
今回から地域別に神奈川県の公立高入試状況(おもに普通科高校と単位制普通科高校)を見ていきます。
第1回は横浜地区です。
横浜北部
横浜北部は横浜南部、鎌倉・藤沢地区と並ぶ県内の激戦区です。
地域全体の志願者数は前年度より144人多い6,705人で不合格者数は104人増えました。県を代表する横浜翠嵐のほか、神奈川総合や川和、市ケ尾、元石川など人気校が多く、横浜中部、横浜南部を始め、川崎、相模原、大和・座間・綾瀬など幅広い範囲から受検生がやって来ます。普通科の平均倍率1.22倍(単位制普通科は1.13倍)以上になった学校は16校17学科・コースの内10校11学科・コースで、100人以上の不合格者を出した学校も5校ありました。

横浜翠嵐
横浜翠嵐の志願者数は2021年度より741→804→708→770→732人と増えたり減ったりする隔年現象の動きがあります。今年度は減る年に当たっており前年度より38人減となりましたが、倍率は2倍台を維持しました。
今の入試制度になった2013年度以降で2倍に達しなかったのは2020年度と2023年度の2回のみの高倍率激戦校です。近年は難関私立・国立に流れる受検生も減ってきており、受検棄権者数、受検後取消者数とも減少傾向です。(2021年度からの受検棄権者数は46→31→22→28→14人、取消は50→33→40→33→36人)。
合格率はここ数年50%前後で推移しており、合格するには高い内申と学力が必要です。大学合格実績では今春東大合格者数が70人を超えるという快挙を成し遂げました。来春の入試は志願者増の年に当たるのでかなりの高倍率になることが予想されます。
川和
川和の志願者数は2019年度~2033年度まで410~450人、倍率1.3~1.4倍台という高い水準で推移していました。しかし2023年度に学級増になったものの志願者は増えず1.20倍にダウン。翌2024年度は募集学級が元の8学級に戻ったことが影響したのか32人減で1.25倍と、2年連増1.2倍台という本校としては例外的な低倍率になりました。
しかし今年度は50人の志願者増となり、やっと本来の状況に戻っています。入学生は横浜北部から5割強、中部・南部から約2割、川崎から約2割と限定された範囲の中から安定的に人数を集めることができる人気校です。進学指導重点校としての実績も高い方です。
神奈川総合
神奈川総合は個性化コース(119人)、国際文化コース(89人)の2コースに分けて募集していること、海外帰国生徒募集や7月募集を実施していること、舞台芸術科を併設していることから他の普通科高校と比べて枠が狭く、それだけに倍率の変動が激しい学校となっています。
個性化コースは2021年度に募集減によって2.00倍に上がったあと、翌2022年度は志願者減(238→146人)になり倍率は1.23倍にダウン。以降1.97→1.58→1.69倍と上がったり下がったりする隔年現象の動きになっています。
国際文化コースも2021年度から倍率は1.80→1.31→1.73→1.35→1.42倍と上がったり下がったりしています。両コースとも今年度は志願者増、倍率アップの年に当たっていました。特徴のある学校のため通学圏は広く横浜市のほか、川崎、横須賀・三浦、鎌倉・藤沢、県央地区などからも生徒が受けに来ます。進路は国公立というより難関私立大学に進学する生徒が多いようです。
市ケ尾
市ケ尾は2018年度入試より志願者数が増減しだし、倍率も1.1~1.5倍の範囲で変動するようになりました。2023年度、2024年度と本校としては低めの1.2倍台が続いた後、今年度は72人の増となり1.4倍に上がりました。不合格者は前年度(64人)の倍以上の141人、3年ぶりに100人を超えています。
2018年度以降、1.3倍以上の高倍率は2年と続いたことはなく、例年の動きであれば来年度は倍率ダウンする可能性がありますが、耐震工事が終了し新しい校舎での生活になっていることから倍率は下がらないかもしれません。1学年10学級という大規模校で部活動や学校行事が活発な学校です。
横浜市立東
