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2022(令和4)年度 埼玉県私立高校入試の特徴

入試情報

2022.07.07

2022.07.07

2022(令和4)年度 埼玉県公立高校入試の特徴

埼玉県の私立高校入試は多くの学校で1月22日、23日、24日の3日間に入試日が集中しています。これ以外の日程で入試を行うところもありますが、補充募集や他県からの受験生用として設定されており利用者は少ないのが現状です。

しかし次の3校は2月入試がメインでいずれも県内の最難関校です。

そして、2022(令和4)年度入試の最初の特徴はこの難関校の志願者が増加したことにあります。

難関校に志願者戻る

他のコラムでもご紹介しているように、2022年度の高校入試は前年度のコロナ禍による慎重な志望校選択が影を潜め、首都圏の難関校に志願者が戻るという特徴があり、それは本県も例外ではありません。慶應義塾志木は微増でとどまりましたが、立教新座は約230人18%の増、早稲田大学本庄は446人20%の増になりました。

慶應義塾志木は実質競争率の高い学校で、2019年度より3.62→3.50→3.11→2.99倍と3倍台が続いていましたが下降傾向になっており、2022年度は合格者を増やした(329→352人)ため実質倍率(受験者数÷2次合格者数)は2倍台に下がってしまいました。合格者を増やしたことは他校併願者の受験が増えたことを示しているようです。

立教新座の実質倍率は2019年度より2.16→2.32→2.02→2.30倍と小幅で上がったり下がったりしています。2022年度は2020年度並みに戻りました。すでに2023年度の募集要項が発表されていますが、2022年度と同じで変更点はないようです。

早稲田大学本庄の志願者は増えたり減ったりしており、2021年度の志願減もこの流れの延長線上で、コロナ禍による慎重な志望校選択の結果というようにはみえません。しかし志願者数2,100人台は近年では最も少ないため全く影響しなかったとはいえないでしょう。そして2022年度はこの4年間で最も多い志願者数を集め、挑戦志向の復活を印象付けました。一方で二次試験後の合格者数は2019年度より519→694→785→740人と増えており、ここも近年の私立志向によって私立高同士の併願者が増加していることを示しています。

2022年度の入試日2019年2020年2021年2022年
慶應義塾志木一次2月7日1,3121,2671,1061,155
立教新座2月1日1,3861,5041,2961,524
早稲田大学本庄2月9日2,3512,5772,1822,628

学力上位層は私立併願者が増加

しかしこれら難関校では推薦、単願志願者はほぼ軒並み減少しています。以下の表は上記の3校に単願、併願入試を行っている栄東と開智を加えた5校の志願状況です。いずれも単願志願者が減少した一方で併願志願者は増加しました。これは、受験校をその1校(単願)に絞らずに公立と併願するケースや私立高を複数受験して合格した中から進学校を選ぶという受験パターンが増えたためとみられます。

栄東は1月29日から25日に移動した特待入試の試験科目を「5科」から「3科または5科」に変更したため志願者が2.5倍(259→647人)に増えました。また、1月22日の併願志願者も約1割の増でした。

開智は1月24日の併願③の志願者が393→717人へと大幅に増加しました。私立併願者の増加の現われといえます。なお、2023年度よりSコースをS1コースに、DコースをS2コースに名称変更するとのことです。

【単願入試志願者数】

2019年2020年2021年2022年
慶應義塾志木132146154113
立教新座36264240
早稲田大学本庄356286287257
栄東21333827
開智271268240

【併願入試志願者数】

2019年2020年2021年2022年
慶應義塾志木1,3121,2671,1061,155
立教新座1,3861,5041,2961,524
早稲田大学本庄2,3512,5772,1822,628
栄東2,3262,4972,3452,742
開智1,5781,5882,021

※開智の2019年度は単併の内訳が不明です。

もう一つの特徴が中堅から上位校でコース改編等による志願者減になったグループと単願志願者が増加したグループに2分されるところにあります。

私立高の学費軽減制度が充実してきていることで私立単願に向かう傾向があり、その傾向を示す学校がある一方で、コース改編等の募集要項の変更で志願者が減少するものの学校の学力レベルが上がっている学校があります。

コース改編等による志願者減少

次のグループは単願も併願も志願者減になった学校です。

これらの私立高と競合する公立高校の倍率が上がったことが単願志願者数に影響した可能性もありますが、この中にはコース改編している学校も多くみられ、それが志願者減の原因になっています。

川越東の志願者数は増えたり減ったりしています。単願でも毎年不合格者がでていますが、2021年度は特に多かったことも志願者が敬遠する要因になっているのかもしれません。併願は1月25日の志願者が減少しました。先にでてきた栄東の特待入試に移動したと考えられます。

淑徳与野はコース改編しました。単願のみのコースが募集減となり上位コースを増やしたことで単願志願者が減少しています。併願志願者は減少傾向ですが2022年度は微減で留まりました。浦和第一女子や川越女子の志願者が増加しており、そのためそれら公立のメインの併願校である本校の志願者もさほど減らなかったと思われます。

城北埼玉の志願者数は単願入試を復活させた2019年度入試並みに戻りました。2020年度よりフロンティアコースを新設、本科コースでは5科入試を導入するなどで人気が高まりましたが、2022年度はやや落ち着いた入試状況になりました。

星野(共学部)の志願者減は出願条件を厳しくしたからです。2021年度の入学生が募集数を超過したため上げざるを得なかったようです。その結果、単願志願者は半減、併願も2019年度並みに戻りました。2023年度は志願者増が見込まれます。

