2月16日、千葉県公立高入試の志願確定状況が発表されました。
どのような状況になったのか見ていきましょう。
詳細は以下のページをご覧ください。
全日制の志願確定状況
全日制の志願確定状況をみると、募集人員30,680人に対して、志願確定数は34,478人。志願確定倍率は1.12倍で、前年度と同じ倍率になりました。
しかし、生徒数に対する志願者数の割合は下がっており、公立離れが進行しています。それでも倍率が下がらなかったのは、公立の募集枠(収容率)が前年度の58.3%から57.7%に縮小されたからです。
2024(R6)年度 | 2023(R5)年度 | 2022(R4)年度 | 2021(R3)年度 | |
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在籍数 | 53,190 | 53,080 | 53,000 | 51,370 |
募集人員 | 30,680 | 30,960 | 31,320 | 30,920 |
収容率 | 57.7 | 58.3 | 59.1 | 60.2 |
志願者数 | 34,590 | 34,946 | 34,826 | 33,627 |
志願倍率 | 1.13 | 1.13 | 1.11 | 1.09 |
志願確定数 | 34,478 | 34,793 | 34,637 | 33,517 |
志願確定倍率 | 1.12 | 1.12 | 1.11 | 1.08 |
志願率 | 64.8 | 65.5 | 65.4 | 65.2 |
※志願率は志願確定者数の在籍数に対する割合
学科別の志願確定状況
学科別でみると、普通科は前年度から動いていませんが、専門学科では農業科は隔年現象で下がり、工業科は下降傾向で0.7倍台まで落ち込みました。商業科はほぼ前年度並みでしたが、家庭科も2年連続ダウンと職業系学科の低下が目立ちました。
理数科は柏(1.58→1.15→1.63倍)、佐倉(1.85→1.48→1.70倍)、佐原(0.80→0.68→0.93倍)は倍率が上がったり下がったりする隔年現象で今年度は倍率アップ。木更津(1.03→1.33→1.40倍)と市立千葉(1.50→1.73→1.78倍)は上昇傾向。船橋(1.68→1.68→2.18倍)もアップし、普通科とくくり募集となった成東と長生、総合学科に改編された匝瑳を除いて全校倍率アップしました。
また、国際系学科はコロナ禍で低迷していましたが、松戸国際(国際教養)(1.32→1.29→1.47倍)、流山おおたかの森(国際コミュニケーション)(1.00→1.45→1.53倍)、成田国際(国際)(1.21→1.32→1.46倍)、東金(国際教養)(0.83→0.95→1.08倍)、市立稲毛(国際教養)(1.78→0.98→1.40倍)、市立松戸(国際人文)(1.13→1.28→1.53倍)と軒並みアップしました。
総合学科は倍率格差がはっきりしてきています。幕張総合(1.54→1.58→1.53倍)と小金(1.82→1.53→1.63倍)は高倍率を維持。八街(1.03→0.88→0.98倍)、大原(0.48→0.69→0.61倍)、安房拓心(0.80→0.73→0.78倍)、君津青葉(0.73→0.65→0.50倍)はいずれも定員割れが続いています。
<学科別志願確定状況>
2024(R6) 募集人員 | 2024(R6) 志願 確定数 | 2024(R6) 倍率 | 2023(R5) 倍率 | 2022(R4) 倍率 | 2021(R3) 倍率 | |
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普通科 | 24,080 | 27,678 | 1.15 | 1.15 | 1.12 | 1.09 |
農業科 | 880 | 682 | 0.78 | 0.83 | 0.75 | 0.89 |
工業科 | 1,200 | 926 | 0.77 | 0.83 | 0.87 | 0.90 |
商業科 | 1,360 | 1,342 | 0.99 | 0.98 | 0.96 | 1.00 |
家庭科 | 240 | 219 | 0.91 | 0.98 | 1.03 | 1.01 |
理数科 | 240 | 384 | 1.60 | 1.11 | 1.24 | 1.19 |
国際系学科 | 400 | 572 | 1.43 | 1.25 | 1.23 | 1.30 |
総合学科 | 1,840 | 2,216 | 1.20 | 1.26 | 1.30 | 1.25 |
進学指導重点校及び各地域の上位難関校の状況
普通科の中でも前年度の動きに影響された志願状況を示す学校が多くあります。
次に進学指導重点校などの上位難関校の状況を取り上げて見ていきましょう。
下記の14校のうち8校が前年度の倍率の動きが影響し、上がったり下がったりしています。そのうち船橋(普)、佐倉(普)、佐原(普)、木更津(普)が倍率アップ。普通科と理数科がくくり募集となった長生も志願者は増えました。
一方で東葛飾、安房(普)、市立千葉(普)は倍率ダウンしています。
また薬園台(普)は増加傾向が続き倍率も1.5倍台にアップ、千葉東と柏(普)は前年度並み。県立千葉は2年連続で志願者減になるなど、隔年現象とは別の動きになる学校もありました。
その県立千葉は、2022(R4)年度に400人を超える志願者を集め、倍率が1.6倍台に上がった後2年連続で志願者減となり、今年度は2021(R3)年度以降初めて1.4倍台に下がりました。
