PAGE TOP

2023(令和5)年度 千葉公立高入試の特徴

入試情報

2023.04.28

2023.04.28

千葉県の公立高校受験の仕組みや選抜方法

今春の千葉県公立高入試はどのような入試であったのか振り返ってみましょう。

全体の志願状況

全日制の募集人員30,960人に対し、志願締め切り時の志願者数は34,946人、志願倍率は1.13倍でした。その後、志願変更が行われ、最終的な志願確定者数は34,793人、倍率は締め切時より0.01ポイント下がって1.12倍で確定しました。

前後期制の2回の受検機会から入試が一本化されて3年目を迎えましたが、志願確定倍率は1.08→1.11→1.12倍と上昇傾向になっています。

しかし、生徒数に対する志願者の割合はほとんど変わっておらず、公立志向が高まっているとは必ずしもいえません。

今回倍率アップしたのは、生徒数が前年度とほぼ同数(+80人)であったのに募集人員が360人減ったからです。

202120222023
生徒数51,370人53,000人53,080人
募集人員30,920人31,320人30,960人
志願者数33,627人34,826人34,946人
志願倍率1.09倍1.11倍1.13倍
志願確定数33,517人34,637人34,793人
志願確定倍率1.08倍1.11倍1.12倍
志願率65.2%65.4%65.5%

学科別志願状況

学科別でみると、普通科が前年度より0.03ポイントアップして1.15倍、2021年度より0.03ポイントずつアップしています。

専門学科は農業科が0.89→0.75→0.83倍と推移し前年度倍率ダウンの反動がありました。商業科(1.00→0.96→0.98倍)と国際系学科(1.30→1.23→1.25倍)も同様の動きですが今年度は若干のアップでとどまりました。理数科(1.19→1.24→1.11倍)と総合学科(1.25→1.30→1.26倍)は逆の動きで今年度はアップ、一方で工業科(0.90→0.87→0.83倍)は下降傾向になっています。

このように主要な学科で倍率が上昇傾向なのは普通科だけで、普通科に偏った志願状況になっています。

202120222023
普通科 1.091.121.15
農業科 0.890.750.83
工業科 0.900.870.83
商業科 1.000.960.98
家庭科 1.011.030.98
理数科 1.191.241.11
国際系学科 1.301.231.25
総合学科1.251.301.26

次の表は生徒数に対する普通科の志願率を示したものですが、年々増加しており専門学科・総合学科から普通科へ移動しているような動きになっています。

もっとも高い倍率になったのは東葛飾で2.00倍、次いで船橋「普通」1.78倍、柏の葉「普通」1.74倍、市立千葉「普通」1.73倍、同「理数」1.71倍と続きます。

2021、2022年度は高倍率ベスト10に専門学科・総合学科が多くランクインしていましたが、2023年度は普通科主体となり、ここにも普通科志向がみることができます。

202120222023
第1位
1.88倍
柏の葉「情報」
第1位
1.90倍
松戸「芸術」
第1位
2.00倍
東葛飾「普」
第2位
1.82倍
東葛飾「普」
第2位
1.86倍
東葛飾「普」
第2位
1.78倍
船橋「普」
第3位
1.78倍
柏「理」
第3位
1.85倍
佐倉「理」
第3位
1.74倍
柏の葉「普」
第4位
1.76倍
船橋「普」
第4位
1.83倍
船橋「普」
第4位
1.73倍
市立千葉「普」
第5位
1.63倍
船橋「理」
第5位
1.82倍
小金「総合」
第5位
1.71倍
市立千葉「理」
第6位
1.60倍
柏の葉「普」
第6位
1.78倍
市立稲毛「国際」
第6位
1.68倍
船橋「理」
第7位
1.58倍
津田沼「普」
第7位
1.73倍
柏の葉「情報」
第7位
1.65倍
市立松戸「普」
第8位
1.53倍
流山おおたかの森「国際」
第8位
1.69倍
県立千葉「普」
第8位
1.58倍
幕張総合「総」
第9位
1.51倍
小金「総合」
第9位
1.68倍
船橋「理」
第8位
1.58倍
県立千葉「普」
第10位
1.50倍
松戸「芸術」
市立千葉「理」
柏南「普」
佐倉「普」
第10位
1.65倍
千葉東「普」
第10位
1.57倍
成田国際「普」

