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2025(R7)年度 千葉県公立高入試を振り返って

入試情報

2025.05.30

2025.05.30

千葉県の公立高校受験の仕組みや選抜方法

今春の千葉県公立高入試はどのような入試であったのでしょう。

志願倍率は上昇傾向で今年度も1.14倍と前年度より0.02ポイントアップしました。しかし不合格者数は前年度より160人減り、結果的にはやや緩和された入試になりました。倍率が上がったのになぜ不合格者が減ったのでしょうか。

志願状況

全日制の募集人員29,720人に対し、志願変更後の最終的な志願確定者数は33,854人。倍率は前年度より0.02ポイント上がり1.14倍になりました。

2021年度に前後期制が一本化されて以降、志願倍率は上昇傾向になっています。

しかし、倍率が上昇しているのは公立志向が高まっているのではなく、公立の募集枠が年々縮小されているからです。

次のグラフのように生徒数に対する公立の募集枠(収容率)は減少傾向です。今年度も57.7%から56.8%に縮小されています。それに対して志願率が横ばい(64.8→64.7%)で、これが倍率アップの原因になっているのです。

 ※収容率は募集人員÷生徒数の割合、志願率は志願確定者数÷生徒数の割合

学科別志願状況

学科別でみても同様の傾向がうかがえます。

普通科

普通科は前年度より0.01ポイント高い1.16倍でしたが、やはり志願率は前年度と同じで収容率が縮小されています。

普通科の募集人員は前年度(24,080人)より640人2.7%少ない23,440人。収容率は45.3%から44.8%にダウンしましたが、志願者数は前年度(27,678人)より491人1.8%減で留まり、志願率は前年度と同じ52.0%となったことが倍率を押し上げました。

志願確定の段階で定員割れになった学校は27校。前年度(34校)より大幅に減少しました。

また、1.4倍以上の高倍率校も減り(16→13校)、1.0倍台が増加(31→39校)しており倍率の平準化が図られています。

次のグラフのように定員割れ校は減少傾向であるのに対し、1.0倍台、1.2倍台が増加しています。

専門学科・総合学科

専門学科と総合学科も志願率は変わらず、収容率の低下によって倍率が上がりました。

専門学科全体の募集人員は4,560人で前年度(4,760人)より200人4.2%の減。収容率は8.9%から8.7%にダウンしました。それに対し志願者数は4,487人で前年度(4,584人)より97人2.1%減で留まり、志願率は8.6%と変わりませんでした。

総合学科も志願率は4.2%で前年度と同じでしたが、募集人員は幕張総合、八街、安房拓心の3校が減になり、3.5%から3.3%に下がりました。

専門学科で定員割れになった学科は41学科で、こちらも前年度(48学科)より減っています。また1.4倍以上の学科数も前年度の12学科から9学科に減り、一方で1.0倍台が14学科から21学科に増えるという普通科と同じような傾向がみられました。

専門学科の中でも倍率アップした学科、ダウンした学科さまざまですが、全体的には農業科、工業科、商業科、家庭科などの職業系専門学科は前年度並みかやや増。理数科、国際系学科など普通科系専門学科は減という特徴がありました。

農業科は0.78倍から0.82倍にアップ。これは成田西陵「園芸」が学級減になったことが影響しています。その成田西陵は農業系3学科合わせた志願者数が前年度より26人増えていますが、これは隔年現象によるもので、前年度の志願者減、3学科とも定員割れになったことの反動です。このほか、下総「園芸」大網(農業系3学科計)が同様の動きで前年度の志願者減から志願者増に転じました。一方で旭農業茂原樟陽(農業系3学科計)は減少傾向になっており、これらの結果、農業科全体の志願者数は前年度の682人から688人の6人の微増となりました。

工業科も隔年現象により志願者数が増減します。京葉工業の機械科が募集減。学校全体の志願者数は前年度増加したことから20人ほど減りましたが倍率はアップ。そのほか千葉工業、市川工業、清水、東総工業も隔年現象で志願者増となり学科全体で90人増えました。

商業科も0.99倍から1.03倍に上がり、4年ぶりの1.0倍台になりました。しかし一宮商業君津商業で学級減になっており、商業科全体の志願者数は前年度(1,342人)より30人の微減でした(1,312人)。やはり隔年現象が多くみられ、千葉商業、流山、市立船橋は志願者増、銚子商業市立習志野は減の年に当たりました。学級減になった一宮商業君津商業は両校とも志願者は減りましたが倍率は上がっています。

