2024(R6)年度の都内私立高入試がどのように行われたのか見ていきましょう。
目次
男子難関進学校の状況
男子の難関進学校では隔年現象の桐朋を除いて応募減となり、4校合わせた人数が3年前の水準に戻りました。開成は別格としても、共学化の波により応募者数の変動も激しくなってきているようです。
【応募者数】
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
開成 | 522 | 498 | 566 | 565 | 551 |
巣鴨 | 149 | 245 | 298 | 386 | 285 |
城北 | 327 | 360 | 333 | 340 | 244 |
桐朋 | 246 | 215 | 240 | 217 | 251 |
計 | 1,244 | 1,318 | 1,437 | 1,508 | 1,331 |
開成高等学校
開成は応募者数が前年度比で14人、2.5%の微減でとどまったことと、合格者数を絞ったことから実質倍率がややアップ。久しぶりに3倍台に上がり、最近の5年間ではもっとも厳しい入試になりました。
巣鴨高等学校
2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|
5科【応募】 | 178 | 260 | 339 | 256 |
5科【合格】 | 121 | 172 | 134 | 144 |
3科【応募】 | 67 | 38 | 47 | 29 |
3科【合格】 | 39 | 18 | 12 | 9 |
巣鴨は2021年度より入試科目の5科型を導入したため、グラフも2021年度からのものになっています。
5科入試の応募者は導入以降増加傾向でしたが、今年度は83人24.5%の大幅減。一方で3科入試は隔年現象で減って5科・3科とも実質倍率が下がりました。
ただ55入試と3科入試の実質倍率の差は1ポイント以上あり、5科入試の方が入りやすい状況は変わっていません。
城北高等学校
城北は2021年度から3年間は比較的安定した入試を行っていましたが、今年度は応募者が96人、28.2%の大幅減となり、実質倍率も1.3倍まで落ち込みました。2023年春の大学合格実績で国公立の合格者数が現浪合わせて100人を切ったことで、入試日が同じ(2月11日)中央大学に移動したのかもしれません。
推薦入試の応募者も前年度から半減(42→18人)し全員合格しています。
ただ、今春の国公立の実績はまた100人を大幅に超えており、来春は応募者が戻ってくると予想されます。
桐朋高等学校
桐朋の応募者数は増えたり減ったりする隔年現象の動きになっており、今年度は応募増の年でした。実質倍率は上昇傾向で、年々少しずつ上がっています。これは合格者を絞っていることも影響していると思われます。今年度は合格者を増やしましたが、応募増の割に少なかったため1.6倍台と近年でもっとも厳しい入試になりました。
5月に東京慈恵会医科大学と高大連携を結び、あらたな特徴が一つ増えています。
難関大学附属校の状況
次に大学附属校の状況を見ていきましょう。この13校は一般入試で併願優遇制度を導入していないため、大量の不合格者が出ている学校です。13校合わせた応募者数をみると、2021年度に一般入試の応募者数が大幅に減少していますが、これはコロナ禍によって安全志向になったためです。
しかし、翌2022年度より増加に転じ、2023年度も微増でしたが増加が続き、2020年度までの挑戦志向復活の兆しがみえました。今年度は105人の微減で増加傾向に歯止めがかかったものの、9,100人台は維持しており、安全志向にもどったとはいえないでしょう。
推薦入試の応募者数は微減ですが2,200人台が続いており、こちらも安定した人数を確保しているような状況です。
【推薦入試の応募者数】
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
慶應義塾女子 | 113 | 122 | 143 | 113 | 126 |
早稲田大学高等学院 | 236 | 236 | 247 | 204 | 260 |
早稲田実業 | 132 | 100 | 118 | 113 | 101 |
明治大学付属明治 | 117 | 106 | 87 | 100 | 66 |
明治大学付属八王子 | 425 | 371 | 343 | 365 | 356 |
明治大学付属中野 | 20 | 24 | 29 | 126 | 98 |
中央大学附属 | 304 | 263 | 307 | 363 | 286 |
中央大学杉並 | 408 | 356 | 344 | 346 | 397 |
中央大学 | 246 | 188 | 197 | 204 | 185 |
青山学院 | 224 | 278 | 248 | 223 | 204 |
立教池袋 | ー | ー | ー | ー | ー |
法政大学 | 134 | 169 | 138 | 114 | 129 |
学習院 | ー | ー | ー | ー | ー |
計 | 2,358 | 2,213 | 2,201 | 2,271 | 2,208 |
【一般入試の応募者数】
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
