1月22日、東京都教育委員会から都立高推薦入試の応募状況が発表されました。
その特徴をまとめましたのでご参照ください。
なお、各校の応募状況等は以下からご覧いただけます。
令和6年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(推薦応募)|東京都教育委員会ホームページ (tokyo.lg.jp)
主な学科の応募状況と応募倍率の推移
2024(R6)年度の都立高全日制推薦入試の募集人員9,445人に対して応募者数は23,421人、応募倍率は2.48倍になり、過去最も低い倍率になった前年度の2.47倍をわずかに0.01ポイント上回りました。
男女別募集から男女合同募集に変わる普通科は2.87倍(前年度男女計2.89倍)でややダウンしたものの、コース制と単位制はそれぞれアップ、普通科全体では前年度と同じ2.87倍でした。
専門学科をみると、商業科は0.05ポイントアップしました。前年度は江東商業が定員割れ(0.76倍)でしたが、応募者が約30人増加し1.20倍に上がったため全校1倍台になりました。工業科(単位制除く)も0.04ポイントアップしましたが、応募数が学校全体の推薦定員に達しなかったのは、墨田工科(0.87倍)、杉並工科(0.80倍)、荒川工科(0.43倍)、北豊島工科(0.75倍)、足立工科(0.59倍)、葛西工科(0.79倍)の6校で前年度と変わりませんでした。
学科改編した中野工科(食品サイエンス)は1.30倍で前年度(キャリア技術1.27倍)並みの倍率を維持しましたが、杉並工科(IT・環境)0.80倍と北豊島工科(都市防災技術)0.75倍は推薦定員を満たすことができませんでした。農業科は0.15ポイントダウン、人気の高い園芸(食品)2.60倍、同(動物)4.20倍や農業(食品科学)2.00倍は高倍率を維持したものの、瑞穂農芸(畜産科学)2.10倍(前年度3.70倍)はダウンし、学校全体の応募者も農芸、農産、瑞穂農芸で減少しました。
産業科は推薦枠を拡大した橘が応募減になったものの、八王子桑志が4分野すべてで応募増となり倍率を押し上げました。新設の科学技術(創造理数)は11人の応募があり倍率は1.38倍でした。
専門学科全体では1.56倍で過去最も低かった前年度(1.55倍)と同じ水準で留まっています。
総合学科は0.08ポイントアップ。人気が上がっているように見えますが、2倍以上の学校が前年度の7校から4校に減っており、「総合学科」人気が復活したというより、特定の学校の人気が上がっていることが倍率アップの要因になっているようです。晴海総合と杉並総合は最近の5年間でもっとも高い倍率となり、王子総合と青梅総合は2年連続で倍率アップしています。一方、つばさ総合は2年連続1倍台で、葛飾総合と町田総合は1倍台が3年間続いています。総合学科の中でも人気校不人気校の格差が生じているようです。
<おもな学科の応募状況と応募倍率の推移>
注:応募人員には文化・スポーツ等特別推薦の応募者も含まれます。
普通科(コース制)で高倍率の学校
コース制除く普通科でもっとも高い倍率になったのは新宿で7.66倍、次いで三田5.31倍、本所5.21倍と続き、以下、ベスト10は次の表のようになります。
3位以下はすべて文化・スポーツ等特別推薦実施校で、その応募者が多い学校が高倍率になりやすくなっているようです。そんな中で特別推薦を実施していない新宿と三田が1位と2位を占めているのはそれだけ高い人気を得ている学校であるといえるでしょう。
<普通科 高倍率ベスト10(コース制除く)>
順位 | 学校名 | 倍率 |
---|---|---|
1 | 新宿 | 7.66 |
2 | 三田 | 5.31 |
3 | ※本所 | 5.21 |
4 | ※板橋 | 5.00 |
5 | ※城東 | 4.97 |
6 | ※豊島 | 4.66 |
7 | ※小岩 | 4.53 |
8 | ※日野 | 4.33 |
9 | ※広尾 | 4.20 |
10 | ※葛飾野 | 4.06 |
専門学科で高倍率の学校
専門学科の最高倍率は前年度と同じ総合芸術の「美術」で5.46倍、以下次の表のようになっています。その学校にしか設置されていないような学科に応募者が多く集まる傾向があります。
<専門学科高倍率ベスト10>
順位 | 学校名 | 学科 | 倍率 |
---|---|---|---|
1 | 総合芸術 | 美術 | 5.46 |
2 | 総合芸術 | 舞台表現 | 4.83 |
3 | 工芸 | グラフィック | 4.70 |
4 | 工芸 | デザイン | 4.50 |
5 | 園芸 | 動物 | 4.20 |
6 | 駒場 | 保健体育 | 4.08 |
7 | 赤羽北桜 | 調理 | 4.00 |
8 | 総合芸術 | 音楽 | 3.83 |
9 | 国際 | 国際 | 3.67 |
10 | 農業 | 服飾 | 3.60 |
進学指導重点校の応募倍率
進学指導重点校の応募倍率は次のようになりました。
7校中倍率ダウンしたのは5校、青山の応募者数は前年度より2人多いだけなので除外しても過半数の4校で倍率が下がったことになります。しかも倍率ダウンした日比谷,戸山,西,立川の4校とも最近の5年間で最も低い倍率です。日比谷と西は集団討論を復活させたことも影響しているのかもしれませんが、学力上位層が重点校を敬遠しているような動きになりました。
これら学力上位層は新宿や三田、町田などに移動したほか、私立高にも流れているのかもしれません。
学校名 | 倍率 | 前年度 |
---|---|---|
日比谷 | 2.55 | 3.32 |
戸山 | 3.34 | 3.68 |
青山 | 3.79 | 3.82 |
西 | 2.95 | 4.37 |
八王子東 | 2.27 | 1.57 |
立川(普) | 2.95 | 3.50 |
国立 | 3.55 | 3.32 |
今年度の入試よりコロナ禍によって中止になっていた集団討論が一部の学校で復活しました。
先に触れた日比谷や西のほかに竹早や北園、鷺宮などで実施されますが、それらの実施校では鷺宮の応募者が100人以上減ったほか、北園60人減、調布南19人減など減ったところが目立ちます。竹早は10人増、永山は40人増と増えたところもありましたが、しばらく実施していなかっただけに応募に二の足を踏んだケースもあったかもしれません。
文化・スポーツ等特別推薦
文化・スポーツ等特別推薦は899人の募集人員で行われますが、応募者は1,863人で倍率は2.07倍、前年度(1.90倍)よりアップし久しぶりに2倍を超えました。
文化・スポーツ等特別推薦のみに応募した人数が477人で応募者に対する割合が前年度の28.8%から25.6%に下がりました。これは一般推薦と両方に出願する生徒が増加した結果です。
もっとも高い倍率になった学校・種目は城東の「硬式野球」で9.00倍、以下ベスト10は次のようになりました。
<文化・スポーツ等特別推薦 高倍率ベスト10>
順位 | 学校名 | 種目 | 倍率 |
---|---|---|---|
1 | 城東 | 硬式野球 | 9.00 |
2 | 松が谷(普) | 陸上競技 | 8.00 |
3 | 東久留米総合 | サッカー | 6.60 |
4 | 江戸川 | 硬式野球 | 6.50 |
5 | 府中東 | サッカー | 6.25 |
6 | 東大和 | サッカー | 6.00 |
7 | 杉並 | 硬式野球 | 5.75 |
8 | 城東 | サッカー | 5.67 |
8 | 武蔵丘 | 硬式野球 | 5.67 |
8 | 小平西 | バスケットボール | 5.67 |