2月8日、神奈川県公立高入試の志願確定状況が発表されました。
どんな特徴があったのか見ていきましょう。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
令和5年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等の志願者数(志願変更締切時)について – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)
神奈川県立全日制高校全体の志願状況・倍率
全日制の共通選抜の募集人員40,930人に対し、2月1日までの志願者数は48,133人で志願倍率は1.18倍、前年度(1.17倍)よりわずかに0.01ポイントアップしました。
募集人員 | 志願者数 (志願倍率) | 志願確定 (確定倍率) | 前年度 | |
---|---|---|---|---|
全日制計 | 40,930 | 40,930 (1.18) | 48,082 (1.17) | 1.17 |
この時点で志願者数が募集人員に達しない定員割れの学校は43校で欠員の数は1,922人でした。前年度が50校1,929人だったので、学校数が減り1校当たりの欠員数が増加した形です
志願変更した人は前年度(3,197人)より約750人多い3,950人で、変更率は8.2%と過去最高を記録しました。
しかし、志願変更が多くても定員割れの学校は36校で欠員は1,477人となり前年度(35校1,479人)とほぼ同水準で留まりました。
志願確定後の普通科の定員割れ校は変更前の16校から11校に減ったものの、クリエイティブスクールは4校のまま、専門学科も19校35学科から18校32学科へと1校3学科の減に過ぎず、単位制普通科と総合学科は3校ずつで変わらず、単位制専門学科も2校5学科のままでした。従って、今回の志願変更は普通科の中だけで倍率の平準化が図られたといえます。
各学科の志願状況・倍率
普通科は前年度と同じ1.23倍、単位制普通科は神奈川総合の志願者が大幅に増加したことが影響し0.03ポイント上がって1.20倍になりました。
募集人員 | 志願者数 (志願倍率) | 志願確定 (確定倍率) | 前年度 | |
---|---|---|---|---|
普通科 | 28,029 | 34,417 (1.23) | 34,481 (1.23) | 1.23 |
クリエイティブスクール | 910 | 679 (0.75) | 676 (0.74) | 0.74 |
農業科 | 468 | 486 (1.04) | 461 (0.99) | 0.99 |
工業科 | 2,276 | 1,961 (0.86) | 1,990 (0.87) | 0.87 |
商業科 | 1,026 | 1,062 (1.04) | 1,069 (1.04) | 1.04 |
福祉 | 234 | 133 (0.57) | 135 (0.58) | 0.58 |
専門学科計 | 4,546 | 4,195 (0.92) | 4,206 (0.93) | 0.93 |
単位制普通科 | 4,331 | 5,396 (1.25) | 5,217 (1.20) | 1.20 |
単位制総合学科 | 2,055 | 2,164 (1.05) | 2,213 (1.08) | 1.08 |
単位制専門学科計 | 935 | 1,155 (1.24) | 1,161 (1.24) | 1.24 |
専門学科では農業科が0.1ポイントダウンしたものの、工業科は0.02ポイントアップ、商業科は前年度と同じ、福祉科は0.2ポイントダウンと各学科で動きがありましたが、専門学科全体では前年度と同じ0.93倍、単位制専門学科は相模原弥栄が各学科でアップし、全体では前年度より0.03ポイント高い1.24倍でした。
高倍率ベスト10
普通科とクリエイティブスクール、単位制普通科で最も高い倍率になったのは今年も横浜翠嵐で1.98倍、次いで神奈川総合「個性化」1.97倍、多摩1.87倍と続きます。
高倍率ベスト10は次の通りです。
学校名 | 倍率 |
---|---|
(1) 横浜翠嵐 | 1.98 |
(2) 神奈川総合「個性化」 | 1.97 |
(3) 多摩 | 1.87 |
(4) 神奈川総合「国際文化」 | 1.73 |
(5) 湘南 | 1.60 |
(6) 新城 | 1.58 |
(7) 希望ケ丘 | 1.54 |
(8) 住吉 | 1.54 |
(9) 市立東 | 1.53 |
(10) 大和 | 1.53 |
10校のうちの5校が学力向上進学重点校とエントリー校で、進学を重視する学校が高い人気を得ていることがわかります。