細田学園は近年レベルアップしている学校の一つです。2022年度は併設中学校からの進学者のため高校の募集数を減らし、併せて最も利用しやすかった進学βコースを募集停止し学力レベルの底上げを図りました。単願、併願志願者減はこの募集停止のためです。また募集の中心が進学αから選抜Lコースに移っており,志願者の学力も上がってきているようです。

狭山ヶ丘は単願が53人22%,併願が122人14%の減となりました。和光国際や所沢、所沢西などの公立に向かったこと、私立では西武学園文理に移動したこと、さらにコロナ禍によって都内からの流入が抑えられたのではないかと思われます。

星野(女子部)はもっともハイレベルのⅢ類特進選抜の志願者減が目立ちました。単願は41人から16人で25人61%減、併願は246人から160人へ、86人35%の減でした。出願基準を若干上げたことや、競合する大宮開成の「先進」や「Ⅰ類」の志願者が増加しているのでその影響も受けたのかもしれません。

東京農業大学第三はⅡコースの単願出願基準をアップしたことでⅠコースも含めて志願者減になりました。Ⅱコースの基準アップは2年連続です。

叡明は2015年度に校名変更、共学化、移転して以降伸びている学校です。毎年のように募集要項を変更しており学力レベルも上がってきています。2022年度はそれまでもっとも利用しやすかった進学Ⅲコースの募集を停止するとともに特進選抜コースをⅠとⅡに分けました。志願者減になったのはその進学Ⅲコースが募集停止になったためです。2023年度においても募集要項の変更点には注意が必要です。

【単願入試志願者数】

2019年2020年2021年2022年
川越東296233310242
淑徳与野164168175148
城北埼玉130151153136
星野(共学部)206269299149
細田学園252237380245
狭山ヶ丘208241239186
星野(女子部)135217205159
東京農大第三349343270
叡明301292415370

【併願入試志願者数】

2019年2020年2021年2022年
川越東1,5061,2361,3171,268
淑徳与野735635616601
城北埼玉266352409286
星野(共学部)533585745547
細田学園1,1491,0031,101644
狭山ヶ丘1,086970855733
星野(女子部)440615628490
東京農大第三859773686
叡明2,8832,2422,2971,964

※東京農大第三の2019年度は単願併願の内訳が不明です。

中堅から上位校では単願増が目立つ

次のグループは単願志願者が増加した学校です。

開智未来は前年度の2021年度に単併ともに大幅な志願者減、募集数減のほかコロナ禍による影響もあったかもしれません。2022年度は単願者が増加、しかし併願は①(1/22)の志願者は増加したものの、併願②(1/23),併願③(1/25)は減少しトータルでは前年度並みでした。この場合は他校の状況とは異なり私立併願者が減少したような動きになっています。

春日部共栄は開智からの移動があったのか単願志願者が増加、併願は②1/24が約120人、18%減っているのでここでも私立併願が減ったような動きです。

大宮開成も急成長している学校です。やはりコース改編などを繰り返し学力レベルが上がってきています。前年度の2021年度に単願併願ともに志願者減になったのはSコースを募集停止したからです。2022年度は先進と特進選抜Ⅰ類のハイレベルのコースで志願者増となり、進学実績に対する高い期待感を示しました。今春も東大、一橋大、東工大などの難関国立大学に複数合格者をだしており実績は伸びています。

獨協埼玉は男子の志願者が増加、特に併願①(1/22)は5割近く増えました。城北埼玉や春日部共栄からの移動があったのかもしれません。単願も男女合わせて2割程度増え最近の4年間でもっとも多くなりました。

城西大川越は単願志願者が増加傾向、併願は逆に減少傾向です。現役大学進学率が年々上がっており、進学に対する期待も大きいようです。

栄北は単願志願者が倍増しました。Ⅰ類を除く3類型で増えています。特にもっともハイレベルの特類選抜は28人から85人へと3倍に膨れ上がり、特類も41人から82人へと2倍になりました。国公立を始め、難関私立大学への合格実績が伸びており、今春は歴代最高を記録したとのことです。2022年度の入学生は募集人員を大幅に超過したようなので2023年度は募集要項に注意が必要です。

武南の単願は55人、26%の増となりこの4年間でもっとも多い志願者数になりました。特に選抜コースは38人から72人へと大幅に増加、進学実績も選抜コースが目指しているGMARCHの実績が伸びています。

2022年に創立100周年を迎えた山村学園は2コース4クラス制から3コース制に改編、特別進学ELコースに海外大学や国際系難関私立大学を目指す「インターナショナルプログラム」を設置しました。この特別進学ELコースと総合進学GLコースは従来の特進文理、総合進学コースの出願基準より緩和されたこともあり単願、併願ともに志願者増になりました。

浦和麗明も叡明同様、共学化、校名変更以降伸びてきている学校です。2022年度は特別進学ⅠとⅡを統合し「特進」として募集数を140人から120人に削減,その分特選ⅠⅡⅢ合わせて180人から200人に増やしました。さらに特進の出願基準をアップしたため、学校全体の学力レベルが上がりました。

【単願入試志願者数】

2019年2020年2021年2022年
開智未来1221035689
春日部共栄210208240273
大宮開成155223112160
獨協埼玉116115104124
城西大川越9195119148
栄北208206188359
武南220213213268
山村学園250195251317
浦和麗明186272260326

【併願入試志願者数】

2019年2020年2021年2022年
開智未来215194139136
春日部共栄1,4681,4221,8671,740
大宮開成1,7182,0211,2451,545
獨協埼玉546430435528
城西大川越475408346348
栄北1,2531,1711,0731,305
武南1,9351,5451,6031,633
山村学園1,6101,2161,2931,751
浦和麗明6838971,0771,119

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