
今回と次回で埼玉公立高校の入試状況についていくつかの学校をとりあげてみていきます。
今回は,学力上位校の状況です。
以下の14校合わせた志願者数は6,111人で前年度より200人,3%の減でした。半数の7校で志願者が減少しています。従って,これら学力上位校も私立志向の影響を受けたようにみえます。しかし,次回に紹介する中堅上位校16校の志願者数は450人7%の減,さらにその次の中堅校になると約10%の志願者減なので,中堅層になるほど私立志向の影響を強く受けている形になっており,上位校は多少減りはしたものの一定の人気を保ったといえるでしょう。
目次
学力上位校14校の実質倍率・不合格者数の推移(2022〜2026年度)
県立浦和
県立浦和はグラフを見てもわかるように実質倍率が上がったり下がったりしており,不合格者数も増えたり減ったりしています。隔年現象といわれる動きで志願者数も増減を繰り返しています(2022年度より466→555→495→526→434人)。しかし,今年度の特徴は志願者数が例年より減りすぎたところにあります。前年度より92人18%の減で,前々年度よりも61人少ない人数です。その結果,実質倍率は1.1倍台まで下がり,不合格者数も大幅に減少しました。これだけ低倍率になったのは最近の10年間ではなく,県立浦和としては異例の入試状況であったといえるでしょう。
浦和第一女子
浦和第一女子は2022年度から3年間は安定した入試が続いていました。しかし,今年度は志願者が32人7%の減になり,不合格者数は70人と8年ぶりに100人を割り込みました。実質倍率の1.20倍は最近の10年間の最低倍率です。
大宮「普」
大宮「普」は2年連続志願者増で実質倍率は1.5倍台を維持し,受検生の3分の1が不合格になる激戦が続きました。今年度の志願確定者数507人は最近の10年間でもっとも多く,県立浦和や浦和第一女子とは好対照の動きになりました。2027年度より制服が変更されることもあり,高い人気は来年度も続くかもしれません。
市立浦和
市立浦和も2年連続で志願者増となり実質倍率もややアップ,受検生の半数近い不合格者がでる激戦が続いています。とはいえグラフを見てもわかるように,今年度に限って特に厳しい入試であったわけではありません。この5年間でみても今年度の実質倍率は3番目に高いので,市立浦和としては平均的な入試であったといえます。
浦和西
浦和西は2023年度以降,入試状況が安定しており変動がまったくありません。毎年受検生の3割が不合格になる厳しい入試が続いているという状態です。志願確定者数は520→512→518→519人と数人の変動で留まっており,人気は不動といっていいでしょう。
蕨「普」
蕨「普」は隔年現象があり2025年度まで実質倍率は上がったり下がったりしていました。今年度は倍率アップの年に当たっていましたが,志願者数は逆に48人11%の減になってしまいました。志願確定者数の376人はこの10年間の最少人数で400人を割り込んだのも初めてです。例年1.3倍以上の高倍率を維持していたことから,今年度の入試状況は異例といえます。大宮開成や川越東,浦和麗明など併願校としてよく利用される私立高で単願志願者が増加していることから,私立志向の影響を強く受けた結果と考えられます。
県立川越
県立川越はグラフをみると,実質倍率は下がったものの2023年度に近い1.34倍でとどまり一定の人気を保ったように見えます。しかし志願確定者数(486人)が500人を切ったのは5年ぶりのことで,不合格者数もその時と同じ120人台まで減りました。例年受検生の30%程度が不合格になっている一方,今年度は25%に減ったことからも近年にない緩やかな入試になったといえるでしょう。これも私立志向の影響を受けた結果と考えられます。
川越女子
川越女子は前年度に近年にない緩やかな入試になったことから,今年度は14人3%の志願者増になったものの,前々年度までの水準には戻っていません。不合格者も100人を切ったままで,川越女子としては緩やかな入試が続いたことになります。近隣の山村学園「特別選抜」の単願応募者が大幅に増加しているほか,星野に共学の新コースが開設されており,それら私立高の影響で志願者が伸び悩んだのかもしれません。
所沢北「普」
所沢北が2024年度に大幅な志願者減になった(417→354人,63人15%減)のは所沢に移動したほか,西武学園文理でコース改編がありその影響も受けたためと考えられます。翌2025年度は47人の志願者増となり,実質倍率は1.2倍台まで上がったものの,2023年度以前の入試状況まで戻ることができませんでした。今年度もほぼ前年度並みの志願者数(401→406人)で実質倍率も低いままでした。やはり私立志向の高まりによって公立に向かう受検者層が薄くなっているのかもしれません。
和光国際「普」
和光と統合した新生和光国際は,統合前の前年度に敬遠され,志願者が63人18%の大幅減(348→285人)になり,実質倍率は1.1倍台まで落ち込みました。今年度はその反動で24人8%増(285→309人)でしたが,2024年度以前のような実質倍率1.4倍台,不合格者100人超の水準までに戻ることはありませんでした。東京都と接する位置にあることから都内の私立高に流出している可能性があります。
越谷北「普」
越谷北「普」の志願者が今年度減少(405→381人,-24人6%減)したのは,私立志向の影響というより前年度の倍率アップの反動によるものと考えられます。また入学生が多い草加市,越谷市,川口市の生徒数が減少しているので,その影響も受けたのかもしれません。グラフをみると2023年度より倍率が下がり低迷しているようにみえますが,2019年度,2020年度も1.1倍台で,越谷北「普」としては極端に低い倍率ではありません。この学力レベルの学校としては低めですが,普通科の平均実質倍率1.12倍を上回っていることからも一定の人気は維持しているといえるでしょう。
不動岡
不動岡は安定した入試が続いています。志願者数は2024年度より477→482→482人とほとんど動いていません。実質倍率も0.01~0.02ポイント変動する程度で人気が衰える気配はないようです。県の隣接県協定によって群馬県から20人程度の入学者がいます。
越ケ谷
越ケ谷の2022年度からの志願者数は490→456→442→428→405人と減り続けています。2023年度に実質倍率が上がったのは募集学級が9学級から8学級に戻ったからです。以降,志願者減に合わせて実質倍率も下がり,不合格者も減っています。今年度はついに100人を割って80人と最近の10年かでもっとも少なくなりました。周辺に叡明や春日部共栄,獨協埼玉などの人気校があり,私立志向の高まりによりこれらの私立高に流れているのかもしれません。
春日部
春日部の志願者数は2年連続で減少しています。これは2024年度の実質倍率1.47倍はもちろん,2025年度の1.37倍も春日部としては高めの倍率であることから,志願者減が続いたものと考えられます。それでも今年度の実質倍率1.31倍と不合格者数112人は平均的な入試といえるので,志願者が減ったといっても高い人気は維持したといえるでしょう。さいたま市からの入学生が4割強と多く,県立浦和や大宮の難度を敬遠した生徒の流出先として定着しているようです。
まとめ|2026(R8)年度 埼玉県公立高入試 学力上位校の動向
2026(R8)年度の埼玉県公立高入試では,学力上位校14校の志願者数が前年度より約3%減少しましたが,中堅上位校(約7%減)やその下の中堅校(約10%減)ほどの落ち込みではなく,上位校は一定の人気を保ったといえます。
大宮「普」・市立浦和・浦和西・不動岡などは高い人気を維持した一方,県立浦和・浦和第一女子・蕨「普」・県立川越・越ヶ谷などでは,近年にない緩やかな入試がみられました。志望校選びでは,単年度の倍率だけでなく,隔年現象や募集学級数の増減も踏まえ,数年単位の推移でみることが大切です。