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過去最低倍率を更新
1月20日、東京都教育委員会から都立高推薦入試の応募状況が発表されました。
その特徴をまとめましたのでご参照ください。
なお、各校の応募状況等は以下からご覧いただけます。
令和8年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(推薦応募及び国際バカロレアコースの応募)|募集・応募状況等|東京都教育委員会
2026(R8)年度の都立高全日制推薦入試の募集人員9,376人に対して応募者数は20,487人。応募倍率は2.19倍で前年度に記録した過去最低倍率を更新しました。
生徒数に対する応募率は26.4%で、都立推薦入試を利用する生徒は4人に1人にまで減ってきています。
2026(R8)年度から国の就学支援金の拡充がアナウンスされていることから、前年度に引き続き私立志向の影響を受けた形です。

学科別の動向:私立志向が専門学科にも波及
学科別でみると、普通科は2.50倍で前年度より0.11ポイントダウン。コース制、単位制普通科も下がりました。
専門学科は商業科が1.32倍で前年度より0.12ポイントダウンし、最近の5年間でもっとも低い倍率になりました。工業科(単位制除く)は前年度と同じ1.23倍を維持したものの、農業科の1.78倍、ビジネスコミュニケーション科の1.40倍、科学技術科の1.07倍、産業科の1.19倍などはこの5年間の最低倍率で、主要な専門学科で倍率が下がりました。
前年度は私立志向の影響は普通科高校に強く及びましたが、今年度は専門学科高校にも広がったといえるでしょう。
<おもな学科の応募状況と応募倍率の推移>

普通科・専門学科の高倍率校ランキングと倍率推移
普通科(コース制、単位制普通科含む)でもっとも高い倍率になったのは前年度と同じ新宿で、以下ベスト10は次の表のようになりました。文化・スポーツ等特別推薦実施校が前年度より多くベスト10に入っており、一般推薦のみの実施校では高倍率校は少なくなりました。
<普通科 高倍率ベスト10>

次の表は応募倍率ごとの学校数を割合にし、この4年間を比較したものです。
これをみると、3倍以上の高倍率校が年々少なくなり、2倍台以下の学校が増加していることがわかります。推薦入試は高倍率で激戦になるのが当たり前の時代は去りつつあるのかもしれません。

専門学科の最高倍率は総合芸術「美術」で5.04倍、以下次の表のようになっています。その学校にしか設置されていないような学科に応募者が多く集まる傾向は変わっていません。そのため普通科と異なり、文化・スポーツ等特別推薦実施校が上位にランクされることもあまりありません。
<専門学科高倍率ベスト10>

進学指導重点校の状況:トップ層の「都立推薦離れ」
進学指導重点校の応募倍率は次のようになりました。
7校中、倍率が上がったのは西だけで、ほかは下がりました。前年度は4校で倍率が上がり、私立志向の影響を受けなかったグループとして都立トップ校の人気の高さをうかがわせました。しかし、今年度はそのような人気校でも私立志向の波を受けないではいられなかったようです。
日比谷の応募者は18人減の185人。男女合わせた応募者数が100人台で留まったのは男女別募集から男女合同募集になった2024(R6)年度入試(163人)以来です。最近の5年間で100人台は2度目で、日比谷としては少ない人数と低い倍率になりました。
戸山は2倍台に急落。応募者数も100人台(186人)で留まりました。やはり男女合同募集になった2024(R6)年度入試から応募者が減少し始めています。この応募者数と倍率は最近の5年間でもっとも少ない人数と倍率で異例の応募状況といえるでしょう。
青山も応募者が49人減って189人となり200人を割り込みました。この5年間でもっとも少ない応募者数です。前年度に26人増加して倍率が4倍台に上がったので、今年度は反動による減少といえますが、ここまで少なくなると私立志向の影響といわざるを得ません。
重点校で唯一応募増になったのが西です。しかし応募増といっても177人から181人へ4人の増で留まり、倍率も西としては低い2倍台が続くことになりました。日比谷や戸山と同様、2024(R6)年度から応募者は200人を切るようになり学力トップ層の都立推薦離れが進んでいるようです。
八王子東は33人の応募減になり応募者数は97人と100人に達しませんでした。2023(R5)年度に男女合わせた応募者数が99人になっていますが、それ以来の少ない人数です。もともと地理的に高倍率になりにくいのですが、重点校で唯一1倍台と例外的な低さになっています。
立川は前年度の応募増(165→192人)、倍率アップ(2.95→3.43倍)の反動による応募減(24人減で168人)、倍率ダウンと考えられ、前々年度の応募状況に戻った形です。それでも3.00倍は立川としてはそれほど低い倍率とはいえず、例年にない低倍率に落ち込んだ重点校が多い中で一定の人気は維持したといえるかもしれません。
国立は72人の大幅減(220→148人)で、最近の5年間で最も少ない人数になり、倍率も国立にしては珍しく2倍台に落ち込みました。日比谷や戸山、西とは異なり、2024(R6)年度以降も高い人気を維持していましたが、今年度は私立志向の影響を強く受けたようです。

