
2月5日に神奈川県私立高等学校の入学者選抜試験志願状況が発表されました。概要は以下の通りです。
記載している倍率につきまして、入試日やコースが分かれている場合は募集人員と応募者数を合算して算出しています。
※志願者数と倍率については2月3日時点のものです。また、2025年度と2024年度の集計はそれぞれ県教委のホームページで発表された時点のものです(2025・2024年1月30日)。
令和8年度私立高等学校の志願状況(公募一般)についての詳細については下記ページをご確認ください。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3e/prs/r5106682.html
1.全体の状況(全日制の課程)

2026(R8)年度の募集校は前年度と変わらず57校です。募集人員は前年度に比べ67人減、志願者数は166人減でした。倍率は4.79倍で前年度とほぼ同じです。
2.高倍率の高校ベスト10

今年度最も高倍率になったのは、例年高倍率になる柏木学園(スタンダード)で、今年度も志願者が増加して倍率がアップしました。一方で、合格のハードルを上げた山手学院は倍率が大きくダウンしています。ほとんど前年度と同じ顔ぶれですが、法政大学第二や横浜創学館がランクインしました。
3.難関校の動向

併願を実施しない難関校では、志願者数が全体で3,681人、前年度(3,116人)で565人増加しました。慶應義塾は一般入試の二次試験を廃止したことで志願者の伸びが際立っていますが、法政第二や法政国際も志願者を伸ばしており、難関校全体で志願者数が増加する結果となりました。
慶應義塾の志願者数は1,571人で前年度から325人、増加率は26%で大幅に増えています。志願者数が1,500人を超えるのは2018(H30)年度以来のことで、倍率も4.76倍と、前年度より約1.00ポイント上昇しています。この要因として、先にも述べたように一般入試の二次試験を廃止した影響が挙げられます。二次試験として2月13日に実施されていた面接がなくなったことで、同じ入試日の東京学芸大学附属との併願が可能になったことや、学力検査に自信がある受験生が挑戦しやすくなったことが挙げられます。
法政第二の志願者数は1,334人で、前年度から164人の増加となりました。志願者が1,300人を超えたのは、慶應義塾と同様に2018(H30)年度以来のことです。入試区分ごとの内訳を見ると、書類選考の志願者は前年度とほぼ変わりませんでしたが、学科試験(筆記)の志願者が増加しており、特に男子が132人の大幅増となっています。この要因として、一般入試日が1日になった慶應義塾との併願者増や山手学院の合格基準が上がったことによる本校への移動を挙げることができます。
法政国際の志願者数は776人で、前年度から76人の増加となりました。内訳を見ると、書類選考も微増しましたが、特に一般入試の志願者が64人増加したことで全体の数字を押し上げています。一般入試の志願者は500人を突破しており、倍率も10倍を超える高い水準に達しています。 今年は難関3校すべてで志願者が増加しました。前年度も志願者数は伸びていましたが、今回はそれをさらに上回る増加を記録しています。また、この3校に限らず神奈川県内の私立高校全体でオープン入試や一般入試の志願者が増えており、受験生の間でより高いレベルを目指す挑戦志向の動きが見られています。
4.大学附属校の動向

上記の大学附属校では、志願者が全体で6,363人、前年度(6,296人)より67人増加しました。中央大学附属横浜をはじめ、日本大学、日本大学藤沢、麻布大学附属などで増加しており、大学附属校の人気が戻ってきたような動きもみられます。
中央大学附属横浜の志願者は、A方式とB方式を合わせて812人となり、前年度から58人増加しています。内訳を見ると、書類選考によるA方式の志願者が微減した一方で、オープン入試であるB方式の志願者が大幅に増加(+69人)していることが分かります。今回の難関校への挑戦志向の高まりが、同校の志願者数にも表れています。
日本大学藤沢の志願者は1,216人に達し、前年度から241人の大幅増となりました。同校は前年度に一般入試に専願入試とオープン入試を導入したことで志願者数を大きく伸ばし、今年度もその勢いを維持しています。オープン入試に加えて「フリー入試」も実施しており、挑戦志向の受験生が集まったと考えられます。また、日本大学の志願者数も増加しており、大学附属校全体への志向の強さが、同校の志願者数の増加に反映される結果となりました。
鶴見大附属の志願者数は348人で、前年度から146人の大幅な減少となりました。募集要項に大きな変更は見られませんでしたが、書類選考の志願者が大きく減少しています。この要因として、志願者が増加した麻布大学附属へ受験生が流れたことや、都内の私立校へアクセスしやすい立地ゆえに県外校へ志望が分散したことなどが考えられます。湘南工科大学附属の志願者数は1,232人で、前年度から396人の大幅減になりました。この減少の要因は、最も多くの志願者が集まる「アドバンスコース」において、合格のハードルを上げたことが指摘できます。その結果、近隣の鵠沼や、共学化したことで注目を集める鎌倉国際文理へと受験生が流れたと考えられます。
鶴見大学附属 麻布大学附属 湘南工科大学附属 東海大学付属相模
5.注目校の志願状況

