新入試制度2年目を迎えた、2022年度千葉公立高入試の特徴は次の通りです。
- 志願確定倍率は1.11倍で前年度より0.03ポイントアップしたが、生徒数に対する志願率は横ばい
- 安全志向から挑戦志向への移行で学力上位校の多くが倍率アップ
- 普通科と普通科系専門学科に志願者が集中
- 不合格者が増える一方で第2次募集の募集数も増加し偏った入試に
志願状況と志願率
募集人員31,320人に志願変更後の志願確定者数は34,637人、志願確定倍率は前年度より0.03ポイントアップし1.11倍になりました。
前年度は新しい入試制度の初年度ということもあり1.08倍という低めの倍率でした。今年度は2年目ということで公立へ回帰したような動きですが、実は生徒数に対する公立校志願率は65.4%で前年度(65.2%)とほとんど変わっていません。志願倍率がアップしたのは生徒数の増加分ほど募集人員を増やさず、生徒数に対する募集人員の割合(収容率)が60.5%から59.4%に縮小されたからです。
志願倍率が1倍未満の学校は62校99学科で前年度(71校107学科)より減少しました。一方で1.5倍以上の高倍率校は前年度の9校11学科から16校19学科に増えており、全体的に倍率の底上げが図られました。
進学指導重点校の志願確定倍率は次の通りで多くの学校学科で倍率アップしています。このほか学校設定検査に「思考力を問う問題」を導入した県立千葉も敬遠されることなく志願者は約50人増、東葛飾も普通科では倍率トップの座を維持しました。校舎改修工事が始まっている薬園台「普」も志願者は約40人増となっています。このように多くの上位校の倍率も上がり、新入試制度初年度の慎重な志望校選択から挑戦志向に変わったような動きになりました。
【進学指導重点校の志願確定倍率】
2021年 | 2022年 | |
---|---|---|
千葉東 | 1.34 | 1.65 |
船橋「普」 | 1.76 | 1.83 |
船橋「理数」 | 1.63 | 1.68 |
柏「普」 | 1.31 | 1.42 |
柏「理数」 | 1.78 | 1.58 |
佐倉「普」 | 1.50 | 1.60 |
佐倉「理数」 | 1.48 | 1.85 |
佐原「普」 | 1.00 | 1.08 |
佐原「理数」 | 0.85 | 0.80 |
匝瑳「普」 | 1.03 | 0.87 |
匝瑳「理数」 | 0.35 | 0.25 |
成東「普」 | 1.14 | 1.15 |
成東「理数」 | 1.03 | 1.15 |
長生「普」 | 1.11 | 1.30 |
長生「理数」 | 0.78 | 1.35 |
安房 | 1.07 | 1.01 |
木更津「普」 | 1.17 | 1.01 |
木更津「理数」 | 1.33 | 1.03 |
【その他の主な上位校の倍率】
2021年 | 2022年 | |
---|---|---|
県立千葉 | 1.50 | 1.69 |
東葛飾 | 1.82 | 1.86 |
薬園台「普」 | 1.28 | 1.41 |
市立千葉「普」 | 1.49 | 1.58 |
市立千葉「理数」 | 1.50 | 1.50 |
市立稲毛「普」 | 1.41 | 1.38 |
市立稲毛「国際」 | 1.23 | 1.78 |
八千代「普」 | 1.45 | 1.49 |
船橋東 | 1.30 | 1.17 |
学科別志願状況
志願確定倍率を学科別でみると、次の表のようになります。
普通科のほか、理数系学科や体育系学科などでは倍率アップしましたが、商業系学科、工業系学科、農業系学科などの職業系専門学科は多くの学科で倍率ダウンし、普通科や普通科系専門学科に偏った志願状況になりました。
【主な学科の志願確定倍率】
学科 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|
普通科 | 1.09 | 1.12 |
商業系学科 | 1.00 | 0.96 |
工業系学科 | 0.90 | 0.87 |
農業系学科 | 0.89 | 0.75 |
家庭系学科 | 1.01 | 1.03 |
水産系学科 | 0.61 | 0.53 |
理数系学科 | 1.19 | 1.24 |
国際関係学科 | 1.30 | 1.23 |
体育系学科 | 1.06 | 1.13 |
総合学科 | 1.25 | 1.30 |
全日制計 | 1.08 | 1.11 |
受検状況と合格者
学力検査第1日目の受検者数は34,295人,欠席者は342人で前年度(199人)より大幅に増加しました。3月3日の追検査の志願者数も前年度(9人)を大幅に上回る179人に上っており,コロナ禍の影響が見られました。
合格者数は29,010人,最終的な受検者数34,438人に対する実質倍率は1.19倍,前年度(1.15倍)より0.04ポイントアップしました。
不合格者数は前年度より約1,100人多い5,428人で,第2次募集の募集人員も2,312人と前年度(1,937人)より約400人増え,不合格者も第2次募集人員も増えるという偏った入試になりました。