受検者と合格者

受検者数は34,568人、合格者数は28,717人で実質競争率は1.20倍(前年度1.19倍)でした。

不合格者数は前年度より約420人多い約5,850人になりました。

一方で、第二次募集は56校89学科2,244人で実施、前年度(60校97学科2,312人)よりやや減少したものの、相変わらず多くの欠員が生じています。

不合格者が増えた一方で大量の二次募集を実施するという偏った入試状況は今年度も変わりませんでした。

各校の状況

最初に進学指導重点校とそれ以外の難関校の選抜状況を見ていきましょう。

ここでは普通科のみ取り上げていきます。

進学指導重点校では匝瑳、成東、安房を除く7校が2022年度に倍率アップした反動で2023年度はダウンするという敬遠傾向がみられました。その結果、不合格者数は約3割減って2021年度並みに戻っています。千葉東は学校設定検査を作文から県立千葉と同じ「県が作成する思考力を問う問題」に変更しましたが倍率の動きに変化はありませんでした。佐倉は大学合格実績が伸びており、2022年春は国公立124人、早慶上理とGMARCH合わせて495人と近年にない多くの合格者をだしましたが、倍率には反映されず2021年度より低くなりました。木更津は倍率ダウンしたものの1.2倍台を維持しました。ここも2022年3月の国公立の実績が伸びており進学に対する期待が大きい学校です。

匝瑳安房は逆の動きで前年度に倍率ダウンしており、今年度は2021年度並みの倍率に上がっています。

成東は2022年度に学級増での募集になったため志願確定倍率は2021年度並みになりましたが、志願者数は228→277→235人となっており、動きとしては倍率が上がって下がる学校と同じといえます。

<進学指導重点校>

2021
志願確定倍率
(不合格者数)
2022
志願確定倍率
(不合格者数)
2023
志願確定倍率
(不合格者数)
千葉東 1.34
(103人)
1.65
(205人)
1.34
(108人)
船橋 1.76
(229人)
1.83
(251人)
1.78
(243人)
1.31
(84人)
1.42
(113人)
1.32
(88人
)
佐倉 1.50
(137人)
1.60
(163人)
1.41
(115人)
佐原 1.00
(5人)
1.08
(17人)
1.02
(4人)
匝瑳 1.03
(6人)
0.87
(0人)
1.05
(9人
)
成東 1.14
(28人)
1.15
(35人)
0.98
(0人)
長生 1.11
(26人)
1.30
(71人)
1.07
(17人
)
安房 1.07
(17人)
1.01
(3人)
1.08
(19人)
木更津1.17
(47人)
1.51
(143人)
1.25
(66人
)

重点校以外の難関校では動きはさまざまです。

県立千葉は重点校の多くの学校と同じで2022年度に倍率アップし、今年度はダウンしましたが、市立千葉は上昇傾向、市立稲毛は少しずつ下がってきています。同校は2024年度入試が高校募集の最後になります。大規模改修工事中の薬園台は敬遠されることなく倍率アップしました。八千代は2021、2022年度と2年連続1.4倍台の高倍率の反動がありダウンしましたが高い倍率は維持しました。船橋東は前年度の低倍率の反動でアップ、1.5倍台の高倍率になりました。Kの係数が「2」から「1」に変更されたことで学力検査の比重が上がったことも影響しているかもしれません。東葛飾は全県で唯一志願確定倍率が2倍台に上がりました。今年度より学校設定検査を作文から県立千葉と同じ「県が作成する思考力を問う問題」に変更しています。

<その他の難関校>

2021
志願確定倍率
(不合格者数)
2022
志願確定倍率
(不合格者数)
2023
志願確定倍率
(不合格者数)
県立千葉 1.50
(98人)
1.69
(149人)
1.58
(123人)
市立千葉 1.49
(138人)
1.58
(161人)
1.71
(198人)
市立稲毛 1.41
(78人)
1.38
(48人)
1.32
(39人)
薬園台 1.28
(74人)
1.41
(105人)
1.46
(126人)
八千代 1.45
(104人)
1.49(116人)1.39
(94人)
船橋東 1.30
(94人)
1.17
(53人)
1.56
(175人)
東葛飾1.82
(185人)
1.86
(196人)
2.00
(230人)

今年度の入試状況でもう一つの特徴が中堅校で倍率アップが目立ったことです。

次の表にある33校はおおむね偏差値50前後以上の学校です。このうち3分の2の23校が倍率アップしています。不合格者も増え、33校合わせた人数は約1,500人で前年度より約5割の増となりました。