各校の注目すべき動向
このほか、大きく動いた学校を挙げてみます。
雪谷は応募者169→126人と43人の減、最近の5年間でもっとも少ない応募数です。倍率も3.02→2.25倍に下がりました。前年度に倍率ダウンした田園調布に移動したと考えられます。その田園調布は94→128人と34人増、前年度は100人を切って倍率も1倍台(1.96倍)に落ち込みましたが、今年度は反動があり倍率は前々年度(2.52倍)に戻っています(2.67倍)。
目黒は102→139人で37人増。やはり前年度の応募減(156→102人)の反動がありました。しかし、倍率は2.90倍で前々年度(3.25倍)まで戻らず、目黒としては低い方の倍率で留まっています。
井草に異変が生じました。応募者数は126→66人と約半減し、倍率も1倍台(1.18倍)に落ち込んでいます。応募者数が100人に達しなかったのは近年では例がありません。周辺の競合校である豊島や石神井の応募者も減っていることから、ほかの都立高に移動したというより私立志向の影響を受けたといっていいでしょう。
武蔵丘は前年度に224→164人と60人の大幅減となり、今年度もさらに34人減って130人と2年連続で大幅減になっています。倍率も3.50→2.56→2.03倍と0.5ポイントずつ下がりました。杉並が前年度に75人の大幅減になっているので、私立志向による応募減というより杉並や鷺宮に移動していると考えられます。
その杉並の応募者数は2024(R6)年度より232→157→231人と大きく変動していますが、今年度は前々年度並みに戻りました。倍率も3.61倍と高倍率になり私立志向の影響は受けていないようにみえます。
北園は167→137人へと30人減、倍率は2.61→2.14倍に下がりました。2023(R5)年度までは男女合わせた応募者数が200人を超えることが多くありましたが、男女合同募集になった2024(R6)年度より150~160人程度で推移しています。今年度は同じく2024(R6)年度より応募者が減った文京(171→195人)に移動したと思われます。
板橋の応募者数は2024(R6)年度より280→195→261人と増えたり減ったりしています。今年度は前年度の応募減の反動で前々年度並みに戻っており、私立志向の影響はなかったようです。
上野は199→144人と55人の減、最近の5年間でもっとも少ない応募者数です。前年度に倍率が2.61→3.11倍に上がっているため、今年度はその反動といえるかもしれませんが(2.25倍にダウン)、これだけ大幅に減ったのは珍しく、私立志向の影響を受けたと考えられます。
足立東は124→96人と100人に届きませんでした。2桁は男女合同募集の2021(R3)年度(81人)以来です。2年連続の応募減になっており通信制高校などへ移動している様子がうかがえます。
小松川も異常な応募状況です。応募者は142→93人へと49人の大幅減、100人に達しなかったのは近年ではありません。倍率も1.45倍と前年度(2.22倍)から大幅ダウン、ライバル校の城東も減少(254→237人)しているので私立志向の影響を強く受けたと考えられます。
一方、江戸川は2024(R6)年度より233→184→231人と推移、前年度に100人台まで落ち込みましたが、今年度は元の応募状況に戻っています。その代わり深川「普」で141→106人と35人減少しているので深川からの移動によるものと考えられます。
推薦入試で毎年高倍率になる小岩は2024(R6)年度より326→276→230人と減少傾向。最近の5年間でもっとも少ない応募者数になりました。前年度に応募減になった本所や紅葉川に移動したのかもしれません。
松が谷「普」は2024(R6)年度より応募者数は160→164→135人、倍率は2.86→3.42→2.81倍と推移しています。倍率が上下しているのは2025(R7)年度に学級減になったためです。今年度は前年度の倍率アップの反動で応募減になり前々年度並みに戻りました。この松が谷「普」からの移動があったのが日野で2024(R6)年度より277→216→251人、倍率は4.33→3.38→3.92倍と松が谷「普」と逆の動きになっています。
山崎は69→31人と半減し、倍率も1.73→0.78倍へ定員割れになりました。ここまで少ない応募者になったのは近年ではありません。