慶應義塾女子 | 471 | 454 | 455 | 471 | 463 |
早稲田大学高等学院 | 1,850 | 1,507 | 1,848 | 1,800 | 1,818 |
早稲田実業 | 1,101 | 910 | 818 | 812 | 818 |
明治大学付属明治 | 581 | 557 | 581 | 781 | 612 |
明治大学付属八王子 | 553 | 445 | 430 | 437 | 480 |
明治大学付属中野 | 1,158 | 935 | 988 | 961 | 933 |
中央大学附属 | 646 | 556 | 785 | 908 | 746 |
中央大学杉並 | 1,115 | 948 | 951 | 965 | 1,021 |
中央大学 | 872 | 681 | 812 | 658 | 764 |
青山学院 | 1,020 | 988 | 1,048 | 950 | 959 |
立教池袋 | 39 | 27 | 13 | 57 | 38 |
法政大学 | 331 | 431 | 270 | 244 | 289 |
学習院 | 141 | 143 | 178 | 174 | 172 |
計 | 9,878 | 8,582 | 9,177 | 9,218 | 9,113 |
慶應義塾女子高等学校
慶應義塾女子は推薦入試の募集人員を10人増やし、一般入試をその分減らして70人としました。
それでも推薦応募者は微増で留まり、定員増の分合格者を増やしたことから実質倍率が3倍台に下がりました。
一方で、一般入試の応募者数は推薦入試で増えた分だけ減少したような形ですが、やはり微減で留まっています。ただ他校併願者の応募が増えたのでしょうか。一般募集人員を減らしたのにもかかわらず、合格者を増やしたため実質倍率が下がり、慶應女子としては低めの競争率になりました。
早稲田大学高等学院
早稲田大学高等学院の推薦入試は2020~2022年度の3年間、実質倍率2.3倍台で安定していました。2023年度に2割弱の応募減になり1倍台にダウン。そして今年度の2024年度は、その反動もあって応募者が2022年度以前よりさらに増え、最近の5年間でもっとも厳しい入試になりました。
一方で、一般入試は2021年度にコロナ禍により応募減になったものの、翌2022年度から回復。以降3年間落ち着いた入試が続いています。
早稲田実業学校高等部
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
男子【応募】 | 627 | 521 | 442 | 493 | 484 |
男子【合格】 | 191 | 186 | 121 | 119 | 127 |
女子【応募】 | 401 | 322 | 321 | 264 | 292 |
女子【合格】 | 75 | 73 | 61 | 55 | 59 |
早稲田実業は2022年度に募集人員を減らしたことから男女とも実質倍率が上がり、以降男子は3倍台、女子は4倍台の入試が続きます。
一般入試の募集人員は男子の方が多いためか応募数も合格数も男子の方が多く、女子には狭き門になっています。
しかし、2025(R6)年度入試では募集人員を増やして男女同数(各45人)にするとのことなので、選抜状況に影響する可能性があります。
明治大学付属明治高等学校
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
男子【応募】 | 312 | 320 | 311 | 404 | 339 |
男子【合格】 | 136 | 106 | 162 | 140 | 178 |
女子【応募】 | 269 | 237 | 270 | 377 | 273 |
女子【合格】 | 101 | 104 | 111 | 122 | 101 |
明治大学付属明治の男子の実質倍率は、隔年現象の動きで上がったり下がったりしています。今年度は下がる年に当たり、前々年度の2022年度入試とほぼ同じ倍率で落ち着きました。一方で女子は2022・2023年度と応募増となり、実質倍率もアップ。その反動で2024年度は100人以上の応募減となり、やや緩和されました。
しかし、男女同数の募集数としていながら、実際には男子の合格者の方が多く、男子に比べると女子は厳しい入試になることが多くなっています。
明治大学付属八王子高等学校
今年度より校名変更した明治大学付属八王子は、グラフにあるように実質倍率は下降傾向です。応募者数は2023・2024年度と増加していますが、合格者を増やしているため2022年度以前のような4倍を超える高倍率にはなっていません。
しかし、来春の2025年度入試では募集人員を推薦・一般とも5人ずつ減らして各80人になるため、合格者も絞られる可能性があり実質倍率は上がりそうです。
中央大学附属高等学校
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
男子【応募】 | 360 | 322 | 447 | 495 | 418 |
男子【合格】 | 108 | 112 | 108 | 124 | 118 |
女子【応募】 | 286 | 234 | 338 | 413 | 328 |
女子【合格】 | 73 | 64 | 73 | 92 | 86 |