横浜市立東は2022年度より志願変更で倍率が変動するようになりました。2022年度は志願締切時の倍率は1.62倍でしたが、41人の減になり1.47倍に下がり、2023年度は1.65倍から34人減で1.53倍にダウン。2024年度は1.18倍であったため12人増で倍率は1.22倍とあまり変わらなかったものの、今年度は1.46倍から30人減で1.35倍になりました。志願はするものの締切時の高倍率に驚いて港北や鶴見に変更するというパターンが毎年一定程度でているのかもしれません。ユネスコスクールであることが特徴です。また横浜市からメタバーススクールモデル校の指定も受けています。
港北
港北は募集学級数の増減を頻繁に行います。今年度は8学級から9学級に増学級となったため、志願者数は52人増えましたが倍率は前年度(1.33倍)とほとんど変わりませんでした。9学級募集は過去の実績では2年間続いていることから来年度も変わらないかもしれません。また今年度の志願者数475人は本校としては多い方なので、来年度は志願者減になる可能性があります。
入学生の約8割は横浜北部からの生徒で地元中心の入試になっています。
元石川
元石川の志願者数はこの5年間、480~500人で推移。倍率も1.3~1.4倍と安定しています。またこの3年間は志願変更でもほとんど増減がありません。今年度は15人の志願者減で倍率が前年度の1.42倍から1.37倍に下がりましたが、不合格者数は119人で、この10年間毎年100人以上の不合格者がでています。地域的に川崎市からの入学生が多く全体の3割強を占めています。社会のさまざまな課題を解決するための知識や能力を身に着けるアントレプレナーシップ教育を実践しています。
鶴見
鶴見は32人の志願者減で4年ぶりに1.1倍台に下がりました。例年志願変更によって10~30人ほど増加し、志願確定時には1.2倍以上になることが多いのですが、今年度はわずかに届きませんでした。不合格者数は56人で本校としてはやや緩やかな入試になりました。岸根や荏田に移動したのかもしれません。また併願校としてよく利用される橘学苑や横浜清風の推薦応募者が増加していることから、私立志向の影響も受けたと考えられます。
入学生は横浜北部が中心で全体の6割程度を占め、川崎からは3割でこの2地域にほぼ限定されています。
岸根
岸根は鶴見や横浜瀬谷などからの移動があったのか53人の志願者増になり、過去最多の人数を集め過去最高倍率を記録しました。1.5倍台も初めてです。前年度は3年ぶりに1.3倍台に下がったことから、その反動が強く働いた形です。不合格者数は受検生の約3割に該当する150人で厳しい入試になりました。
入学生は横浜北部からが約7割で地元中心の入試になります。ほかに中部から1割強、南部から1割弱で横浜市の生徒だけで9割以上を占めています。地域活動が活発な学校です。
荏田
荏田は31人の志願者増になり倍率アップしました。志願者数が500人を超えたのは2013年度以降で3回目です。城郷や霧が丘などからの移動があったのかもしれません。不合格者数は100人を超え,受検生の2割強が不合格になる厳しい入試になりました。来年度は志願者減になると予想されます。以前,体育コースがあったことから体育系科目が多く部活動も活発です。そのため入学生は男子が約6割を占めています。
城郷
城郷は2023、2024年度と1.4倍台の高倍率が続いたことから、今年度は40人の志願者減になり、倍率は4年ぶりに1.2倍台まで下がりました。それでも普通科の平均倍率(1.22倍)は上回っています。荏田に移動したほか、普通科を新設した二俣川の影響も受けたのかもしれません。8学級から6学級募集になった2020年度以降、志願者数は320人程度で推移していたので本校としてはやや緩やかな入試になったといえます。従って、来年度は志願者増の可能性があります。
霧が丘
霧が丘は2023、2024年度と本校としては高めの倍率が続いたことから、今年度は26人の志願者減となり1.1倍台に下がりました。本校としては標準的な志願状況に戻ったといえます。以前は1学年10学級の大規模校でしたが、インクルーシブ教育実践校になってから募集学級数が減り現在は8学級です。そのため、志願者数も400人台から300人台に減りました。