最後に、志願者数の増減が大きかった学校を見てみましょう。
桐蔭学園は前年度より424人増加し、学校全体での志願者数は4,352人に達しました。特にオープン入試にあたるA方式の志願者増が顕著で、最上位の「プログレスコース」は前年度比45%増となる578人と600人に迫りました。このプログレスコースの大幅な志願者増から、同校が挑戦志向の強い受験生から注目を集めていることがうかがえます。
鵠沼は志願者数が1,026人に達し、前年度から248人と大幅に増加しています。その要因は、単願・併願入試の加点制度を拡大したことにあるようです。また、先述の湘南工科大学附属が「アドバンスコース」の合格ハードルを引き上げたことで、そこから鵠沼の「文理コース」へ受験生が流入しているとも考えられます。
鎌倉国際文理の志願者は392人でした。2026(R8)年度より「鎌倉女子大学」から校名を変更し、共学化とともにコース改編を実施。鎌倉女子大学時代よりも合格のハードルを引き上げましたが、前年度の2倍以上となる受験生が集まる結果となりました。学校改革によって新たな魅力が加わり、多くの注目を浴びていることが分かります。
橘学苑の志願者数は1,072人で、前年度から201人増加しました。全コースで志願者が増加しており、書類選考を導入した結果によるものと考えられます。また、併願の加点制度を縮小した武相から受験生が流れてきていることも要因として挙げられます。
柏木学園の志願者数は1,819人に達し、前年度から134人増加しました。コース別に見ると、「アドバンスコース」において合格の基準を引き上げたことで、同コースの書類選考の志願者は約100人の減少となっています。一方「スタンダードコース」は基準の選択肢を減らしたにもかかわらず、併願入試で約260人の大幅増となっています。これは、横浜市内の武相や白鵬女子が「総合コース」の合格のハードルを上げた影響で、受験生が流入したためと考えられます。
武相の志願者数は656人で、前年度から190人減少となりました。合格基準を厳しくしたのは「総合コース」のみでしたが、志願者が落ち込む形となりました。この要因としては、都内の県境に位置する私立校で志願者が増加していることから、県外への流出があったと考えられます。
相洋の志願者数は1,465人で、前年度より217人の減少となりました。内訳を見ると、学校全体で志願者が減少していますが、特に「特進コース」と「文科コース」の減少が著しい状況です。今年度は、これら2コースと「理科コース」で合格基準を厳しくしたことが志願者減に繋がったと考えられます。近隣の学校の推薦入試に移動したか、受験生が県外の学校へ流出した可能性があります。
横浜の志願者数は2,191人で、前年度から222人の減少となりました。今年度は書類選考において、併願よりも加点の上限が高く設定されていた「専願入試」を廃止しての募集となっており、志願者減の大きな要因になったと考えられます。一方で、オープン入試の志願者は前年度より20人増加しており、学力で挑む受験生は前年度に引き続き増加傾向にあります。
山手学院の志願者数は1,260人で、前年度から269人の減少となりました。志願者減の内訳を見ると、2/10のA日程では併願とオープン入試を合わせて303人の減少となった一方で、2/12のB日程では34人の増加となっています。併願基準が引き上げられ、合格のハードルが上がったことも志願者減の要因のひとつと考えられますが、A日程のみ志願者が減少している点から、同日に入試が行われた慶應義塾に挑戦した受験生が多くいた可能性もあると推測されます。
横浜清風の志願者数は1,128人で、前年度から756人の大幅な減少となりました。「総合進学コース」において合格の基準を上げたことが志願減に大きく影響したと考えられます。また、加点制度の縮小を行ったため「特進コース」でも約160人の志願者減となりました。しかし、総合進学コースではオープン入試の志願者が増加しており、合格のハードルが上がっても同校を強く志望する受験生が挑戦している様子がうかがえます。