家庭科も同様で、千葉女子、八千代、木更津東は倍率アップの年にあたり、佐倉東はダウンの年というように隔年現象を示す学校が多くなっています。今年度は倍率アップになる学校が多かったことから学科全体の志願者数は22人の増になりました。

一方、理数科は志願者減になったところが目立ちます。船橋は前年度に2倍を超える高倍率になったことから今年度は敬遠され元の1.6倍台に戻りました。また(1.58→1.15→1.63→1.13倍)と佐倉(1.85→1.48→1.70→1.43倍)は隔年現象で今年度は倍率ダウンの年にあたり、佐原(0.80→0.68→0.93→0.43倍)と上下しています。木更津(1.03→1.33→1.40→1.55倍)と市立千葉(1.50→1.73→1.78→1.85倍)は上昇傾向でいずれも2021年度以降の最高倍率を記録しましたが,学科全体の志願者数は63人16.4%の減となりました。

国際系学科も前年度の倍率アップの反動で下がった学校が目立ちました。流山おおたかの森「国際コミュニケーション」は2023年度(1.45倍)、2024年度(1.53倍)と2年続いた高倍率が敬遠され、今年度は一気に1.10倍まで下がりました。成田国際「国際」も前年度に1.46倍にアップしたことから、今年度は1.32倍と前々年度の倍率に戻っています。市立松戸「国際人文」も前年度の1.53倍という高倍率の反動で1.08倍に下がり、2021年度以降でもっとも低くなりました。松戸国際「国際教養」(1.47→1.41倍)と東金「国際教養」(1.08→1.03倍)はほぼ前年度並みの倍率を維持しましたが志願者数は微減です。市立稲毛の募集停止の影響もありますが、学科全体の志願者数は117人20.5%の減となりました。

体育科八千代「体育」が隔年現象(1.25→1.08→1.35→1.15倍)でダウン。市立柏「スポーツ科学」は2人の志願者減となり1.05倍から1.00倍に下がり、市立船橋「体育」は1.03倍で前年度と同じ倍率でした。この結果、学科全体の志願者数は10人減の168人になっています。

このように専門学科は職業系学科と普通科系学科で異なる動きがみられましたが、募集規模の大きい職業系学科の傾向が専門学科全体の傾向として現れています。

総合学科の志願状況は相変わらず二極化しており、幕張総合と小金の2校とその他の学校で倍率に大きな差が生じています。幕張総合の志願者数は19人の微増(1,039→1,058人)でしたが、学級減によって倍率は1.65倍にアップ、2021年度以降の最高倍率を記録しました。小金はこの3年間1.53→1.63→1.59倍と1.6倍前後で安定しており高い人気を維持しています。しかし、このほかの学校は急激に倍率が低くなり上記の2校との差が広がっています。八街は志願者数が34人減りましたが、学級減に吸収され3年ぶりに1倍台に上がりました。安房拓心も学級減での募集でしたが、志願者も減少、倍率は上がった(0.78→0.84倍)ものの1倍を超えるには至りませんでした。総合学科に改編され2年目を迎えた匝瑳は志願者が増えず2年連続定員割れ。大原は0.6倍台が3年間続き、君津青葉も定員割れが続いています。

高倍率ベスト10

もっとも高い倍率になったのは東葛飾「普通」で2.05倍。次いで市立千葉「理数」1.85倍。船橋「普」1.83倍と続きます。学力上位校が高倍率になるのは例年の傾向ですが、理数科では倍率ダウンが目立ったものの、それでも3校がランクインしており根強い人気を示しました。

4位の松戸「芸術」は2022年度に1.90倍の高倍率を記録した人気校ですが、2023年度(1.23倍)、2024年度(1.13倍)と低倍率が続き、今年度はその反動が現れた形です。

受検者と合格者

最終的な受検者数は33,583人で志願確定者数より271人減りました。この人数は前年度の278人に次ぐ人数(2021年度より189→199→225→278→271人)です。これは受検の時点で私立高へ転換した受検生が相変わらず多かったことを示しています。

合格者数は27,964人で実質競争率は3年連続1.20倍になりました。志願倍率が前年度より上がったのに実質倍率が変わらなかったのは、定員割れの学校が減り合格者が増えたためです。