横浜中部(旭区)に接していることから入学生は北部から約5割、中部から約4割とこの2地域でほとんどを占めています。
新栄
新栄は2020年度からの志願者数が440→379→424→358→445→401人と増えたり減ったりする隔年現象があります。倍率も1.23→1.06→1.21→1.02→1.26→1.15倍と上がったり下がったりしており、今年度は志願者減、倍率ダウンの年でした。新羽と競合関係にあり受検生の行き来があるようです。在県外国人特別募集枠があることから異文化交流に熱心です。
新羽
新羽は志願締切時の志願者数が、2020年度より449→491→475→553→413→491人と増減を繰り返す隔年現象がありますが、志願変更によって調整され477→485→476→486→478→472人と10人程度の誤差で同じような志願者数が続きます。倍率も1.20~1.22倍とほとんど動かなかったのですが、今年度は6年ぶりに1.1倍台に下がりました。
入学生は地元横浜北部が6割強、横浜市全体で9割弱を占めますが、川崎市からも1割程度きています。2026年度は麻生総合が募集停止となり、田奈が総合学科のクリエイティブスクールに改編されるので若干影響を受けるかもしれません。
白山
白山の志願者数は通信制志向の影響なのか、2020年度より300人に達しないことが多くなります。2023年度からは280人前後で推移し、2024年度に6学級募集に減ったことから1.1倍台後半の倍率が続きました。
入学生は横浜北部から6割、中部から2割前後です。来年度は田奈の改編の影響を受ける位置にあります。
田奈
その田奈の志願者数は26人増えて99人になりましたが、募集人員には遠く及ばず7年連続で定員割れになっています。全入は9年連続です。何度かふれたように2026年度より麻生総合と統合し総合学科のクリエイティブスクールに生まれ変わります。計画では1学年4学級160人を6展開でクラス編成し、系列は他の総合学科同様「グローバル教養」「情報ビジネス」「生活デザイン」「芸術スポーツ」とし、入試では学力検査を行わず特色検査(面接と自己表現検査)を実施するということです。
総合学科のクリエイティブスクールは初めてなのでどれだけ受検生が集まるか注目されます。
横浜中部
この地域の志願者数は合わせて447人8.3%の減になりました。横浜旭陵が募集停止になった影響もありますが、上記の15校中志願者減になった学校は過半数の8校で、増加は希望ケ丘、上矢部、金井の3校だけでした。隔年現象で志願者減の年に当たっていた学校が多かったことやこの地域の生徒数が約200人減少していること、横浜北部や横浜南部、鎌倉・藤沢地区の学校に流出する割に流入が少ないことなどが要因として挙げられます。この結果、不合格者数は294人32.2%減って619人になり、全体的に緩和されました。

希望ケ丘
希望ケ丘は前年度に横浜緑ケ丘への流出があったのか志願者減となり、500人を切って本校としては緩やかな入試になりましたが、今年度は反動で26人増えて500人台に戻し、倍率も1.4倍台に上がりました。学力向上進学重点校のエントリー校ですが、文科省からSSHの指定を受けておりそれも特徴のひとつになっています。
入学生は横浜市のほか川崎市や鎌倉・藤沢地区、県央地区など幅広い範囲から受けに来ます。そのためこの地域の生徒数減の影響を受けずに済んだのではないでしょうか。
光陵
光陵はコロナ禍の2021年度より志願状況が変化しました。それまでは志願者が400人以上になることが多く、倍率も1.4~1.6倍台の高倍率で推移していましたが、2021年度以降は400人に達することは少なく(2023年度のみ)、倍率も1.2倍台に下がるようになりました。前年度の2024年度入試で44人の志願者減になったことから、今年度は反動が予想されましたが逆に6人の微減となり1.2倍台が続きました。横浜平沼が逆の動きになっているので影響を受けているのかもしれません。ただ国公立大学の合格実績は本校の方が高くなっています。
横浜平沼