2021
志願確定倍率
(不合格者数)
2022
志願確定倍率
(不合格者数)
2023
志願確定倍率
(不合格者数)
千葉女子 1.05
(12人)
1.34
(81人)
1.45
(106人)
千葉北 1.19
(51人)
1.03
(7人)
1.09
(28人)
磯辺 1.23
(62人)
1.15
(47人)
1.28
(89人)
千城台 0.89
(1人)
1.10
(32人)
1.18
(58人)
土気 0.90
(0人)
1.13
(35人)
1.05
(14人)
若松 1.17
(54人)
1.18
(56人)
1.38
(123人)
柏井 1.11
(22人)
0.88
(0人)
1.11
(25人)
市立習志野 1.11
(26人)
1.27
(63人)
1.10
(23人)
船橋芝山 0.99
(1人)
1.23
(73人)
1.19
(59人)
市川東 1.26
(81人)
1.20
(62人)
1.37
(114人)
船橋啓明 0.91
(0人)
1.07
(19人)
1.03
(7人)
松戸六実 0.98
(0人)
0.93
(0人)
1.14
(43人)
市立船橋 1.00
( – )
1.27
(61人)
1.28
(67人)
松戸 1.06
(11人)
1.19
(45人)
1.35
(69人)
八千代東 0.91
(3人)
0.92
(7人)
0.87
(9人)
市立松戸 1.23
(66人)
1.44
(122人)
1.65
(182人)
実籾 1.13
(39人)
1.13
(41人)
1.19
(57人)
我孫子 0.93
(0人)
1.10
(32人)
0.99
(0人)
柏陵 1.22
(69人)
1.03
(7人)
1.15
(46人)
流山おおたかの森 1.28
(86人)
1.33
(105人)
1.52
(165人)
市立柏 0.76
(4人)
1.06
(19人)
1.15
(44人)
印旛明誠 0.91
(0人)
0.98
(0人)
1.23
(43人)
成田北 0.99
(0人)
1.04
(10人)
1.21
(56人)
四街道 1.00
(1人)
1.29
(92人)
1.28
(88人)
富里 1.04
(10人)
0.98
(5人)
0.94
(3人)
佐原白楊 0.82
(0人)
0.91
(0人)
1.07
(12人)
銚子 0.88
(0人)
1.08
(12人)
0.88
(0人)
東金 1.02
(1人)
1.01
(1人)
1.17
(27人)
茂原 1.03
(4人)
1.03
(4人)
1.09
(14人)
大多喜 0.71
(0人)
0.77
(0人)
0.81
(1人)
長狭 0.91
(0人)
0.69
(2人)
1.01
(0人)
袖ケ浦 1.15
(36人)
1.08
(20人)
1.04
(8人)
市原八幡1.03
(7人)
1.03
(7人)
1.04
(10人)
※市立船橋の2021年度は他学科から第2希望者を受け入れたため不合格者欄は「-」としています。

千葉女子は2021年度の低倍率の反動と2022年度に新しい制服になったことが影響して倍率アップ、今年度もさらに上がって100人を超える不合格者がでる厳しい入試でした。

磯辺の志願者は2年連続で増加していますが、2022年度は学級増に吸収されて倍率は下がりました。今年度はさらに約40人増加し2021年度を上回る倍率になっています。千城台も2021年度は定員割れでしたが以降2年連続で倍率アップしました。若松は今年度志願者が約80人増加し不合格者が120人を超える激戦でした。女子の制服がマイナーチェンジしており倍率に影響したのかもしれません。柏井は前年度の定員割れの反動で2021年度の倍率に戻り、四年制大学への進学率が年々向上している市川東(’20年卒63.2%→71.5%→76.6%)も不合格者は100人を超えました。

松戸六実は自己表現検査のうち、口頭による検査から文章による検査に変更になり2021、2022年度の2年連続定員割れから抜け出しました。県立松戸は2022年度に新しい制服になったせいか倍率アップ、今年度もさらに上がってやや厳しい入試になりました。市立松戸は広大な敷地に充実した設備、トイレの改修工事も終わり環境が整ったためか倍率は上昇傾向で今年度は200人近い不合格者がでる激戦でした。流山おおたかの森も2年連続で倍率アップし、今年度は厳しい入試になりました。我孫子からの移動があったのかもしれません。市立柏、印旛明誠、成田北、佐原白楊も倍率は上昇傾向になっています。

このように、今年度は上位校の倍率が上がり、中堅校が上がるという安全志向の入試になりました。

あなたの条件に合った

志望校検索サイトを
見てみよう!

あなたの条件に合った
志望校検索サイトを
見てみよう!

Research

1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)の志望校探しのお手伝いをいたします。
「単願入試」「併願入試」「都立高校入試」に特化したサイトをはこちらから。