不合格者数は前年度より159人少ない5,619人となりました。これは先に見たように高倍率校が減ったことが影響しています。

その結果、志願倍率が上がったものの不合格者が減るという一見して矛盾した入試状況になったのです。

第二次募集は47校76学科1,760人で実施。前年度(56校92学科2,259人)より約500人減となりました。

進学指導重点校、難関校の選抜状況

進学指導重点校では前年度の倍率アップの反動で志願者減となった学校が目立ち、下記の10校合わせた不合格者数は前年度より138人17.4%の減となり、前々年度並みに戻りました。船橋「普」、佐倉「普」、木更津「普」の3校が倍率ダウンし、不合格者が減ったことが影響しています。

船橋「普」の志願倍率は2021年度より1.76→1.83→1.78→2.00→1.83倍と隔年現象があり、今年度は倍率ダウンの年に当たりました。しかし不合格者は231人と受検生の4割以上と、激戦の状況は変わっていません。佐倉「普」も同様で1.50→1.60→1.41→1.55→1.29倍と推移、今年度は過去最も低い倍率になりました。不合格者も半減しています。木更津「普」も1.17→1.51→1.25→1.45→1.27倍と上がったり下がったりしています。安房は同じ隔年現象でも上記の学校とは逆の動きで1.07→1.01→1.08→0.99→1.05倍と今年度は倍率アップの年でした。

千葉東は1.3倍台で安定傾向。柏「普」は1.2倍台の低めの倍率が続き、佐原「普」も1.0倍台で推移しています。匝瑳「総合」は定員割れから抜け出せませんでした。

成東「普・理」長生「普・理」は2年連続倍率アップしており、成東は3年ぶりに1.1倍台。長生は過去最多の志願者数になりました。

※匝瑳、成東、長生の2023年度は普通科のもの

重点校以外の難関校では倍率アップが目立ちました。6校合わせた不合格者数は925人で、前年度より65人増えています。

薬園台「普」は新校舎の完成の影響なのか、倍率は上昇傾向で今年度は過去最高倍率を更新。不合格者は受検者の4割に該当する180人を数え激戦になりました。八千代「普」も過去最高倍率を記録し、3分の1の受検生が涙をのみました。船橋東はこの3年間1.5倍台の高倍率が続き、やはり不合格者は受検生の3分の1を占めています。東葛飾は2022年度より1.86→2.00→1.94→2.05倍と隔年現象の動きになっており。今年度は受検生の半数近い228人が不合格になる激戦でした。

市立千葉「普」も前年度と同じ高倍率を維持しています。しかし最難関校の千葉のみ倍率は下降傾向で、不合格者数も98→149→123→105→62人と過去最も少なくなるという他の難関校とは逆の動きになっています。

通信制と競合する学力層の学校

今年度の特徴の一つとして、通信制と競合する学力層の学校の倍率が上がったことがあります。大きな原因は学級減になった学校が多かったからですが、志願者数は前年度とほとんど変わらず、受検生の安全志向をうかがわせました。

その中で大幅な志願者増になった学校も多く見られます。佐倉東「普」は隔年現象があり、今年度は倍率アップの年に当たっていました。そのため志願者は46人の増となり、倍率は2021年度以降でもっとも高い1.16倍を記録しました。木更津東「普」は28人の増となり、やはり過去最高の1.16倍に上がっています。船橋二和は61人の大幅増、倍率も1.24倍に上がりました。1.2倍台は初めてです。松戸馬橋は22人増で1.22倍、これも過去最高倍率です。船橋古和釜は23人増、定員割れが続いていましたが、初めて1倍を超えました。鎌ヶ谷西は23人増で過去最多の165人を集めましたが倍率は0.83倍でとどまっています。このほか、八千代東(0.96→1.03倍)、四街道北(1.13→1.24倍)、船橋法典(0.85→0.93倍)、浦安(0.92→1.04倍)は過去2番目に多い志願者数となり倍率も上がっています。

学級減により志願者数が減ったものの倍率が上がった学校も多くみられました。土気の志願者は13人減でしたが、学級減により倍率は0.99→1.10倍にアップ、富里は27人減でしたが倍率は0.97→1.04倍と4年ぶりに1倍台に上がっています。姉崎の志願者数は前年度(164人)とほぼ変わらない165人でしたが、倍率は1.03→1.38倍と過去最高倍率を記録しました。犢橋(1.14→1.19倍)、沼南高柳(0.91→1.06倍)、流山北(0.73→0.82倍)も志願者減でしたが、倍率はアップしています。

一方で沼南(0.44→0.34倍)、関宿(0.28→0.24倍)、九十九里(0.23→0.22倍)、天羽(0.62→0.40倍)は過去最も少ない志願者数になり、倍率も最も低い倍率を記録しました。

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