横浜平沼は2019年度から志願者数に変化が起きています。それまでは300人台で倍率も1.1~1.3倍台で推移していましたが、2019年度以降400人台に増え、倍率も1.3倍以上に上がることが多くなりました。2017年度より7学級募集から8学級募集に変わっているので、これも志願者増の要因になったようです。今年度も志願者数は428人で前年度とほぼ同じ1.3倍台を維持しました。グローバル教育が特徴でさまざまな取組を行っています。
横浜市立桜丘
横浜市立桜丘はコロナ禍の2021年度から志願状況が変わりました。それまでは450~500人ほどの志願者数になることが多く、倍率も1.4~1.5倍台で推移していましたが、2021年度以降は志願者が300人台に落ち込み、倍率も1.2倍台が多くなりました。1.3倍台に上がったのは2024年度の一度きりです。今年度はその反動で54人の志願者減になり1.2倍台に戻っています。地域の生徒数減のほか私立志向の影響も受けているのかもしれません。今年度は横須賀学院、日本大学、日本大学藤沢などの推薦応募者が増加しているので、それらの私立高に移動した可能性があります。
横浜市立戸塚
横浜市立戸塚「一般」も2022年度以降志願者が減少し、300人台1.3倍前後の本校としては少ない志願者数と低い倍率になっていました。それが今年度さらに68人の減、過去最も少ない200人台まで減り、倍率も初めて1.2倍台に落ち込みました。本校も生徒数減の影響や私立志向を受けてのことと考えられますが、大船の志願者が増加しているので同校への移動も考えられます。
松陽
松陽は2年間続いた増学級が元の7学級募集に戻り、それに合わせるように志願者も55人減少したため倍率は前年度並みを維持しました。志願者数は2020年度より340→319→376→335→368→313人と増減を繰り返す隔年現象の動きがあります。また、この3年間志願締切時の倍率が1.0倍前後と低く、志願変更で数十人増加するパターンが続いています。前年度の入試状況を見て受検生が動いていることを示しています。2021年度からはそれまで1人程度であった棄権者が3~5人に増え始め、私立志向の影響もみられます。
横浜瀬谷
横浜瀬谷の志願者数は2020年度より360→405→380→400→366人と増減を繰り返す隔年現象の動きがありましたが、今年度は志願者増の年にもかかわらず逆に24人の減、倍率は6年ぶりに1.0倍台に落ち込み本校にしては緩やかな入試になりました。入学生は地元横浜中部で8割弱を占めており、生徒減の影響を受けやすい環境にあります。それに私立志向が加わり今回の志願状況になったと考えられます。
金井
金井の標準的な志願倍率は1.0~1.1倍台です。2023年度に過去最高の1.37倍を記録したものの、2024年度と今年度の2025年度は1.1倍台に戻りました。ただ志願者数は増えたり減ったりする隔年現象的な動きを示し始めています(2022年度より390→436→369→404人)。今年度は志願者増になりましたが、倍率が動かなかった(1.16→1.13倍)のは8学級募集から9学級募集になったためです。
入学生は横浜中部が中心で全体の6割を占めます。南部は2割弱で横浜市内合わせると8割でほかに鎌倉・藤沢から1割強きています。横浜中部の生徒が減少したのに志願者が増えたのは深沢の募集停止の影響を受けたからかもしれません。
二俣川
二俣川は看護科を普通科に転換して募集しました。志願締切時は0.81倍で志願変更で15人増加しましたが、1倍を超えることができず受検生全員が合格しました。改編初年度ということで様子見の入試状況になったようです。普通科といっても看護科の要素を取り入れて「看護・医療・保健」等の専門科目を学べるようになっています。卒業後の進路はこれらの分野の上級学校への進学を目指すとのことです。来年度の入試では志願者増が期待されます。
舞岡
舞岡の志願者数は360人前後、倍率は1.1倍台が標準です。2023年度は491人、1.37倍の過去最多の志願者数で過去最高倍率を記録しましたが、その年以外は標準的な落ち着いた入試になっています。入学生は横浜中部から半数程度です。そのため生徒数減の影響もあまり受けなかったのかもしれません。
旭