中央大学附属は男女合わせた募集人員(一般男女120人)としています。しかし、応募者数は男子の方が多く、合格者も多い状況が続き、実質倍率では女子の方が常に高いという入試が続いています。2024年度は前年度の反動で応募減となり、実質倍率も下がって男女の差が縮まりましたが、それでも女子が男子より厳しい状況は変わっていません。
一方で推薦入試の方は、女子の応募者が多く合格者も多いため、男子が厳しい入試になることがほとんどです。
中央大学杉並高等学校
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
男子【応募】 | 613 | 520 | 514 | 523 | 553 |
男子【合格】 | 131 | 155 | 176 | 149 | 151 |
女子【応募】 | 502 | 428 | 437 | 442 | 468 |
女子【合格】 | 140 | 158 | 156 | 185 | 161 |
中央大学杉並は、男子の応募者が多いところは中央大学附属と共通していますが、合格者数は女子の方が多い年がほとんどです。そのため、実質倍率は男子が高くなります。今年度は男女とも応募者増となり、実質倍率も上がっています。2020年度には及ばないものの、やや厳しい入試になりました。
推薦入試は常に女子の応募者が多く、合格者も女子が多いのですが、実質倍率は年によって男子が高かったり女子が高かったりしています。適性検査の結果で合否が分かれていることがわかります。 なお、2025年度の入試も今春と同じ募集人員・入試日程・検査科目で実施する予定です。
中央大学高等学校
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
男子【応募】 | 391 | 297 | 346 | 293 | 331 |
男子【合格】 | 83 | 91 | 91 | 89 | 87 |
女子【応募】 | 481 | 384 | 466 | 365 | 433 |
女子【合格】 | 124 | 115 | 115 | 116 | 123 |
中央大学は、附属校や杉並と異なり女子の応募者が常に多く、合格者数も女子が多くなります。しかし、実質倍率は2021年度以降男女の差がほとんどなくなっています。応募者数に見合う合格者がでていることから、男女の学力差があまりないと考えられます。 推薦入試も女子の応募者が多いのですが、募集人員が男女別設定であることから実質倍率は女子が高く、狭き門になっています。
青山学院高等部
【推薦入試】
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
男子【応募】 | 79 | 97 | 76 | 88 | 61 |
男子【合格】 | 36 | 35 | 33 | 32 | 27 |
女子【応募】 | 145 | 181 | 172 | 135 | 143 |
女子【合格】 | 42 | 41 | 38 | 38 | 40 |
【一般入試】
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|
男子【応募】 | 459 | 389 | 448 | 401 | 446 |
男子【合格】 | 100 | 103 | 101 | 76 | 97 |
女子【応募】 | 561 | 599 | 600 | 549 | 513 |
女子【合格】 | 111 | 113 | 102 | 100 | 99 |
青山学院は、今年度推薦入試の出願基準を男子9科38・女子9科41から、男女9科40に変更したため、男子は基準アップとなり応募者が30人弱減少しました。一方、女子にとっては緩和ですが、8人の微増でとどまっています。
一般入試は男子の応募者が増加しました。推薦入試からの移動があったと思われます。女子は減少しましたが、推薦へのシフトというより、入試日を2/12に変更したため、明治大学付属明治と競合したことが影響したのかもしれません。 応募状況は推薦入試も一般入試も常に女子が多く、女子の方が実質倍率も上がって厳しい入試になるのが例年の動きです。それは今年度も変わりませんでした。
立教池袋高等学校
立教池袋は募集人員が縮小され、2020年度の15人から2021年度に10人となり、2022年度から若干名になっています。それでも応募者数は増加し、2023年度は実質倍率が4倍を超える激戦でした。今年度はその反動で応募減となり、実質倍率も3倍台に下がりましたが、2022年度以前の1倍台を大幅に上回る高倍率で厳しい入試が続きました。
法政大学高等学校
法政大学は、今年度より推薦入試と一般入試の募集人員を同数(各46人)に変更しました。
推薦入試は、前年度に応募減となり実質倍率も下がったことから、応募者が増加しました。しかし、募集人員増の分合格者も増やしたため、実質倍率は変わりませんでした。
一般入試は募集減になったものの、こちらも前年度の実質倍率ダウンの反動で応募増となりました。しかし、合格者数を前年度以上に多く出したことから実質倍率は若干のアップでとどまっています。
学習院高等科
学習院は合格者数が増えたり減ったりしており、それに合わせて実質倍率も上下しています。
今年度は合格者数を絞ったため実質倍率アップとなり、2022年度には及ばなかったものの、厳しい入試になりました。