2月7日、神奈川県公立高入試の志願確定状況が発表されました。どんな特徴があったのか見ていきましょう。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
令和6年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等の志願者数(志願変更締切時)について – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)
全日制の志願倍率は1.19倍
全日制の共通選抜の募集人員39,947人に対し、1月31日までの志願者数は47,349人で志願倍率は1.19倍、前年度(1.18倍)よりわずかに0.01ポイントアップしました。
この時点で志願者数が募集人員に達していない定員割れの学校は45校で欠員の数は1,802人でした。前年度が43校1,922人だったので、学校数はやや増えたものの欠員数は減少しました。
志願変更した人は前年度(3,950人)より約250人少ない3,698人で、変更率は7.8%と過去最高を記録した前年度(8.2%)よりややダウンしましたが依然高い変更率になっています。
年度 | 2024(R6) | 2023(R5) | 2022(R4) | 2021(R3) | 2020(R2) |
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変更率 | 7.8 | 8.2 | 6.7 | 7.8 | 6.8 |
しかし、志願変更が多くても定員割れの学校は31校で欠員は1,435人残り、前年度(36校1,477人)より学校数は減ったものの欠員の数はそれほど変わりませんでした。
普通科の定員割れ校と欠員数は変更前の20校615人から7校391人に減り、単位制普通科は4校179人から4校129人と学校数は変わらなかったものの欠員数は約3割減と志願変更の効果が現れました。
クリエイティブスクールは4校162人から4校163人、専門学科は16校29学科650人から15校28学科582人、単位制専門学科4校7学科85人から4校8学科66人、総合学科2校111人から1校104人と定員割れ校と欠員数はさほど減りませんでした。
普通科は1.24倍で前年度より0.01ポイントアップ。単位制普通科は前年度の高倍率の反動で神奈川総合と市立東の倍率が大幅にダウンしたことが影響し、0.02ポイント下がって1.18倍になりました。
専門学科では農業科が平塚農商、相原、中央農業の3校ともに倍率アップし、学科全体で0.07ポイントアップ。
工業科は前年度1.2倍台の高めの倍率になった神奈川工業と市立川崎総合技術が1.1倍台に下がったものの、倍率アップした学校が5校を数え倍率が均されました。
商業科も前年度には1校もなかった1.3倍台に上がった学校が2校(相原「総合ビジネス」1.31倍と市立横浜商業「スポーツマネジメント」1.38)現われたほか、3校で倍率アップしています。新設の厚木王子「総合ビジネス」は1.09倍でやや低めの倍率でスタートになりました。
総合学科では前年度全入になった市立横須賀総合が2022(R4)年度並みの1.3倍台に回復したほか、市立みなと総合も1.5倍台を確保するなど8校中5校で倍率アップ。ただ、統廃合の対象校の麻生総合は0.4倍台と敬遠されました。
普通科とクリエイティブスクール、単位制普通科で最も高い倍率になったのは今年も横浜翠嵐で2.14倍、次いで湘南と多摩が1.63倍で続きます。
高倍率ベスト10
高倍率ベスト10は次の通りです。例年高倍率校は学力向上進学重点校やそのエントリー校、学力上位校が多くを占めていましたが、今春は横浜南陵や市立高津、横浜清陵などの中堅校が入っており特徴のひとつになっています。
横浜翠嵐は前年度の低めの倍率から抜け出し、翠嵐としての標準的な倍率に戻りました。翠嵐の倍率が上がると湘南が下がるという関係がありましたが、今年度は湘南も前年度並みの高倍率を維持しています。
多摩は川崎市や横浜北部の生徒数減の影響か、志願者が60人以上減り3年ぶりに1.6倍台に下がりました。
横浜南陵は前年度高倍率となった舞岡からの移動で志願者増、さらに学級減も手伝って過去最高の1.5倍台を記録しました。
横浜緑ケ丘は前年度の過去最も低い倍率から抜け出し、同校としての標準的な倍率に戻っています。
神奈川総合「個性化」は隔年現象があり今年度は倍率ダウンの年で志願者は約50人減少しています。
市立高津は前年度に過去最高倍率を記録した住吉からの移動があり、今年度は同校が過去最高倍率になりました。
市立南は隔年現象で今年度は倍率アップの年でした。
鎌倉は前年度学級増と志願者減で大幅に倍率ダウンしましたが、今年度は学級数が元に戻ったことと志願者が戻ってきたため前々年度とほぼ同じ倍率に復活しています。
横浜清陵の志願者は微減でしたが、募集学級数を本来の7学級に戻したため、過去最高倍率を記録した2020(R2)年度(1.52倍)とほぼ同じ高倍率になりました。
順位 | 学校名 | 倍率 |
---|---|---|
1 | 横浜翠嵐 | 2.14 |