旭は前年度の過去最高倍率の反動で49人の志願者減となり1.0倍台に下がりました。最近の5年間では低い方の倍率です。入学生の7割が横浜中部の生徒で占められていることから、生徒減の影響を受けたような形です。
2027年度より横浜旭陵と統合し新しい学校に生まれ変わります。もともと地域活動に熱心な学校でしたが、新校ではより一層地域との連携活動を行っていくとのことです。横浜旭陵は中沢と都岡が統合し2004年度に開校しましたが、20年ほどで幕を閉じることになります。
横浜緑園
横浜緑園は2022年度の志願者数が333→303→360→301人、倍率は1.20→1.09→1.29→1.08と隔年現象の動きが見られます。今年度は志願者減、倍率ダウンの年でした。この結果、不合格者17人で前年度の4分の1に減り緩やかな入試になりました。
入学生の3分の2は地元横浜中部の生徒です。このほか、横浜南部、鎌倉・藤沢、県央から各1割前後となっており通学圏は比較的広くなっています。
上矢部
上矢部は前年度の倍率ダウンの反動で30人の志願者増となり、倍率は過去最高の1.26倍。受検生の2割に該当する58人が不合格になりました。横浜南陵からの移動があったようです。2021年度から志願締切時の倍率は低く、志願変更で数十人増加するというパターンが続いていましたが、今年度は最初から高倍率(1.32倍)で志願変更ではマイナスになりました。来年度は元に戻って志願締切時の倍率は下がる見込みです。美術科を併置しており、普通科の生徒でも美術の専門授業を受けることができるのが魅力の一つになっています。
保土ヶ谷
保土ヶ谷の志願者数は61人の大幅減で過去最も少ない人数になりました。前年度に倍率アップしているのでその反動ですが、生徒減の影響もあったと思われます。ここを敬遠した生徒は商工(商、工)などの専門学科や武相、秀英などの私立高に向かったと考えられます。
入学生は横浜中部が約6割、市内全域では9割ほどになり、ほぼ横浜市だけでの入試になります。
横浜桜陽
横浜桜陽は21人の志願者減で5年ぶりの定員割れになり全員合格しました。3年連続(336→304→285→264人)の志願減で、通信制志向、私立志向の影響を受けていると考えられます。入学生は横浜中部が4割強、南部が3割弱で、ほかに鎌倉・藤沢、横須賀・三浦などもみられ、通学圏は広くなっています。
2027年度より永谷と統合する形で新しい単位制普通科高校に生まれ変わります。
横浜南部
この地域は横浜北部や鎌倉・藤沢地区と並んで人気校が多く、県内の激戦区といえます。今年度も上位の3校が100人以上の不合格者をだしました。10校合わせた志願者数は119人減っていますが、これは永谷が募集停止になったことが影響しています。10校中志願者増が5校、減が5校でした。
他地域からの受検生の多い地域でもあり、横浜中部や北部のほか、横須賀・三浦、鎌倉・藤沢からの生徒も多く受けに来ています。

柏陽
柏陽は2021年度~2024年度まで志願者数430~450人台で倍率は1.3~1.4倍台と安定していましたが、今年度は46人の志願者増で1.5倍台にアップしました。志願倍率1.5倍以上は5年ぶりのことです。横浜翠嵐からの移動があったのかもしれません。
入学生は横浜南部から4分の1、鎌倉・藤沢から4分の1、横浜中部から1割強、そのほか横浜北部、横須賀・三浦、平塚など幅広い範囲が通学圏になっています。国公立大学の合格実績が好調で在籍数の4割強が国公立大学に進学しています。
横浜緑ケ丘
横浜緑ケ丘は41人の志願者減で1.4倍台にダウン。2022年度から1.68→1.41→1.59→1.44倍と隔年現象の動きになっています。従来、1.6~1.7倍台に上がることも多くありましたが。私立志向の高まりによりそのような高倍率にはなりにくくなっているようです。また志願変更で数十人減ることが常で、志願締切時の倍率と志願確定倍率の差が大きいという特徴もあります。
入学生は横浜市が7割弱で横須賀・三浦、鎌倉・藤沢からもやってきます。また川崎市からの生徒も1割弱に及んでいます。
横浜市立金沢
