2026(R8)年度の埼玉県公立高校入試を分析します。学科別倍率、普通科の高倍率校、不合格者数の推移をグラフで解説します。
全体概況
- 志願確定倍率は1.04倍で,今の入試制度になった2012(H24)年度以降で最も低い倍率になりました。
- 生徒数に対する志願率は58.6%で前年度(62.4%)より3.8ポイント下がり,初めて6割を切りました。
- 普通科の倍率は0.08ポイント下がって過去最も低い1.08倍に落ち込んだほか,工業科(0.84倍),外国語科(1.13倍),理数科(1.43倍),総合学科(0.89倍)など主要な学科で過去最低倍率を記録しました。
- 不合格者数は前年度(5,225人)より1,752人減り3,473人と初めて3,000人台まで減少しました。
志願状況
志願状況と志願率
全日制の募集人員34,603人に志願変更後の志願確定者数は前年度より約2,600人減って35,976人,倍率は1.04倍(前年度1.10倍)で今の入試制度になった2012(H24)年度以降で最も低い倍率になりました。
生徒数(61,413人・・定員発表時)に対する志願者数の割合(志願率)は前年度より3.8ポイントダウンし58.6%と初めて6割を切りました。
このように公立離れが一気に進んだのは,私立高校に対する就学支援金の年収制限の撤廃と支援額拡大の影響を受けたからです。これにより私立高に向かう受験生が増加し,公立高の志願者が減ったのです。
次のグラフにあるように,もともと志願率は下降傾向で,少しずつ公立離れが進行していました。しかし,2024年度までは公立高校の収容率(生徒数に対する募集人員の割合)がそれに合わせるように縮小していたため倍率は下がりませんでした。
2025年度と2026年度の収容率はほぼ横ばいであったのにもかかわらず,志願率は下降を続けていたことから倍率が下がり始め,今年度は志願率が急落し公立離れが加速しました。

学科別志願状況
この結果,普通科の倍率は1.08倍で前年度より0.08ポイントの大幅ダウン,理数科も1.72倍から1.43倍へと0.29ポイント下がり,ともに過去最も低い倍率になりました。このほか,多くの学科で倍率が下がり,農業科や工業科,外国語,総合学科なども過去最低倍率を記録しています。
このように,私立志向の影響が公立校全体に及びました。
学科別志願確定倍率の推移
| 学科 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 普通科 | 1.19 | 1.15 | 1.13 | 1.14 | 1.16 | 1.16 | 1.16 | 1.08 |
| 農業科 | 1.06 | 0.99 | 0.94 | 0.93 | 0.91 | 0.95 | 0.81 | 0.80 |
| 工業科 | 1.02 | 1.02 | 0.92 | 0.93 | 0.87 | 0.89 | 0.89 | 0.84 |
| 商業科 | 0.97 | 1.01 | 0.92 | 0.96 | 0.91 | 1.05 | 0.94 | 0.91 |
| 外国語科 | 1.52 | 1.27 | 1.21 | 1.25 | 1.20 | 1.34 | 1.20 | 1.13 |
| 理数科 | 1.82 | 1.60 | 1.86 | 1.83 | 1.83 | 1.71 | 1.72 | 1.43 |
| 総合学科 | 1.03 | 1.05 | 0.95 | 0.93 | 0.95 | 1.00 | 0.91 | 0.89 |
| 全日制計 | 1.16 | 1.12 | 1.09 | 1.10 | 1.11 | 1.12 | 1.10 | 1.04 |
倍率ごとの集計
普通科高校を倍率ごとに集計したのが次のグラフです。前年度までは1.3倍以上の高倍率校が増加傾向,1.0倍台の平均倍率を下回る学校が減少傾向にありました。しかし今年度は一転して高倍率校が減少し,1.0倍未満の定員割れが急増,1.0倍台の学校も増加に転じました。

この結果,1.0倍台以下の学校が全体の3分の2を占めるに至っています。
普通科の高倍率校
普通科で1.3倍以上の高倍率になった学校は以下の12校13学科・コースです。このうち和光と統合し新校として開校した和光国際「普」を除く11校12学科・コースは前年度も1.3倍以上でした。従って,これらの学校は私立志向の中でも高倍率を維持する真の人気校ということができます。
| No. | 学校名 | 倍率 |
|---|---|---|
| 1 | 市立浦和 | 1.92 |
| 2 | 川口市立「スポーツ」 | 1.66 |
| 3 | 大宮「普」 | 1.59 |
| 3 | 川口市立「普」 | 1.59 |
| 5 | 浦和西 | 1.45 |
| 6 | 市立浦和南 | 1.39 |
| 7 | 所沢 | 1.38 |
| 8 | 川越 | 1.36 |
| 9 | 不動岡 | 1.35 |
| 10 | 越谷南「普」 | 1.34 |
| 11 | 上尾「普」 | 1.33 |
| 12 | 春日部 | 1.32 |
| 13 | 和光国際「普」 | 1.30 |
受検状況と合格者
2月26日の受検者数は35,689人,事前取消と当日欠席者は287人で前年度(208人)より増えたものの,最近の5年間(2022年度より380→304→403→208→287人)では少ない方です。私立志向の中でも,この志願確定から受検時までの間での私立高等への流出はさほどみられませんでした。
合格者数は32,399人,実質倍率は1.11倍で前年度(1.16倍)より0.05ポイントダウン,不合格者数は1,752人減って過去最も少ない3,473人でした。3,000人台も初めてです。

このように,今年度の公立高入試は私立高に対する就学支援金の影響を強く受けた入試になりました。
まとめ:2026年度 埼玉県公立高校入試 倍率・志願率のポイント
2026(R8)年度の埼玉県公立高校入試は,志願確定倍率が1.04倍と,現行入試制度になった2012(H24)年度以降で最も低い水準になりました。生徒数に対する志願率は58.6%で前年度の62.4%から3.8ポイント下がり,初めて6割を切っています。この公立離れは,私立高校に対する就学支援金の年収制限撤廃と支援額拡大を受けて私立志向が強まった影響によるものです。
学科別では,普通科が1.08倍,理数科が1.43倍,外国語科が1.13倍,工業科が0.84倍,総合学科が0.89倍などと,主要な学科で過去最低倍率を記録しました。普通科では1.0倍台以下の学校が全体の3分の2を占め,1.0倍未満の定員割れ校が急増しています。一方で,市立浦和(1.92倍)をはじめとする12校13学科・コースは1.3倍以上を維持し,私立志向の中でも人気を保っています。
受検の結果,合格者数は32,399人,実質倍率は1.11倍(前年度1.16倍)で,不合格者数は前年度より1,752人少ない3,473人と初めて3,000人台まで減少しました。2026年度の埼玉県公立高校入試は,私立高校への就学支援金の影響を強く受けた入試であったといえます。