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2022(令和4)年度 千葉県私立高校入試の特徴

入試情報

2022.08.19

2022.08.19

千葉県の公立高校受験の仕組みや選抜方法

千葉県の私立高入試は前後期制です。2022年度入試では前期は1月17日、後期は2月15日より実施されました。

しかし、後期入試は実施校が少なく、実施しても募集数が非常に少ないなど形骸化しており実質的には多くの学校が前期入試のみで完結しています。

2021(令和3)年度入試より公立高校の入試が前後期制から一般入学者選抜に一本化され、それを機に私立高入試の傾向が変わりました。

私立高の応募者数が増加

中学3年生の生徒数は2021年度まで減少していましたが私立高前期志願者は増加しました。次に見るように、この年は後期選抜実施校が大幅に減少したため後期志願者は1,276人から634人へと半減しました。それが前期選抜の志願者増に影響を及ぼしたことは否めません。しかし前後期合わせた志願者数は2020年度の51,038人から51,497人へと約450人増えていることから、公立高の制度変更初年度でどのような入試になるのか予想がつかずそれが私立高に向かわせ、それが最も大きな要因と考えられます。

次の2022年度は生徒数が1,630人の増となりましたが、前期志願者数はそれを上回る2,550人増で、私立高へ向かう傾向がさらに強まりました。

もう一つの動きは後期選抜を廃止する学校が急増したことです。それまでも前期選抜にシフトする動きがあり毎年数校程度で後期選抜を廃止する学校がありましたが、2021年度は後期選抜の検査開始日を2月5日から15日に変更したこともあり一気に十数校が後期選抜を廃止し前期のみとしました。

そして2022年度は昭和学院と暁星国際が後期選抜を廃止,この結果後期選抜を実施した学校は14校で、全体の3割足らずに減りました。

このような状況のなかで県内私立高はどのような入試となったのでしょうか。

前期志願者数の推移

難関3校の志願状況

まず、県内の最難関校の渋谷教育学園幕張です。今春の2022年度入試ではこの4年間でもっと多い700人を超える志願者を集めました。2020年度は2019年度の実質倍率アップ(2.33→3.24倍)が敬遠され、志願者が600人を割り2.48倍にダウン、2021年度は私立志向の流れはあったもののコロナ禍によって難関校が敬遠され志願者は2020年度並みで留まりました。そして2022年度は志願者が100人以上増え実質倍率も合格者を絞ったため2.38倍から3.10倍にアップし厳しい入試になりました。

市川は2020年度に後期選抜を廃止したため志願者数が大幅に減少しました。また2021年度は渋幕同様難関校が敬遠され志願者はさらに減、実質倍率は1.50倍(一般入試)と市川にしては緩やかな入試でした。しかし今春の2022年度入試になると志願者が約200人増、さらに一般入試の合格者を586人から481人と約100減らしたため実質倍率が2.25倍に急騰しました。2023年度も今春と同じ選抜方法で実施されますが志願者数はやや減少するのではないかと見込まれます。

昭和学院秀英も2020年度に後期選抜を廃止し志願者数は減少しましたが、以降は安定した志願者数を確保しています。しかし合格者数は2020年度より569→634→672人と増加しており実質倍率は2.19→1.92→1.84倍と下降傾向です。

以上のように,難関校3校の志願者数はいずれも増加し,挑戦志向が復活したような志願状況になりました。

【難関3校の志願状況】

2019年2020年2021年2022年
渋谷教育学園幕張(学力)673595604719
市川(推薦+一般)1,4201,0239541,151
昭和学院秀英1,6771,2491,2221,240
3,7702,8672,7803,110

上位校の志願状況①

芝浦工業大学柏は実質倍率の高い学校です。特にGS(グローバルサイエンス)は10倍を超え狭き門になっています。2021年度に志願者増になったのはGSの実質倍率が14.2倍から12.1倍に下がったことのほか、体育館の空調化や校内WiFiの強化、プロジェクタ付きホワイトボードの全面設置など施設設備が充実したことも影響したのかもしれません。そして2022年度はGS、GL(ジェネラルラーニング)ともに志願者減となり実質倍率もやや下がりました。

専修大学松戸はA類型の志願者が増加傾向です。同校は2021年度に後期選抜を廃止し、入試科目を3科から3科または5科の選択制に変更しました。この結果、公立高から移動しやすくなり志願者増に結び付いたようです。そして2022年度はA類のほかE類の志願者も増加し挑戦志向の傾向が見られました。ただE類の実質競争率は1.87倍から2.52倍、A類は2.83倍から3.29倍にそれぞれアップし厳しい入試になりました。

日本大学習志野はこの3年間安定した志願者を集めており、大学の問題の影響は受けていないようです。特にA入試(第一志望)の志願者は2020年度から192→271→292人と増加傾向で、私立志向と相まって人気が高まっているようすも伺えます。もともと日本大学への進学率が3割程度と低めで,国公立大学や難関私立大学への実績も高いことから大学のブランドの影響を受けにくいのかもしれません。

【上位校の志願状況①】

2019年2020年2021年2022年
芝浦工業大学柏2,2152,2722,5632,318
専修大学松戸2,9182,5472,8283,238
日本大学習志野1,7921,9862,0111,963

上位校の志願状況

成田は志願者数の推移をみると安定した入試を行っているように見えます。2022年度に特進αの募集数を40人から80人に倍増し、部活動の制限をなくしました。その影響か志願者は若干増加しています。しかし特進αと一般(2022年度より進学)合わせた合格者数は2020年度より316→370→512人と増加傾向で実質倍率は2.17→1.85→1.42倍と下降傾向です。