横浜市立金沢は2020年度から志願者数が412→434→449→430→412→433人、倍率が1.30→1.36→1.41→1.35→1.30→1.36倍と安定した入試を行っています。横浜南部に同レベル校は1学級募集の市立南しかないことから選択肢が限られ一定の人気を得ているようです。学区外枠は市立南と同じ3割で他の市立高校より広く設定されていますが、ここ数年学区外枠を超える志願者はきていません。その多くは横須賀・三浦地区で入学生の2割弱に留まります。
横浜市立南
横浜市立南は1学級のみの募集ですが、倍率は2021年度より1.32→1.55→1.37→1.55→1.26倍と隔年現象がみられます。市立金沢と同様学区外枠は3割ですが、それを超えて志願することはめったにありません。来年度から高校募集を停止し、完全中高一貫校になる予定です。
横浜栄
横浜栄は2018年度以降、2023年度の1.47倍を除いて1.2倍台の入試が続いています。横浜南部に市立金沢と横浜氷取沢の間に本校のみが位置しており選択肢が狭まっていることから一定の人気を得ているようです。進学重視の単位制高校で共通の必修科目「栄スタンダード」があり、その上で学年が上がるにつれ増えていく多様な選択科目と合わせて希望の進路に対応できるようになっています。
横浜氷取沢
横浜氷取沢は2021年度からの志願者数が452→404→487→430→445人と増減を繰り返している隔年現象の動きになっています。今年度は志願者増の年でしたが、15人増で留まりほぼ前年度並みの倍率(1.20→1.24倍)で落ち着きました。もともと志願者数は450人前後、倍率1.2倍台が本校の標準的な志願状況なので本来の姿に戻った形です。グローバル教育推進校の指定校で海外研修や海外修学旅行など国際理解教育に特徴があります。
横浜清陵
横浜清陵の志願倍率は2021年度より1.29→1.47→1.35→1.50→1.35倍と上がったり下がったりする隔年現象の動きですが、志願者数は341→389→411→400→358人と2023年度を境に増加傾向から減少傾向に変わっています。倍率が上下するのは募集学級が増減したからですが、今年度の志願者数は本校としては少ない方です。学級増になった横浜立野に移動したのかもしれません。
入学生は横浜北部から約2割、中部から3割弱、南部4割程度と横浜市の全域から生徒がきています。そのほか川崎市や横須賀・三浦、鎌倉・藤沢からもきており通学圏は広くなっています。今春の選抜高校野球に21世紀枠として出場を果たしました。県立高校としては71年ぶりとのことです。
横浜立野
横浜立野は6学級募集になったり7学級募集になったりと募集学級の変化が激しい学校です。2024年度は6学級に減り、今年度は7学級に戻りました。志願者数は30人増加しましたが倍率は学級増に吸収されてダウンしています。2024年度は1.4倍台で過去最高倍率を記録し、今年度は志願者数が過去最多を更新しました。これまで7学級募集は2年間続いていたので、来年度も7学級募集が続くかもしれません。しかし志願者は減少が見込まれるため倍率ダウンの可能性が高いと予想されます。
横浜南陵
横浜南陵も募集学級数を頻繁に変えます。2018年度から7学級募集を2年間、6学級募集を2年間というサイクルで、今年度は2年目の6学級募集でした。前年度に過去最多(381人)の志願者で過去最高倍率(1.59倍)を記録したため、今年度は66人の大幅減となり倍率ダウンしました。しかし志願倍率1.3倍台は本校としては高い方で、2年続いて厳しい入試になったといえるでしょう。以前「健康福祉コース」を設置していたことから福祉棟があり、進路も医療・看護系に進学する生徒が多いようです。
釜利谷
釜利谷は永谷の募集停止の影響を受けたのか、志願者が28人増となりましたが、定員割れからは抜け出せませんでした。2021年度までの志願者数は230人以上でしたが、2022年度以降200人を超えることはなくなりました。これで6年連続の全入です。通信制志向の高まりにより志願者が集まりにくくなっているようです。
入学生は横浜南部からで7割弱を占め地元中心の入試になります。横須賀・三浦に近い位置にありますが、同地域には横須賀南があるせいか、1割強でとどまっています。