会から2024(R6)年度 都立全日制等志望予定(第1志望)調査の結果が発表されました。
その特徴をまとめましたのでご参照ください。
なお、調査結果は以下からご覧ください。
令和6年度 都立高校全日制等志望予定(第1志望)調査の結果についてhttps://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/application/release20240109_03.html
1.志望予定調査結果の概要
まず、全体の志望状況を見ていきましょう。
2024(R6) | 2023(R5) | 2022(R4) | 2021(R3) | 2020(R2) | |
---|---|---|---|---|---|
募集人員 | 39,807 | 40,202 | 39,538 | 38,375 | 39,581 |
志望 予定者数 | 49,176 | 49,096 | 48,525 | 46,750 | 49,064 |
志望倍率 | 1.24 | 1.22 | 1.23 | 1.22 | 1.24 |
全日制全体の倍率は1.24倍と前年度より0.02ポイントアップし、2020(R2)年度入試の志望倍率まで戻りました。都立高入試は2021(R3)年度よりコロナ禍で倍率が大幅に下がり(一般最終応募倍率1.40→1.35倍)、それ以降1.3倍台が続いていました。今回の志望調査でコロナ禍以前の倍率に戻ったという事は、最終応募倍率も1.40倍台に上がる可能性があります。
卒業予定者 | 都立高 志望予定数 | 卒業予定者の 都立志望者の割合 | |
---|---|---|---|
2024(R6) | 78,108 | 49,431 | 63.3% |
2023(R5) | 77,692 | 49,362 | 63.5% |
2022(R4) | 76,402 | 48,818 | 63.9% |
2021(R3) | 72,991 | 47,033 | 64.4% |
2020(R2) | 75,333 | 49,445 | 65.6% |
しかし、上の表を見ると卒業予定者数に対する都立高志望予定者の割合は63.3%で、前年より0.2ポイントダウンしています。
全日制全体の倍率が上がったのは、卒業予定者数が前年度と比べ416人増加したことに対し、募集人員が395人減っているからで、都立高志望率は下降傾向から抜け出せていないといえるでしょう。
2.学科ごとの志望状況
以下の表は、帰国、在京、島しょを除いた過去5年間の男女計による全日制普通科の志望倍率です。今回の志望倍率は1.34倍と2020(R2)年度以降では高い方の倍率になります。ただし、志望予定者数は123人減っており、普通科においても募集人員の縮小が倍率アップの原因と考えられます。
募集人員 | 志望予定者数 | 志望倍率 | |
---|---|---|---|
2024(R6) | 27,094 | 36,181 | 1.34 |
2023(R5) | 27,494 | 36,304 | 1.32 |
2022(R4) | 26,830 | 35,730 | 1.33 |
2021(R3) | 25,833 | 34,277 | 1.33 |
2020(R2) | 26,619 | 36,273 | 1.36 |
専門学科全体では在京を除くと0.92倍で前年度と同じ倍率になりました。志願者数もほぼ変わっていません。
学科別に見ると、農業科が1.08倍で前年度より0.12ポイントダウンしました。前年度は農業科全校で1.0倍以上の志望倍率でしたが、今年は農芸(0.83倍)、農産(0.99倍)、瑞穂農芸(0.97倍)の3校で定員割れになったためです。
工業科は今春より北豊島工科「都市防災技術科」、杉並工科「IT環境科」、中野工科「食品サイエンス科」が新設学科に改編されますが、いずれも現時点では定員割れで留まっています。
科学技術科では科学技術と多摩科学技術で志望者数が減。倍率も下がりました。
商業科は2021(R3)年度より0.75→0.80→0.84→0.91倍と上昇傾向で、0.9倍台は2017(H29)年度以来のことです。前年は0.83倍まで落ち込んだ第五商業が1.17倍に回復したことや、定員割れが続いていた第三商業が1.29倍まで上がったことが影響したようです。
ビジネスコミュニケーション科も0.92倍で0.05ポイントアップ。大田桜台が約30人の志望者増になりました。
理数科は1.18倍で0.77ポイントダウン。激戦の立川の倍率が落ち着いてきたことと、新設予定の科学技術「創造理数科」が1.00倍で倍率があまり伸びなかったことによるものです。
国際科は2年連続で2.0倍台の高倍率が続いたため、その反動で2.34→1.80倍と大幅に倍率がダウンしています。
単位制普通科では全体の倍率は1.24倍で前年と変わりませんでしたが、忍岡(0.88倍)、飛鳥(0.81倍)、大泉桜(0.97倍)、板橋祐徳(0.88倍)、翔陽(0.73倍)は定員割れから抜け出せない一方で、新宿(2.27倍)は近年にない高倍率を記録、芦花(1.85倍)も高倍率を維持、墨田川(1.13倍)と美原(1.11倍)も低倍率ながら安定しており倍率格差が生じています。
総合学科は1.16倍で前年より0.04ポイントアップしています。2021(R3)年度より1.01→0.99→1.12→1.16と倍率は上昇傾向にあります。中でも晴海総合は1.62→1.76倍と、高倍率を記録した前年をさらに上回りました。2023(R5)年度は実質倍率が1.70倍と厳しい入試になったにもかかわらず、今回の志望倍率もアップしていることから、前年度以上の激戦が予想されます。3年連続で定員割れになっていた杉並総合は1.32倍にアップし2019(H31)年度の1.30倍並みの高倍率に戻り、青梅総合も1.12→1.45倍に上がり2021(R3)年度の1.46倍並みになりました。高倍率校がある中で、つばさ総合は0.89倍で2年連続定員割れ、葛飾総合も1.04倍から0.80倍の定員割れに戻り、町田総合(0.92倍)、東久留米総合(0.95倍)は定員割れが続いています。このように、総合学科内でも倍率の上がる学校とそうでない学校が明確になりつつあるようです。
<主な学科の志望状況>
学科 | 募集 人員 | 志望 予定者数 | 2024 (R6) 志望 倍率 | 2023 (R5) 志望 倍率 | 2022 (R4) 志望 倍率 | 2023 (R5) 志望 倍率 | 2022 (R3) 志望 倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
普通科 | 27,404 | 36,281 | 1.32 | 1.31 | 1.32 | 1.32 | 1.35 |
コース制 | 320 | 364 | 1.14 | 0.89 | 1.11 | 0.80 | 0.68 |
農業科 | 630 | 678 | 1.08 | 1.20 | 1.08 | 1.09 | 1.02 |
工業科 | 2,412 | 1,911 | 0.79 | 0.78 | 0.87 | 0.89 | 0.93 |
科学 技術科 | 385 | 435 | 1.13 | 1.21 | 1.30 | 1.19 | 1.08 |
商業科 | 1,330 | 1,204 | 0.91 | 0.84 | 0.80 | 0.75 | 0.86 |
ビジネス コミュニケーション | 385 | 356 | 0.92 | 0.87 | 0.94 | 0.99 | 0.89 |
理数科 | 80 | 94 | 1.18 | 1.95 | 2.08 | - | - |
国際科 | 140 | 252 | 1.80 | 2.34 | 2.00 | 1.39 | 1.70 |
産業科 | 420 | 395 | 0.94 | 0.94 | 0.86 | 1.07 | 1.13 |
単位制 普通科 | 2,653 | 3,290 | 1.24 | 1.24 | 1.24 | 1.26 | 1.20 |
総合学科 | 2,340 | 2,714 | 1.16 | 1.16 | 1.12 | 0.99 | 1.01 |
全日制計 | 39,807 | 49,176 | 1.24 | 1.22 | 1.23 | 1.22 | 1.24 |