千葉東は前年度に倍率ダウンしており、今年度は倍率アップの可能性が大きかったのですが、志願者は前年度並みで留まり千葉東としては低めの倍率が続きました。
船橋(普)は隔年現象で今年度は倍率アップの年に当たっていました。志願者は約70人増加し、倍率は2倍に上がっています。県立千葉からの移動があったのかもしれません。
薬園台(普)の志願者数は2021(R3)年度より359→394→409→423人と年々増加しており、倍率も1.28→1.41→1.46→1.51倍と上昇しています。大規模改修工事のため仮設校舎での生活になっていますが、人気は上がる一方です。
東葛飾は前年度に倍率が2倍まで上がり、今年度は反動で志願者減になりましたが、倍率は1.9倍台で高倍率を維持しました。国公立大学進学者が増加(2023年3月卒の生徒は約4割が進学)しているのも、高い人気を維持している背景にあるのかもしれません。
柏(普)は2022(R4)年度に1.4倍台まで上がり、以降2年連続で倍率は下がっています。今年度は理数科の志願者が前年度の低倍率の反動で増えていることから、普通科からの移動があったのかもしれません。
佐倉(普)は倍率に隔年現象があり、今年度は倍率アップの年でした。理数科も同様の動きになっています。
佐原(普)も同様で、1.0倍台の低倍率ながら上がったり下がったりしており、今年度は志願者が9人増加し倍率アップしました。理数科は、2021(R3)年度以降定員割れが続いています。
匝瑳は普通科と理数科が統合され、総合学科に改編されました。2021(R3)年度からの普通科と理数科を合わせた志願者数は、220→183→218人と増えたり減ったりしており、この流れからすると、今年度は志願者が減る可能性がありました。しかし、1倍を超えることはできませんでしたが、志願者数は前年度並みを維持しており、新しい学科への期待が現れた形です。
成東は普通科と理数科をくくり募集として、選考方法を普通科に合わせ、2段階選抜をやめて募集人員のすべてを1回で選考する方法に改めました。2021(R3)年度からの志願者数は、普通科と理数科を合わせて269→323→259人と増えたり減ったりしており、今年度は志願者増の年でしたが増えませんでした。ただ、普通科の募集人員が1学級減になったことから、理数科と合わせて240人募集(前年度までは普通科240人、理数科40人)になったため、倍率は1倍を超えています。
長生も普通科と理数科をくくり募集で選抜を行いました。成東同様2021(R3)年度からの志願者数は、普通科と理数科を合わせて297→365→301人と増えたり減ったりしており、今年度は志願者増の年に当たり20人増加しました。ただ、2022年度のような高い倍率にはならず、1.1倍台で留まっています。
安房は、1.0倍台で隔年現象となっており、今年度は倍率ダウンの年でしたが、倍率が1倍を割ってしまいました。
一方で木更津(普)は倍率アップの年で、志願者が約50人増、倍率も1.4倍台に上がっています。50人単位で志願者が増減するため倍率の変動が大きくなっています。
市立千葉(普)は高倍率を維持しながら上がったり下がったりしています。今年度は倍率ダウンの年で志願者は55人の減になりましたが、倍率は1.5倍台を維持しました。
<進学指導重点校及び各地域の上位難関校の状況>
2024(R6) 募集人員 | 2024(R6) 志願 確定数 | 2024(R6)倍率 | 2023(R5) 倍率 | 2022(R4) 倍率 | 2021(R3) 倍率 | |
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県立千葉 | 240 | 356 | 1.48 | 1.58 | 1.69 | 1.50 |
千葉東 | 320 | 418 | 1.31 | 1.34 | 1.65 | 1.34 |
船橋(普) | 320 | 641 | 2.00 | 1.78 | 1.83 | 1.76 |
薬園台(普) | 280 | 423 | 1.51 | 1.46 | 1.41 | 1.28 |
東葛飾 | 240 | 466 | 1.94 | 2.00 | 1.86 | 1.82 |
柏(普) | 280 | 360 | 1.29 | 1.32 | 1.42 | 1.31 |
佐倉(普) | 280 | 435 | 1.55 | 1.41 | 1.60 | 1.50 |
佐原(普) | 240 | 254 | 1.06 | 1.02 | 1.08 | 1.00 |
匝瑳(総合) | 240 | 214 | 0.89 | 普 1.05 理 0.23 | 普 0.87 理 0.25 | 普 1.03 理 0.35 |
成東 (普・理) | 240 | 250 | 1.04 | 普 0.98 理 0.60 | 普 1.15 理 1.15 | 普 1.14 理 1.03 |
長生 (普・理) | 280 | 321 | 1.15 | 普 1.07 理 1.10 | 普 1.30 理 1.35 | 普 1.11 理 0.78 |
安房 | 240 | 238 | 0.99 | 1.08 | 1.01 | 1.07 |
木更津(普) | 280 | 405 | 1.45 | 1.25 | 1.51 | 1.17 |
市立千葉 (普) | 280 | 425 | 1.52 | 1.71 | 1.58 | 1.49 |