千葉日本大学第一の2021年度の志願者数が大幅に減少したのは、後期選抜を廃止したことが原因です。それに特進と進学を分けて募集したことや入試日を変更したことも影響したかもしれません。2022年度は入試日を基に戻し、特進に併願推薦を導入、進学では第一志望入試を導入するなどの変更を行い、志願者は約100人の増になりました。ただ2023年度は推薦入試の単願を特進のみとして出願基準をアップしたほか、併願推薦の基準も上げているので要注意です。

日出学園の志願者は増えたり減ったりしていますが、2022年度の大幅減は推薦入試の出願基準を単願、併願ともに上げたからです。2023年度は推薦募集人員が50人から20人へと減少するのでさらに厳しい入試になりそうです。

流通経済大学柏は2021年度に出願基準を緩和し志願者増、2022年度は一部を除いて元に戻して志願者減というように出願基準が安定していません。さらに2023年度は中学校を開設する予定なので高校の募集要項も変更される可能性があり注意が必要です。

八千代松陰が2021年度に志願者増になったのはAEM(英語特進)コースを新設し、約350人の志願者を集めたことが影響しています。2022年度には進学(単併)とIGS(単)の出願基準を上げたものの志願者数は微減で留まりました。早慶上理やGMARCHなどの進学実績が上昇しており高い人気を維持しています。 麗澤は2019年度に加点制度を拡充したため志願者増、その反動で2020、2021年度とやや落ち着いた志願状況になりましたが、2022年度はS特進、特選ともに志願者増、特にS特進は3割強の増加になり(特選は2割強の増)ました。2021年度の実質倍率が1.42倍で比較的低めで推移したこともあり挑戦志向が復活したようです。

【上位校の志願状況②】

2019年2020年2021年2022年
成田795739746782
千葉日本大学第一660818545664
日出学園608417503380
流通経済大学付属柏1,5311,1301,2971,194
八千代松陰2,6822,2172,7172,631
麗澤732502520654

中堅~上位校の志願状況

東海大学付属浦安は安定した入試が続いています。推薦入試ではABC入試ともに不合格者はでていないので、出願基準をクリアしていれば安心して受験できているようです。ただ一般入試は激戦で2022年度の実質倍率は単願4.11倍、併願2.59倍と狭き門でした。また後期選抜も厳しく2~3倍の入試が続きます。東海大学関係に約8割が進学しているところも人気の背景にあるようです。

西武台千葉の志願者数は増えたり減ったりしており波があります。2022年度は志願者増の年で進学コース,特選コースともに増加しました。特に進学コースの単願は113人から184人へと大幅に増加し私立志向の高まりを感じさせる志願状況になりました。

二松学舎大学附属柏も志願者数が増減する傾向がありますが、2022年度の志願者減は加点制度の加点項目縮小の影響もあったようです。2023年度はすでにホームページで公表されているように、進学コースの併願推薦が廃止されたり、加点制度が単願のみの適用になったりとハードルが上がりますので注意しましょう。

千葉敬愛の2022年度の志願者減は一般入試第3回(1/29)を廃止したからです。それでも2,000人を超える志願者を集める大規模入試校です。大半は単願のA推薦,併願のB推薦を利用し、一般入試は数十人の志願者に留まりますが、不合格者も多く合格にしにくい状況が続きます。2022年度より特別進学、総合進学クラスから、募集人員をそれぞれ設定するコース制に変更しています。

千葉経済大学附属の志願者数も毎年1,000人を大幅に超え大規模な入試を行っています。前期では学力検査がなく作文と面接の実施となるため受験しやすいところが特徴です。しかし普通科の前期志願者数は2019年度より803→778→733→698人と減少傾向、一方で情報処理科は248→280→336→356人と増加傾向です。コース改編した敬愛学園や千葉明徳などに移動しているのかもしれません。

千葉商科大学付属は志願者数が増加傾向です。新しい校舎が続々と誕生しており、第二期の工事完成は2022年12月に予定しています。またコース改編で特進選抜と総合進学の2コース制とし出願基準を利用しやすく設定したことも志願者増に拍車をかけています。普通科は4分の3が他大学進学,商業科は4分の3が千葉商科大学に進学しています。

中央学院の志願者数は増減を繰り返していますが、2022年度は日本体育大学柏のコース改編、出願基準の緩和の影響を受けたようです。卒業生の3割弱が中央学院大学に進学しています。

共学2年目の光英VERITASは出願基準を上げ、加点制度の上限を拡大しました。その結果、前年度より100人以上多い志願者を集め高い人気ぶりを示しました。学校が推奨している特待選抜入試の志願者が多く、2022年度は計47人が特待生で合格しています。2023年度は加点制度の適用数が増えるため志願しやすくなります(ただし特待の推薦入試では加点制度は適用せず)。

東海大学付属市原望洋は2022年度の志願者数が大幅に増加しました。特に総合進学コースの単願推薦が218→263人へと約2割増となり私立志向の高まりを感じさせる志望状況になりました。東海大学に75%以上が進学することも志願者増に結び付いているようです。

敬愛学園は2021年度に入試日を競合校のほとんどなかった1/21から1/18と1/29に変更したことが影響したのか志願者減,2022年度は特別進学と進学の2コース制に改編し、出願基準を緩和したことから志願者増となりました。来春の2023年度は進学コースの募集人員が減少(240→160人)になるほか、出願基準も上がるので注意が必要です。

2019年2020年2021年2022年
東海大学付属浦安586711648676
西武台千葉9931,0469111,207
二松学舎大学附属柏1,3541,2241,4441,379
千葉敬愛2,2202,3342,3332,177
千葉経済大学附属1,4131,4041,3641,337
千葉商科大学付属7918761,1901,320
中央学院1,2591,1471,3591,108
光英VERITAS239234438543
東海大学付属市原望洋564560532625
敬愛学園1,7451,8991,4311,739

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