それ以外の学校を見ると、まず神奈川総合は前年度に大幅な倍率ダウンになったことから、その反動で志願者が急増しました。もともと募集人員が少ないため倍率の変動が激しい学校です。新城の倍率には隔年現象があり2019(平成31)年度からの志願確定倍率は1.43→1.68→1.47→1.60倍と推移し、今年度は倍率ダウンの年でしたが前年度並みの1.58倍で留まりました。住吉も高い人気を維持しています。志願者数は増加傾向で今春初めて1.5倍台まで上がりました。市立東は1.53倍に上がり2016(平成28)年度と並ぶ最高倍率です。
学力向上進学重点校とエントリー校の志願状況
その学力向上進学重点校とエントリー校の志願状況を見てみましょう。
18校19学科・コースのうち、倍率ダウンした学校は、横浜翠嵐や川和など12校12学科・コースに及び全体的に敬遠傾向がみられました。
次の表にあるように、これらの学校では志願者が増えたり減ったりするところが多く隔年現象的な動きが見られます。従って、今春は志願者減の年に当たっていたことになります。
学校名 | 募集人員 | 志願確定者数 (倍率) | R4志願確定 (倍率) | R3志願確定 (倍率) |
---|---|---|---|---|
横浜翠嵐 | 358 | 708 (1.98) | 804 (2.25) | 741 (2.07) |
川和 | 358 | 431 (1.20) | 431 (1.36) | 458 (1.44) |
柏陽 | 318 | 458 (1.44) | 453 (1.42) | 434 (1.36) |
湘南 | 358 | 572 (1.60) | 537 (1.50) | 574 (1.60) |
厚木 | 358 | 446 (1.25) | 485 (1.35) | 482 (1.35) |
多摩 | 278 | 519 (1.87) | 495 (1.78) | 466 (1.68) |
希望ケ丘 | 358 | 550 (1.54) | 551 (1.54) | 508 (1.42) |
横浜平沼 | 318 | 400 (1.25) | 481 (1.51) | 427 (1.34) |
光陵 | 278 | 404 (1.45) | 380 (1.37) | 351 (1.26) |
横浜国際 (国際) | 138 | 164 (1.19) | 159 (1.15) | 162 (1.17) |
横浜国際 (バカロレア) | 20 | 25 (1.25) | 42 (2.10) | 24 (1.20) |
横浜緑ケ丘 | 278 | 391 (1.41) | 468 (1.68) | 479 (1.72) |
横須賀 | 278 | 335 (1.21) | 357 (1.28) | 334 (1.20) |
鎌倉 | 358 | 449 (1.25) | 486 (1.53) | 454 (1.43) |
茅ケ崎北陵 | 278 | 379 (1.36) | 420 (1.51) | 360 (1.29) |
平塚江南 | 318 | 377 (1.19) | 404 (1.27) | 394 (1.24) |
小田原 | 318 | 386 (1.21) | 412 (1.3) | 399 (1.25) |
大和 | 278 | 426 (1.53) | 400 (1.44) | 411 (1.48) |
相模原 | 278 | 339 (1.22) | 344 (1.24) | 361 (1.30) |
計 | 5,524 | 7,759 (1.40) | 8,109 (1.49) | 7819 (1.44) |
いくつか目立ったところを見ていきましょう。
横浜翠嵐は今春が倍率ダウンの年でした。志願確定倍率は1.98倍で珍しく2倍を切りました。今の入試制度になった2013(H25)年度以降では2020(R2)年度の1.97倍に次いで2回目です。横浜翠嵐は受検棄権者も受検後の取り消しも多い学校なので実質倍率はさらに下がる見込みです。
翠嵐とは逆の動きを示しているのが湘南で、今春は志願者増となりR3年度と全く同じ倍率になりました。県内の最トップ層が横浜翠嵐と湘南の間で行き来していることがわかります。
川和の志願者数は前年度と同じですが、学級増のため倍率は下がりました。1.20倍は過去最も低い倍率です。
厚木は志願変更前の倍率が1.33倍で前年度同期(1.38倍)と似たような倍率でしたが、志願変更で相模原に移動したようで3年ぶりに1.2倍台に下がりました。
多摩の志願者は増加傾向で、倍率も2019(H31)年度より1.54→1.68→1.78→1.87倍と年々上がっています。今春は志願確定者数が500人を超え過去最高倍率を記録しました。横浜平沼は前年度に過去最高倍率を記録したことで今春は1.2倍台までダウン、1.3倍を切るのは5年ぶりです。横浜国際は国際科の倍率が1.1倍台で低迷しています。コロナ禍の影響を受けているのかもしれません。横浜緑ケ丘は2年連続で志願者減、志願確定倍率の1.41倍は過去最も低い倍率です。鎌倉(1.53→1.25倍)は前年度は過去最高倍率となり、今春は学級増もあって1.2倍台にダウンしています。