2 | 湘南 | 1.63 |
2 | 多摩 | 1.63 |
4 | 横浜南陵 | 1.59 |
4 | 横浜緑ヶ丘 | 1.59 |
6 | 神奈川総合 個性化 | 1.58 |
6 | 川崎市立高津 | 1.58 |
8 | 横浜市立南 | 1.55 |
9 | 鎌倉 | 1.52 |
10 | 横浜清陵 | 1.50 |
学力向上進学重点校とエントリー校の志願状況
次に学力向上進学重点校とエントリー校の志願状況を見てみましょう。
これら18校19学科・コース全体の志願者数は前年度より150人増えて倍率も1.45倍にアップ。前々年度には及びませんが、受験生がこれらの高校に戻ってきていることがわかります。
しかし横浜市や川崎市の重点校、エントリー校の志願者は減っている高校が多い一方で、横須賀や鎌倉、厚木、小田原など周辺地域の高校では志願者が増えており、横浜市や川崎市の生徒減の影響とともに、志願者の都市部への流入が抑えられたような形になりました。
上記で触れた以外の高校について見ていきましょう。
川和は元の8学級募集に戻りましたが、志願者が約30人減少したため1.2倍台から抜け出せず、同校としては低い倍率が続きました。志願者数が400人に達しなかったのは初めてです。
柏陽は微減ですが、1.3倍台に下がったのは3年ぶりです。一方で厚木は過去最高の1.4倍台にアップ、志願者も初めて500人を超えました。
希望ケ丘は志願者65人減、志願者数が400人台まで減ったのは4年ぶりのことです。横浜市内の生徒減のほか、鎌倉藤沢地区、県央地区からの流入が抑えられたのかもしれません。
横浜平沼は前年度の低倍率の反動で志願者増、倍率も同校の標準的な水準に戻りました。
光陵は比率を学力重視から調査書と同等にみる形に変更しました。その影響と前年度に倍率アップした反動で横浜平沼へ移動したようで志願者減,1.2倍台は3年ぶりです。
横浜国際はコロナ禍で倍率が低迷していましたが、今年度は国際科、バカロレアコースともに志願者増、やや復活の兆しが見えてきました。
横浜緑ケ丘は前年度の過去最低倍率の反動で志願者が約50人増、同校の平均倍率に戻りました。エントリー校から重点校へ指定されたことも影響したのかもしれません。
茅ケ崎北陵は2年連続1.3倍台で安定しています。
平塚江南の志願者は微増、前年度の低倍率1.1倍台から抜け出し1.2倍台に回復しています。
小田原は隔年現象があり、今年度は倍率アップの年でした。
大和は前年度の倍率アップの反動で志願者減、前々年度の倍率に戻りました。
相模原は志願者微増ですが、3年連続1.2倍台で安定しています。
高倍率ベスト10のところで、中堅校もランクインしているということを書きましたが、この中堅層に受検生が集まってきているというのも今年度の特徴の一つです。
いくつか挙げてみましょう。
横浜緑園は隔年現象があり、今年度は倍率アップの年で過去最高の1.29倍になりました。
生田東も同様で、倍率アップは隔年現象によるものですが、1.20倍はH27年度と並ぶ過去最も高い倍率です。
茅ケ崎西浜は約70人の志願者増となり過去最高の1.25倍に上がっています。
開校2年目の相模原城山は約50人増えてR3年度と並ぶ過去最も高い倍率になりました。
このほか目立った動きを示した学校を見てみましょう。
まず、共通の検査として廃止された面接を特色検査として実施する舞岡は、前年度の高倍率の反動もあり約140人の大幅減となり1.1倍台にダウンしたほか、上矢部や市立橘、愛川も志願者減となり、普通科の面接実施校は敬遠されました。
横浜旭陵も志願者数は微減で3年連続定員割れとなっていますが、こちらはR9年度より旭と統合するためR7年度からの募集がなくなることに対して敬遠されたといえるでしょう。
市立桜丘は比率を4:4:2から3:7に変更。志願者は約40人増加し倍率アップしました。この学力レベルでは学力検査重視の方が受検しやすいのかもしれません。
足柄も4:4:2から4:6の学力重視に変更しましたが、志願者減となり定員割れに戻っています。
旭の志願者数は前年度並みでしたが、募集学級数が9学級から8学級に戻ったため過去最高の1.23倍を記録しました。
保土ケ谷は8学級募集から6学級募集へ2学級減、志願者は35人の減ですが倍率は1.3倍台にアップし過去最高になっています。
横浜立野も学級減によって倍率がアップした学校です。志願者数は約10人の微増ですが、倍率は1.47倍に上がりやはり過去最高です。
市立幸は普通科の志願者が増加傾向で今年度はついに1.4倍台にアップ、開設2年目のH30年度に記録した1.36倍を超え過去最高となっています。
大磯は2年連続志願者増、7年ぶりに1.2倍台に上がりました。
二宮は約30人の志願者増となり定員割れから抜け出しました。
秦野は志願締め切り時に初めて定員割れとなり志願変更で1倍を超えましたが、1.07倍は過去最も低い倍率です。
相模田名の志願者数は前年度並みでしたが、学級減により8年ぶりに1.2倍台に上がっています。
また伊勢原は6年ぶりに1.2倍台にアップ。
厚木清南は4年ぶりに1.1倍台に乗せ、橋本は7年ぶりに1.2倍台を記録しました。