東大和南は2024(R6)年度より185→139→265人、倍率は3.30→2.48→4.73倍と推移、前年度に大幅減、倍率ダウンした反動で今年度は126人の大幅増となり、倍率も4倍台後半まで上がりました。この応募者数は近年でもっとも多く、応募減が目立つ今年度の応募状況の中では異質な動きになりました。5種目で文化・スポーツ等特別推薦を実施していますが、応募者は前年度の64→71人の7人増でとどまっており、一般推薦の応募者が大幅に増えたことがわかります。
東大和は193→158人で35人の減、この5年間でもっとも少なく、倍率も2倍台に落ち込みました(3.45→2.82倍)。
拝島も121→93人と28人減って100人を割り込みました。倍率も1倍台まで下がっています(2.16→1.66倍)。近隣の羽村も70→34人と半減しており、通信制への移動がうかがえます。
一方、秋留台は2024(R6)年度より193→126→155人、倍率は2.68→1.75→2.15倍と推移、前年度の大幅な応募減と倍率ダウンの反動がありました。
武蔵野北も2024(R6)年度より98→81→109人、倍率は2.04→1.69→2.27倍と推移、前年度の反動がありました。しかし、この3年間は2倍前後で武蔵野北としては低めの倍率になっており私立志向の影響を受けていると思われます。
田無は2024(R6)年度より200→170→134人、倍率は3.13→2.66→2.09倍と応募者は減少傾向、倍率は下降傾向です。今年度は最近の5年間でもっとも少ない応募数と倍率になりました。
久留米西は109→78人と31人減、100人に達することができませんでした。近隣の小平西(162→144人)、東村山西(96→62人)、東村山(233→173人)も応募減になっていることから、これらの受験者層が私立高校や通信制高校に移動してると考えられます。
狛江は199→165人と34人の減、人気校で2024(R6)年度まで応募者数は男女合わせて200人台を維持していましたが、前年度に200人を切り、今年度はさらに減りました。倍率も2.58倍で狛江としては近年にない低い倍率です。
調布南も103→71人と32人の減、100人を切ったのは2021(R3)年度の95人以来のことです。倍率も1.48倍と1倍台に落ち込みました。
府中は応募増です。2024(R6)年度より163→137→163人、倍率は2.91→2.14→2.55倍と推移。応募者は前年度減の反動で元に戻っています。倍率が2024(R6)年度並みに上がらなかったのは前年度に募集増になっているからです。
単位制普通科高校の状況:大幅な応募減がみられる学校も
次に単位制普通科高校の状況を見ていきましょう。
墨田川は2024(R6)年度より199→116→154人、倍率は3.11→1.81→2.41倍と推移。前年度の大幅減により応募者は増えましたが、最近の5年間では2番目に少ない人数なので元の応募状況まで回復したとはいえません。
美原は113→57人へと半減、倍率も1倍台(2.83→1.43倍)に下がり、異例な動きになりました。ここまで少ない応募者数で留まったのは近年ありません。
単位制に移行し大きな改編となる深沢は70→27人と大幅減、倍率は1.75→0.84倍と定員割れになりました。新しい学校に変わることの不安感から、第一志望校にすることにためらいがあったのかもしれません。
芦花も162→105人へと大幅に減りました。倍率も2.89→1.88倍に急落しています。単位制の中でも人気の高い学校だけにこの応募状況は異常事態といっていいでしょう。
大泉桜は2024(R6)年度より149→180→128人、倍率は3.73→4.50→3.20倍と推移。今年度は前年度の高倍率の反動で応募減になり、本来の応募状況に戻ったようです。
翔陽は前年度の定員割れ(0.90倍)の反動で応募者は43→96人へと倍増。倍率は2.00倍と翔陽としてはやや高めの倍率になりました。富士森からの移動も影響したのかもしれません。
上水も140→179人へと39人増、倍率も2.92→3.73倍と大幅にアップしました。清瀬や小平からの移動があったようです。
文化・スポーツ等特別推薦の動向
<文化・スポーツ等特別推薦 高倍率ベスト10>

例年のベスト10と異なり、晴海総合の文化系種目が1位と2位になりました。それまでトップに君臨していた東久留米総合「サッカー」は募集人員を5人から10人へと倍増、一方で応募者は43人から38人に減り、倍率は3.80倍とベスト10から外れました。