平塚江南は倍率ダウンし4年ぶりの1.1倍台で低めの倍率になりました。
このほか目立った動きを示した学校を見てみましょう。
大幅な倍率上昇が見られた学校
金井(1.09→1.37倍)は志願者が約50人増加した上に学級減での募集になったため倍率が急騰し過去最も高い倍率になりました。志願者増は新しい制服が導入されることが影響しているかもしれません。
霧が丘(1.06→1.33倍)は志願者が約90人増加し、やはり過去最高倍率になっています。前年度に倍率ダウンしていることからその反動と思われます。また現在校舎耐震工事中で昨年南棟(生徒棟)が完成しました。トイレも新しくなり生活環境が向上したことも志望者増に結び付いているようです。
港北(1.19→1.43倍)も前年度に学級増のため倍率ダウンしており、今春は倍率アップする可能性がありました。志願者は約80人増えて3年ぶりの1.4倍台まで上がっています。市ケ尾が前年度の高倍率の反動で志願者減になっているので、こちらに移動してきた可能性があります。
横浜氷取沢(1.13→1.36倍)も動きは同様で、前年度の倍率ダウンの反動で志願者が約80人増加し、やはり過去最高の倍率を記録しています。1.3倍台も初めてです。
三浦初声(0.78→0.99倍)は前年度に三浦臨海時代も含めて0.78倍という過去最も低い倍率を記録しましたが、今春はその反動で倍率アップし、前々年度までの0.9倍台に戻りました。
横浜栄(1.27→1.47倍)は前年度までの5年間、1.2倍台で安定した入試を行っていましたが、今春は志願者が60人以上増えて1.4倍台まで上がりました。もちろん過去最高倍率で1.4倍台も初めてです。市立みなと総合の志願者が減少しているのでこちらに移動しているのかもしれません。
横須賀大津(1.06→1.25倍)は前年度に学級増によって倍率ダウンし、過去最も低い1.06倍になりましたが、今春は募集学級数を元に戻したため前々年度並みの倍率に回復しています。志願者数はこの3年間340人前後で安定しており、募集学級数の増減によって倍率が変動している学校です。
鶴嶺(1.09→1.27倍)は前年度に志願者が50人減って1.0倍台まで下がり、2019(H31)年度と同じ過去最も低い倍率でしたが、今春はその反動で約70人増で鶴嶺としては高い1.27倍になりました。藤沢西とともに湘南台からの移動があったと思われます。
上溝南(1.08→1.25倍)は倍率に隔年現象があり、2019(H31)年度より1.13→1.06→1.19→1.08倍と推移していました。今春は倍率アップの年に当たっており、その通りに動きましたが倍率は過去最も高い1.25倍にアップしました。昨年9月に北棟が完成し、リニューアルされた校舎での生活になっていることが影響していると思われます。
上矢部(1.04→1.21倍)は前年度の倍率ダウンの反動と志願変更で5年ぶりに1.2倍台に上がりました。横浜緑園からの移動のようです。
今度は大幅に倍率ダウンした学校をいくつか見ていきましょう。
大幅な倍率ダウン
湘南台(1.67→1.21倍)は前年度に受検生の約4割が不合格になる過去最大の激戦になったことから、今春は志願者が約110人の大幅減、倍率も一気に1.2倍台まで下がりました。この影響で先に触れた鶴嶺や藤沢西の志願者が増加しています(ただし藤沢西は学級増のため倍率は1.29→1.30倍でほとんど変わらず)。
白山(1.21→0.89倍)も前年度に倍率アップし4年ぶりに1.2倍台まで上がりました。今春はその反動で志願者は約50人減、しかも学級増になったこともあり倍率は0.89倍と初めて定員割れになりました。
松陽(1.35→1.05倍)も同様で前年度の倍率アップの反動で志願者が約40人減、加えて学級増になったことで倍率は9年ぶりに1.0倍台まで下がりました。
市ケ尾(1.49→1.29倍)の倍率ダウンも前年度の高倍率の反動です。1.29倍は前々年度と全く同じ倍率です。現在耐震工事中でこの1月に中央棟の教室が仮設校舎に移りました。
新栄(1.21→1.02倍)は倍率に隔年現象があり、2019(H31)年度より1.10→1.23→1.06→1.21倍と推移しており、今春はこの流れの通り倍率ダウンしましたが、1.02倍は過去最も低い倍率です。2023(R5)年度より新しい制服になりますが、隔年現象の動きは変わりませんでした。
座間(1.27→1.10倍)の志願者数は前年度(352人)とほとんど同じ350人でしたが、学級増のため倍率が下がっています。