その他注目校の状況
この他の注目校の状況を見てみましょう。
千葉南は、2021(R3)年度以降1.2倍台で安定しており、2023(R5)年度より制服も改訂したことから、一定の人気は維持すると見込まれていました。ですが、今年度は志願者が50人以上減少し、1.1倍台までダウンしました。磯辺や千城台に移動したのかもしれません。
検見川は隔年現象があり、今年度は倍率ダウンの年に当たっていました。
磯辺は志願者が増加傾向で、今年度は1.3倍台まで上がっています。検見川や千葉南からの移動があるのかもしれません。
幕張総合(総合)は、大規模校ながら高倍率で安定した入試が続きます。今年度も志願者は微減で留まり、3年連続1.5倍台を維持しました。
千葉西も、1.2倍前後で安定した入試を続けています。周辺地域に幕張総合や検見川、市立稲毛などの人気校があり、高倍率にはなりにくい環境にあるようです。
八千代(普)も高倍率入試が続きますが、2023(R5)年度以降志願者の微減が続いています。
津田沼も、2023(R5)年度を境に志願者数が500人台から400人台に減少。倍率は1.4倍台の高倍率を維持していますが、校舎大規模改修工事を予定していることから、やや敬遠傾向にあるのかもしれません。
船橋東は、前年度の倍率アップの反動もなく、1.5倍台を維持しました。
国府台は、2023(R5)年度より志願者が400人を割って1.2倍台に下がり、今年度も同じような志願状況になっています。2026(R8)年度より校舎改修工事が予定されており、やや敬遠傾向になっているのかもしれません。
国分は、前年度に1.5倍台の高倍率になった反動で志願者が約90人の大幅減となり、1.2倍台まで下がりました。
一方で鎌ヶ谷は国分からの挑戦があったのか、志願者増となり1.4倍台の高倍率になっています。
小金は隔年現象で今年度は倍率アップの年に当たり、志願者が35人増加して1.6倍台まで上がりましたが、2022(R4)年度の倍率までは届きませんでした。
松戸国際(普)は、前年度の高倍率の反動で志願者減になり、前々年度の倍率に戻りました。2024(R6)年度より、グローバルスクールとして異文化理解や国際交流がさらに活発化されるようです。
柏南は高倍率入試が続きます。今年度も志願者が35人増加し、2021(R3)年度以来の1.5倍台に上がりました。
柏の葉(普)は、隔年現象の動きになっています。今年度は倍率ダウンの年に当たり、志願者が約130人の大幅減になりました。しかし、7学級から6学級に募集減になったため、倍率は1.4倍台で留まっています。
柏中央にも隔年現象があり、今年度は倍率アップの年で志願者増。倍率は前々年度並みの1.3倍台に上がりました。
成田国際(普)は、2022(R4)年度から3年連続1.5倍台で高倍率入試が続きます。国際科も倍率アップが続き、1.4倍台に上がっています。
君津(普)は隔年現象があり、定員割れと1倍超を交互に繰り返しています。今年度は倍率アップの年で、1.15倍に上がりました。園芸科も同じ動きで、今年度は1.00倍だったものの志願者は増加しています。
<募集人員を減らした学校の状況>
2024(R6) 募集人員 | 2024(R6) 志願 確定数 | 2024(R6) 倍率 | 2023(R5) 倍率 | 2022(R4) 倍率 | 2021(R3) 倍率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
千葉南 | 320 | 359 | 1.12 | 1.29 | 1.28 | 1.23 |
検見川 | 320 | 404 | 1.26 | 1.38 | 1.27 | 1.34 |
磯辺 | 320 | 439 | 1.37 | 1.28 | 1.15 | 1.23 |
幕張総合 (総合) | 680 | 1,039 | 1.53 | 1.58 | 1.54 | 1.48 |
千葉西 | 320 | 383 | 1.20 | 1.19 | 1.22 | 1.24 |
八千代(普) | 240 | 323 | 1.35 | 1.39 | 1.49 | 1.45 |
津田沼 | 320 | 463 | 1.45 | 1.44 | 1.61 | 1.58 |
船橋東 | 320 | 508 | 1.59 | 1.56 | 1.17 | 1.30 |
国府台 | 320 | 390 | 1.22 | 1.23 | 1.32 | 1.39 |
国分 | 320 | 399 | 1.25 | 1.53 | 1.42 | 1.13 |
鎌ヶ谷 | 320 | 459 | 1.43 | 1.32 | 1.36 | 1.20 |
小金(総合) | 320 | 523 | 1.63 | 1.53 | 1.82 | 1.51 |
松戸国際(普) | 200 | 279 | 1.40 | 1.53 | 1.37 | 1.40 |
柏南 | 360 | 551 | 1.53 | 1.43 | 1.47 | 1.50 |
柏の葉(普) | 240 | 355 | 1.48 | 1.74 | 1.35 | 1.60 |
柏中央 | 320 | 425 | 1.33 | 1.16 | 1.36 | 1.24 |
成田国際 (普) | 200 | 308 | 1.54 | 1.57 | 1.53 | 1.18 |
君津(普) | 240 | 275 | 1.15 | 0.95 | 1.02 | 0.95 |